人間タワー の商品レビュー
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市立桜丘小学校の運動会で、組体操の一つとして25年前から行われ続けている「人間タワー」。6年生全員による圧巻の種目を軸に、桜丘小学校に関わる人たちそれぞれの目線で描かれた6つの短篇。 緩くつながるそれぞれの物語がひとつの大きな群像劇をなす。それぞれの物語はまとまっていて終わり方も悪くないが、小説全体として見たときに、「人間タワー」の解決策がう~ん、こんなものかな~といった印象。 筆者は、本作を「人間タワー」の是非を社会問題としてとらえた作品にはしていなくて、ひとつひとつの物語の主人公の心のありようを丁寧に描写することに重点を置いていて、タワー問題はその契機でしかない。 だから、このテーマを選んだのに・・・っていう肩透かし感があるのかな。 今時だれも土台になりたくないという事実の前に、全員で大きな土台を作ることに解決策を見出した学校。その演技に感動した男。う~ん、それでいいのか悪いのかよくわからない。 ただ、この作者の作品はもっと読んでみたいと思わせてくれるほどには面白かったです。
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桜丘小学校の運動会で行われる組体操のメインのシーン、人間タワーで繋がる連作短編。 息子が桜丘小学校に転入した離婚したばかりの雪子。 人間タワーに感動し投書をしたことのあるホームで暮らす伊佐夫。 桜丘小学校の教員、自分の名にコンプレックスのある沖田。 母の過度の学歴意識に振り回さ...
桜丘小学校の運動会で行われる組体操のメインのシーン、人間タワーで繋がる連作短編。 息子が桜丘小学校に転入した離婚したばかりの雪子。 人間タワーに感動し投書をしたことのあるホームで暮らす伊佐夫。 桜丘小学校の教員、自分の名にコンプレックスのある沖田。 母の過度の学歴意識に振り回される桜丘小学校の生徒澪。 自分は子供に好かれるいい教師だと信じていた桜丘小学校の教員島倉。 桜丘小学校の卒業生で、いじめにあった過去から、小学校にいい思い出がなかった高田。 立場の違う登場人物のそれぞれの立場での思いや気持ちがリアルで、興味深く読みました。 好感の持てる登場人物はあまりいませんが、ブラックな部分を描くのが上手い作家さんだなといつも思います。 雪子、島倉、高田の章の、一歩進んだ終わり方が良かったです。
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妻が朝比奈氏の本にハマっており、勧められ読んでみる。 少し問題になっている体育祭の「人間ピラミッド」を中心に母、児童、先生と視点を変えて学校模様が語られる。 感想としては女性や母は好きなんだろうかね。と言う感じ。私も父として学校模様には興味があるが、ゴシックと言うか話題が小さい感...
妻が朝比奈氏の本にハマっており、勧められ読んでみる。 少し問題になっている体育祭の「人間ピラミッド」を中心に母、児童、先生と視点を変えて学校模様が語られる。 感想としては女性や母は好きなんだろうかね。と言う感じ。私も父として学校模様には興味があるが、ゴシックと言うか話題が小さい感。また著者独特の本質には突っ込まず、堀を攻めて終わっていく感にも少しモヤモヤ。
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ある小学校で、伝統的に行われている巨大な組み体操「人間タワー」をめぐる作品集。 教師、生徒、父兄、OBと立場と視点を変えつつ巨大なタワーが組み立てられていく経緯を描く。 社会問題をつくのではなく、また、闇雲に推進することを是ともせず。 よくできた物語で、エンディングまで読ませ切っ...
ある小学校で、伝統的に行われている巨大な組み体操「人間タワー」をめぐる作品集。 教師、生徒、父兄、OBと立場と視点を変えつつ巨大なタワーが組み立てられていく経緯を描く。 社会問題をつくのではなく、また、闇雲に推進することを是ともせず。 よくできた物語で、エンディングまで読ませ切ってくれた。か
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小学校の体育祭で伝統的に行われてきた「人間タワー」。問題視する声も最近聞くこの行事を指導する教師、参加する児童、その親などの視点からその行事の是非を問う…わけではもちろんなく(作者の作品をほかに知っていればわかると思うのですが)…、いやまったくないわけでもないですが、かかわる人々...
小学校の体育祭で伝統的に行われてきた「人間タワー」。問題視する声も最近聞くこの行事を指導する教師、参加する児童、その親などの視点からその行事の是非を問う…わけではもちろんなく(作者の作品をほかに知っていればわかると思うのですが)…、いやまったくないわけでもないですが、かかわる人々のそれぞれの置かれた環境における心理描写に重きを置いた連作短編集です。 印象的だったのが介護施設に入居している一人の老人の日常を描いた短編でした。今となっては物悲しいといえる状況なのだけれど、確かな幸せな日々があったとじわりと暖かくなる描写がとても胸を打ったのでした。輪郭を無くしていきながら、心のどこかに存在しつづける「支え」があることは、やはり幸せといえるのだろう、とそう思いました。 題材こそ人間タワーと結構タイムリー?なものを扱ってますが、丁寧な心理描写と弱くもいとおしい人々の描きかたがとても細やかで、作者らしい読み心地のある話でした。
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組体操かぁ。問題になったりしているよね。 自分のときは? 中学時代に男子生徒だけやっていたんじゃないか、というくらいしか覚えがない。 あまりにも危険なことをやらせる意味がわからない。それ以外のことで協力とか協調とかを学ばせればいいんじゃないのかな? この、夫はヒドイな。自分のこと...
