愛についての感じ の商品レビュー
文化系トークラジオLifeでしか知らなかっためろん先生の著作をついに読んだ。 興味の範囲が非常におもしろい人だという印象だったけど、 その印象通りにいろんな範囲の、ちょっとアングラな方面の知識が滲み出てて、 かつどの短編も孤独と出会いの描写が絶妙。 「愛について」みたいに「愛」...
文化系トークラジオLifeでしか知らなかっためろん先生の著作をついに読んだ。 興味の範囲が非常におもしろい人だという印象だったけど、 その印象通りにいろんな範囲の、ちょっとアングラな方面の知識が滲み出てて、 かつどの短編も孤独と出会いの描写が絶妙。 「愛について」みたいに「愛」とか冠しちゃう作品は、 その言葉に非常に慎重な人間なだけに惹かれてしまう。 かなり構えて読んでしまう。 けど、今作は十分にそのスタンスに応えてくれたし、 すばらしかった。 生きにくい中でも、出会いがあって、 束の間だけ現れるそれの感じがたまらなかった。
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愛とは何だろう?と悩み右往左往する主人公、うまく愛を注げずに悲劇に見舞われる主人公、きっとバッドエンドだと分かりながらも愛することを止められない主人公などなど。傷付きまくる不器用な「好き」が飛び交う狂気の短編集。 なかでも印象に残っているのは「新世界」。いわゆる結ばれない運命的なストーリー。ヒロインである「たま子」の、相手から見て恥ずかしいであろう(本当はそんなことないのに)自分の境遇なり世界に泣きたくなる気持ちと、それでもなお自分のことを知ってもらいたいという気持ち。 うまく思うことを伝えられない二人であるが故に、行間から伝わる感情が美しく、それでいて、美しさは必ずしもハッピーエンドを約束してはくれない。 「不器用で切ない」(裏表紙より)物語を娯楽として受容できるほど、私は成熟できていないのかもしれない。この小説を読んで思ったのは、そんなこと。
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はみ出し者たちの不器用な恋模様を描く作品集 世の中にはうまく馴染めないけれど、君に出会うことだけは出来た―はみ出し者たちが、街の片隅で出会い、不器用に奏でるもどかしい恋模様。異色の経歴を持つ作家だからこそ描けた切ない5編の作品集。
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