闘いを記憶する百姓たち の商品レビュー
「目安往来物」というジャンルから、中世近世の「一揆」のあり方や百姓身分の識字教育のあり方、そして「一揆」の語り方と創作作品との関連性などを示唆してくれる書。 ただ、資料や研究のテーマの都合、ある程度は「木から森を想像」的な見方が必要なのかと思うが、発生も伝播もある程度限られた事例...
「目安往来物」というジャンルから、中世近世の「一揆」のあり方や百姓身分の識字教育のあり方、そして「一揆」の語り方と創作作品との関連性などを示唆してくれる書。 ただ、資料や研究のテーマの都合、ある程度は「木から森を想像」的な見方が必要なのかと思うが、発生も伝播もある程度限られた事例・地域にとどまっており、これだけを以てどこまで一般性の問題を論じられるのか若干疑問に感じるところあり。また分析の視点にやや自生的もしくはナイーブな感じを受ける。もちろんこうした地道な研究とその中での仮説提示が学術的な知の成熟の礎ではある。
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36名もの百姓が磔刑に処された「白岩一揆」。17世紀に幕府へ宛てられた百姓一揆の訴状や境界紛争にかかわる訴状は「目安往来物」と呼ばれ、学習教材として出回っていた。実力行使から裁判へ、証拠として提出される文書が需要な要素となる。目安往来物の始まりと社会の変遷を解いた一冊。昔の人の落...
36名もの百姓が磔刑に処された「白岩一揆」。17世紀に幕府へ宛てられた百姓一揆の訴状や境界紛争にかかわる訴状は「目安往来物」と呼ばれ、学習教材として出回っていた。実力行使から裁判へ、証拠として提出される文書が需要な要素となる。目安往来物の始まりと社会の変遷を解いた一冊。昔の人の落書きに、変わらない体質を見てほほえましく。うちの古文書は焼けてしまったので、悔やまれます。
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