組体操かぁ。問題になったりしているよね。 自分のときは? 中学時代に男子生徒だけやっていたんじゃないか、というくらいしか覚えがない。 あまりにも危険なことをやらせる意味がわからない。それ以外のことで協力とか協調とかを学ばせればいいんじゃないのかな? この、夫はヒドイな。自分のことばっかりじゃん。
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「わたしは人間タワーには反対だけど、人間タワーをやらないことにも反対」 無数の人々の思いを巻き込んで、想像を超えた結末が訪れる… (アマゾンより引用) 何ていうか、子供、ワガママじゃない??
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人間タワーっていうのは組体操の大技。危ないからやめとくか、学校の伝統だからやるのかというのを、保護者、先生、人間タワーをやる本人ら(児童)、地域の人たち、昔タワーのてっぺんからおちた人など、いろんな視点で描く連作。 朝比奈あすかさんの小説は、うわー…と思うようなものも読んでたので...
人間タワーっていうのは組体操の大技。危ないからやめとくか、学校の伝統だからやるのかというのを、保護者、先生、人間タワーをやる本人ら(児童)、地域の人たち、昔タワーのてっぺんからおちた人など、いろんな視点で描く連作。 朝比奈あすかさんの小説は、うわー…と思うようなものも読んでたので、「人間タワー」というタイトルにもっといやな話なのだと覚悟して読んだけれど、思ってたよりはさわやか。 それに、あまり読んだことのない題材で興味深く読んだ。 でもラストのまとめかたは中途半端な感じがする。もう一話、ラストまでの過程を書いた短編をいれてほしかった。 わたしは人間タワーについては反対派。危ないとかもあるけど、思いやりの心とかみんなの気持ちがひとつになってとかあるんだろうけど、ただもう「そんなんいやにきまっとるやろ」って思う。 だいたい学校とか、せまい教室が世界の中心なのが嫌だったので、その点は大人になってよかったな、と思う。教室の中で仲良くできる人を探したり、先生のゆうことをきいたりするの、無理。人間タワーなんて絶対無理。おとなになったら、ごはんのまえに菓子パンをたべてもいいし、友だちになりたくない人とは仲良くしなくていいし、そういうところ大人最高。 子供の出て来る小説を読むと、よく、窮屈だなと思う。 この前読んだ「みちづれはいても、ひとり」も、ちょっと問題行動の多い母親を持つ子供がでてきて、主人公がその子に向かって思わずゆっちゃうの。 「ねえ、母親があんなふうだからとか、周りの大人が言うかもしれないけど、そんなの無視していいんだよ。大人が言うことが全部正しいと思ったら大間違い」 「でも、大人になれば自分で食べるものを用意できて、王子さまが現れなくても自分の足で歩いていける。」 これは、小説の中では、母子家庭で育った昔の自分にも言ってるのだと思うのだけれど、すべての子供に言いたいと思った。 あと、教室で仲のいい子をみつけられなくて苦しむのは今だけって言いたい。大人になったらわりとひとりでも平気だよ(日常生活レベルは)と言いたい。
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人間ピラミッドとか人間タワーとか、いわゆる組体操に関しては子どもたちにやらせるには確かにちょっと違和感はあった。自分がやっていたときには何も感じていなかったのに、なぜだろう、とこの小説を読み始めた時に思った。なぜだろう。 子どもが幼稚園に入って最初の運動会の時、ついこの間まで言葉...
人間ピラミッドとか人間タワーとか、いわゆる組体操に関しては子どもたちにやらせるには確かにちょっと違和感はあった。自分がやっていたときには何も感じていなかったのに、なぜだろう、とこの小説を読み始めた時に思った。なぜだろう。 子どもが幼稚園に入って最初の運動会の時、ついこの間まで言葉も通じないようなエネルギーの塊だった子どもたちが先生の笛ひとつで同じ動きをすることに感動した。けれど、それが小学中学と歳があがるにつれて、そして難易度が上がるにつれて違和感も増していく。 同調圧力と自己犠牲。それは決して強制してはいけないもの。人と違う意見をいうことの難儀さや、いままでそうだったからこれからもずっとそうであらねば、という「伝統」のしがらみ、そういうものにきちんと違和感を告げる勇気の大切さを感じた。 変える事、変えない事、そういうひとつひとつをおろそかにしてはいけない、そう強く思った。
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