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エロマンガ表現史 の商品レビュー

4.2

13件のお客様レビュー

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2024/03/24

本書の目的はこんな研究もあるんだと知ってもらうことでそれは十分に達成できていると思う。 多様であるが故に定義が難しい分野への取り組み方を学んだ。 エロマンガと聞くとただ性的欲求を処理するための道具のように見られがちだが、その表現は研究対象になるべく表現の発端も広がりも多様だった。...

本書の目的はこんな研究もあるんだと知ってもらうことでそれは十分に達成できていると思う。 多様であるが故に定義が難しい分野への取り組み方を学んだ。 エロマンガと聞くとただ性的欲求を処理するための道具のように見られがちだが、その表現は研究対象になるべく表現の発端も広がりも多様だった。規制が逆に表現に広がりを持たせたり無修正が当たり前の国から見てもエロいと感じさせたり面白い点が多々あった。

Posted byブクログ

2022/04/02

借りたもの。 エロ漫画定番の表現の種類・ルーツを体系的にまとめ分析した、ある種の禁忌?に踏み込んだ一冊。 それらは性への関心・好奇心、そしてファンタジー(妄想やマンガとしての面白さへの追及)と、規制との戦いが複雑に絡み合っていた。 女性の身体の性的に強調される部位の表現から、想...

借りたもの。 エロ漫画定番の表現の種類・ルーツを体系的にまとめ分析した、ある種の禁忌?に踏み込んだ一冊。 それらは性への関心・好奇心、そしてファンタジー(妄想やマンガとしての面白さへの追及)と、規制との戦いが複雑に絡み合っていた。 女性の身体の性的に強調される部位の表現から、想像を掻き立てるためのものまで。 胸の大きさ、その立体感を出す陰影やハイライトから動きまで……私は名称が存在していたことに衝撃を受ける。 ‘日本の伝統’と言われるタコ(触手)責めが葛飾北斎の専売特許ではないこと、欧米のデビルフィッシュのイメージとクトゥルフ神話のイメージが日本に輸入されていることを指摘。“性器ではない”こととそのインパクトがジャンルとして確立したことを指摘している。 そしてジャンルは進化し、触手もタコっぽかったり内臓っぽくなったりメカになったりと多様化していく。 「断面図」という解剖学的な表現はホラー的な要素も相まって、ハードコア化…エログロ化との親和性があったり。「どうなっているのか?」という好奇心と非現実化。その文脈で男性の身体を透明化している(「男捨離」と言われているらしい)表現に繋がっているのは驚いた。(ルーツは別だと思っていた) 歴史?ある表現だと小さいながらも掲載している図版の多さに驚く。開拓した第一人者へのインタビューも載っている。 エロ漫画特有の表情のリアルとの相互影響、2000年代からよく見かけるようになった擬音?のルーツなども順を追って説明している。 規制修正との苦闘の歴史、世界のマンガ文化への影響なども網羅している。 個人的な見解:「男捨離」は‘様子を上手く見せることができないため編み出された技法だ。見えにくいところを見やすくという意味では「断面図」の発想に近い(p.355)’とあったが、“男性が”描かれている透明化された男性に投影(同調)しやすくなるためではないか、と思う。 女性向けのコミックでは男性が透明化されていることがあまりないため。

Posted byブクログ

2021/03/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

パワーワードがすさまじかった…笑 おっぱいインフレーション 乳首残像 揺れはついに光速を越え 蛸と海女 断面図の貴公子 修正は美学だ デビデ像のハート目 エロマンガ女子会 単なるエロマンガと侮ることなかれ。表現史の勉強にもなるし、何より筆者のエロマンガに対する情熱、知識に驚く。あとがきにも様々な方の協力があったと記されているが、それでも筆者の表現力(時々理系的な言葉が出るのが面白い)とエロ漫画の知識の豊富さに尊敬を抱きます。

