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文学ムック たべるのがおそい(vol.4 2017 Autumn) の商品レビュー

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2022/09/22

木下古栗「人には住めなくなる地球になるまで」のみ読了。 猛暑からの連想に始まり、営業最終日の商業施設でもらったチューハイのサンプルを、受け取る列で知り合った青年と公園で一緒に飲むという話。 「亜熱帯の進行するところの、あの気候がまさしく、自分にとってサウナの役割を果たしている...

木下古栗「人には住めなくなる地球になるまで」のみ読了。 猛暑からの連想に始まり、営業最終日の商業施設でもらったチューハイのサンプルを、受け取る列で知り合った青年と公園で一緒に飲むという話。 「亜熱帯の進行するところの、あの気候がまさしく、自分にとってサウナの役割を果たしているからではないか。それもサウナ単体ではない。屋外のうだるような暑気がサウナに相当するなら、冷房の効いた室内は冷水浴に相当する。そこを出たり入ったり、交互に過ごすうちにひとりでサウナ通いに類する効果をこうむり、おのずから我知らず、身体がそれを求めるようにもなった。これは先に露出盛りの効果に繋げれば、なるほどあの時節の街の賑わいは混浴サウナのごときであり、そこに溢れる肌もあらわな女人はいずれも、タオル一枚きりを裸体に巻いた姿にあらかたひとしい。たしかに出がけ甲斐があるというものだ。」(p.101) また、フランス古典小説集として紹介されていたアルフォンス・アレーの「風変わりな死」もユーモラスで面白い。

Posted byブクログ

2018/01/14
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※このレビューにはネタバレを含みます

■巻頭エッセイ  皆川博子 ■特集:わたしのガイドブック  澤田瞳子 谷崎由依 山崎まどか 山田航 ■小説  木下古栗「人には住めぬ地球になるまで」晩秋、建て替え中のビルについて問われ、3か月前を思い出す……  古谷田奈月「橙子」★可愛らしい仕草のお父さんに、橙子はこのところ違和感。高校入学説明会の帰り、お父さんはバスを一駅ぶん歩こうと言い、橙子は乗って、合流することに……  町田康「狭虫と芳信」広原狭虫がぼくジュニーに頼んでくる、「大願王芳信がうちからものを盗むが、その反動で美味しい仕事が入るようになった。のに、最近は盗まない。盗みを働くよう仕向けてくれないか……  宮内悠介 「ディレイ・エフェクト」1944年の風景が、現在に二重写しになって、しばらくして。音楽のディレイ・エフェクトのような状況を、人々は受容しつつある…… ■短歌  伊舎堂仁 國森晴野 染野太朗 野口あや子 ■エッセイ  辻山良雄 都甲幸治 ■翻訳  アルフォンス・アレー「風変わりな死」★水彩画で……  マルセル・シュオッブ「眠れる都」★海賊の集団が見つけたのは、時間の制止した町……  マルセル・ベアリュ「小さな少女がパリにやってきた」★すれ違う人々に体の一部を……    (西崎憲訳)  マルレーン・ハウスホーファー「さくらんぼ」宗教の時間にわざとスペルを間違う遊びをしていたところ……「雌牛事件」家には様々な罰則や決まりがあったが……「フォン・ガイエン氏の夜の出逢い」親戚の子供から……    (松永美穂訳) 「ディレイ・エフェクト」が芥川賞候補だが、功労賞狙いの候補入りか、この雑誌を話題にするための候補入りだろう。 そう思わざるを得ないほど都合のいい小説。 素敵な短編にいくつか出会えた。

Posted byブクログ