Posted byブクログ

2021/02/10

・少年誌、エロマンガ、映像作品はサイロ化されているわけでなく、相互に影響を与えあっている ・表現、概念はどこかで生まれた後、バズって市民権を得ると「記号化」される ・規制が表現の進化を促進する ・「くぱぁ」と「らめぇ」はマーク・チャンギージーに解説してもらいたい

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2020/08/23

エロマンガの歴史をあくまでアカデミックにまとめた1冊…とみせかけて、それ以上に文章全体から著者のエロマンガに対する熱い想いがヒシヒシと伝わってきて凄く楽しく読めました。内容自体もボリュームが多いものの大味になっておらず、豊富な参考画像と照らし合わせながら読めますし、とても充実して...

エロマンガの歴史をあくまでアカデミックにまとめた1冊…とみせかけて、それ以上に文章全体から著者のエロマンガに対する熱い想いがヒシヒシと伝わってきて凄く楽しく読めました。内容自体もボリュームが多いものの大味になっておらず、豊富な参考画像と照らし合わせながら読めますし、とても充実していたと思います。

Posted byブクログ

2020/01/22

エロマンガの研究には、永山薫『エロマンガ・スタディーズ』という名著がある。発表された2006年当時、エロマンガというジャンルは、研究や評論の対象としてはほぼ手つかずの分野。その未開の地を開拓して、エロマンガの歴史やそこで描かれるセクシャリティを体系立てて解説し、エロマンガ評論とい...

エロマンガの研究には、永山薫『エロマンガ・スタディーズ』という名著がある。発表された2006年当時、エロマンガというジャンルは、研究や評論の対象としてはほぼ手つかずの分野。その未開の地を開拓して、エロマンガの歴史やそこで描かれるセクシャリティを体系立てて解説し、エロマンガ評論というジャンルをつくった画期的な本だった。この『エロマンガ・スタディーズ』に衝撃を受けてエロマンガ研究を始めたのが、本著の著者、稀見理都(このペンネーム自体がエロマンガ的)だ。 本著は、稀見理都の著作として2作目になる。そこで表現史を選んだのは興味深い。エロマンガは、その性質上、一般のマンガでは見ることが少ない部位やポーズ、シチュエーションを書く。また、エロという機能性が求められる。その結果、例えば「アヘ顔」や「乳首残像」のような、図像的に一般のマンガでは見る機会が少ない、ある意味では「とがった表現」が見受けられるからだ。表現の著しい進化や、それが一般のマンガに環流していく様子は、「第1章 「おっぱい表現」の変遷史」を読めばよくわかる。 一般のマンガ評論の分野で、表現論が大きく注目されたのは1995年に出版された「マンガの読み方」からだ。それまでの評論ではほぼスルーされていたマンガの「表現技法」について、手探りで見つけていくような内容だった。そこから2005年の伊藤剛「テヅカイズデッド」に至るまで、マンガ表現論ができあがる過程は、非常にスリリングであった。当時のムーブメントでは、どうマンガ評論を刷新し、新しくジャンルを作っていくかが、強く意識されていたように思う。 あのとき感じた「ジャンルを作っていこう」という熱気が本作にも宿っている。エロマンガ研究は、ジャンルの性質上、研究者がそもそもいないうえ、研究の基盤になるようなアーカイブやDBが存在しないそうだ。稀見理都は、どうもそれを整えながら研究をしようとしているらしい。エロマンガ界に逆風が吹いているなかで、このような人がいるのは、心強い。 エロマンガを唾棄すべきものだと思っている人も、だまされたと思って、是非この本を読んでほしい。

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2019/10/17

エロ漫画における表現のおこりや変遷を概観した1冊。 エロ漫画における巨乳、触手表現の変遷や、またくぱぁやらめぇなど漫画特有の表現についても考察されている。 多くの章では画像の参照が多いため、表現の変遷や漫画家による違いなども把握しやすい(電車では読めないが)。 これは完全に偏見だ...

エロ漫画における表現のおこりや変遷を概観した1冊。 エロ漫画における巨乳、触手表現の変遷や、またくぱぁやらめぇなど漫画特有の表現についても考察されている。 多くの章では画像の参照が多いため、表現の変遷や漫画家による違いなども把握しやすい(電車では読めないが)。 これは完全に偏見だが、文章のちょっとした誇張表現に著者のオタクらしさを感じて、読んでいて楽しい。

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2019/06/30

一部の自治体で、有害図書にしていされているらしい。思うに、エロマンガのサブカルチャー史としての役割は果たしている。偏見持たないで、評価すべきじゃないかと。

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2018/10/27

北海道で有害図書指定されて、出版元や日本マンガ学会が抗議したというニュースを見て買ってみた。 控えめに言って、面白い。 kindleで1/3くらい読めるので、まえがきだけでも読んで欲しい。 「GANTZ」や「いぬやしき」の作者である奥浩哉が発明した、おっぱいが激しく揺れる様子...

北海道で有害図書指定されて、出版元や日本マンガ学会が抗議したというニュースを見て買ってみた。 控えめに言って、面白い。 kindleで1/3くらい読めるので、まえがきだけでも読んで欲しい。 「GANTZ」や「いぬやしき」の作者である奥浩哉が発明した、おっぱいが激しく揺れる様子を暗闇の中のヘッドライトの残像のように表現する『乳首残像』。 葛飾北斎が春画で描いた「蛸と海女」がルーツと言われる『触手プレイ』。 「くぱぁ」や「らめぇ」と言ったエロマンガ発祥の独特な表現。 たかがエロマンガと言えど、作者はエンターテインメントとして(もしくはガチで)、読者に喜んでもらえるように試行錯誤して新たな表現を生み出している。 そこにエロも王道も関係ない。 エロマンガで発明され、少年・青年誌に取り入れられた表現もある、にはある。 むしろ、海外ではCOOL JAPANの一部として確実に受け入れられ『HENTAI』『YURI』『FUTANARI』などはそのまま翻訳されずに使用されている。 パターンとしては『TUSNAMI』と同じだ。 日本ではタブー視される性の問題。 しかし、かつてのエロ本である春画も、どこかのスケベが保存し、研究したからこそ現代に伝わっている。 現代のエロ本を研究することは悪いことではない。たぶん。 読ませたくなければ、レーティングをR18にすればいい。 てか、有害図書指定って『即販売禁止』じゃないのか。 バトル・ロワイアル、マンホール、多重人格探偵サイコなどなど、読んだことある漫画が有害図書に指定されてた。 でも普通に売ってるし。 なんだこの制度?

Posted byブクログ

2018/06/25

このような漫画は表現の自由度が高く、常に斬新かつ琴線に触れる方法を探究しているため、アイディア勝負となっており、大変興味深い。 この本では特徴的な、胸の揺れ表現、断面図、独特のオノマトペ(くぱぁ・らめぇ等)、アヘ顔、修正について特に深く考察されている。 それらが生まれた背景に、表...

このような漫画は表現の自由度が高く、常に斬新かつ琴線に触れる方法を探究しているため、アイディア勝負となっており、大変興味深い。 この本では特徴的な、胸の揺れ表現、断面図、独特のオノマトペ(くぱぁ・らめぇ等)、アヘ顔、修正について特に深く考察されている。 それらが生まれた背景に、表現規制に対する反抗も大きな要因だ。(規制はイノベーションを生み出すか?) また、それぞれの表現を生み出したイノベーター作家のインタビューも掲載されていて、彼らが如何に漫画の特性を生かして新しい方法を工夫しているかが判る。 日本の漫画文化は、間違いなく世界で最も多種多様であろうし、競争とそれに伴う進化が素晴らしいと感じた。 漫画の実験場としてこれからもこのジャンルは発展して欲しいと思う。

Posted byブクログ