他に好きな人がいるから の商品レビュー
プールの底に眠る、で白河三兎さんを知った。 そのときも感じた『弱いようで強くて切ない優しさ』が、ここにもあった。 ギューっと胸の奥を掴まれるような、でもそれが心地良いような。だから、私は白河三兎さんが好き。
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ほろ苦い青春小説。 ありそうでなさそうな荒廃した町、心に傷のある僕、現実離れした兎人間…。 みんなに認められることよりも、誰か一人に認められればいい。そういうことなんでしょう。 ほろ苦い最後だけれど、読後感は良いです。
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主要産業が衰退し、住民から希望が無くなった街。 坂井は、マンションの屋上で高所自撮りの写真をSNSにアップする通称「バケタカ」に出会う。 いつも通りのどんでん返しが面白かった。 個人的に本作では衝撃的なポイントが2回あって、より楽しめた。 でも、いつも光っている構成・演出が...
主要産業が衰退し、住民から希望が無くなった街。 坂井は、マンションの屋上で高所自撮りの写真をSNSにアップする通称「バケタカ」に出会う。 いつも通りのどんでん返しが面白かった。 個人的に本作では衝撃的なポイントが2回あって、より楽しめた。 でも、いつも光っている構成・演出がいまいちだった。 盛り上がりに欠けてしまっていた。 それと、ちょっと理解し難い展開も多かった。 坂井と西本の一幕とか。 坂井はトラウマのせいで自分に関心が向かないのはよくわかるのだが、それでどうして他人ばかり気にかけているのかはよくわからない。 自分にも他人にも無関心というのならわかるのだが。 ウサギ人間の正体は、いつもの芯のあるヒロインであればそあの人は違うだろうなーと思っていたが、やはり予想通りだった。 ただ、逆境に負けない精神を描くのがかなり終盤になってからなので、あまり心の強さを感じることはなかった。 それと、ウサギ人間と普段の彼女の姿にかなり差があるので、同一人物として見づらかった。 ラストは、あの町を出た今となっては自由に生きてもいいんじゃないかと思った。 「掴んでないとホントに空に昇って行っちゃう」が伏線になると思ったのに……。 なかなか『私を知らないで』を超えてこない。
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白河三兎、久しぶりに読んだ。やっぱオモロいわ。 かつて造船業で栄えたが、造船不況・景気後退のあおりを受けて死にゆく街を舞台に、スクールカースト底辺を自称する自己主張を抑えた冴えない主人公の少年が語る、兎の仮面をかぶって高所で写真を撮りSNSにあげる「バケタカ」なる謎の人物の物語。 設定を描いただけでも、情報量が多すぎて困ってしまう…(笑 俺らのティーン時代もそれなりに鬱屈してた。青春時代が夢なんて後から思うものであって、そのど真ん中では来た道行く道すら分からず途方に暮れる…と古い歌にもある通りなのだが、それにしても、今の子らの不幸。 子供らの不幸には親世代の負の遺産ってのがどうしたってあるわけで、俺ら世代が彼らを生きづらくさせているんだと思うと申し訳ないねんなぁ。 っという、親目線で読んでしまう作品だったけど、世代が違ってもこの小説は見事。フーダニットの回答もきっちりとした着地点だし、主人公の冴えなさや、ヒロインの業の強さ始め、キャラ立ちも十分。 素直なハッピーエンドじゃないあたり、屈折度合いがティーンやなぁとも思う。読書に関してはすっきり爽やかな青春もいいけど、「そんなもんちゃうかったやろ俺らも」と思い出させてくれる、こんなお話も読みたいのである。 俺も屈折しとるなぁ…。主人公たちの、幸せな未来を願って止まない。おじさんはおじさんなりに明日も頑張ろうと思うぞ。
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『でももう大人だ。生まれてきた意味、生きなければならない理由は未だにわからないけれど、わからないまでもこの世に存在し続けることの尊さは薄らと実感できるようになった。』 「独学。人から教わるの嫌いなんだよ。ちっちゃい頃に『自由形』って響きに誘われて水泳教室に通ったんだけど、クロー...
『でももう大人だ。生まれてきた意味、生きなければならない理由は未だにわからないけれど、わからないまでもこの世に存在し続けることの尊さは薄らと実感できるようになった。』 「独学。人から教わるの嫌いなんだよ。ちっちゃい頃に『自由形』って響きに誘われて水泳教室に通ったんだけど、クロールしか教えてくれなくてさ」 「なんにもできないよ。披露する相手がいないと、コピーする必要がないんだ」 「できないって思ったら一生できない。先ずはやってみる。そうすればあなたの人生は豊かになる」 「誰かの言葉?」 「どんな言葉も誰かの言葉よ」 「あれに似ているかも。サッカーのW杯で日本代表が敗退した時の気分に」 「どういうところが?」 「日本に勝ったチームが次の試合でボロ負けしてほしい気持ちと、勝ち進んで優勝してほしい気持ちが鬩ぎ合う。そんな感じ」 「お父さんの遺産なんだね」 「遺産?」 「うん。悔しいから滅んじゃえ。お父さんの分も頑張れ。正反対の気持ちだけど、どっちもお父さんが遺してくれたものでしょ?」 「モヤモヤが晴れただけでも大満足なんだよ ー 幽霊とか妖怪って、あやふやだから不気味なんだと思う。クリアに写った心霊写真は全然怖くないよ」 『他人からどう思われるかよりも、自分がどう思うかの方がずっと大事だ。』 「好きになった理由と嫌いになった理由が同じになることが多いんだって。テレビで心理学者が言ってた。恋が冷めると『頼もしい』は『横柄』に、『情熱的』は『暑苦しい』に、『頭がいい』は『中身が空っぽ』に、『優しい』は『優柔不断』に変換されるらしい」 『呪いが不幸の連鎖を起こしたのだろうか? ドミノ倒しの一枚目を倒したのが呪いだったのなら、この町に加害者はいない。後ろから押されたから前の人を押さざるを得なかった。みんな町の呪いに因る被害者だ。』
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廃頽した町で承認欲求を燻らせる少年少女が、高所自撮りをする。ネットの反応を見、フォロワーを弄ぶ。正体不明の相方との危うい関係が面白かった。大人の世界に対し被害者意識があり、卑屈である。今日の精神的に健康ではない感じが、わかってしまう。
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死にゆく町から逃れようと必死でもがく青春物語。 人物配置が非常に巧みで、最後主人公は呪いから逃れる事が出来、新しい気持ちに向き合えるような印象的なラストだった。
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設定に少し難があるが、野球で言えばタイムリーヒットのような一打の作品であろう。 最後まで疑問が残ったのは表紙の姿は誰、かである。
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昭和に栄えた産業が衰退した暗い町で起きる思春期のあれこれ。何かと兎押しなのは著者名と関係あるのか気になる。
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過去に、今に、縛られる高校生、うさぎ人間と酒井くんと峰さんのお話。ファンタジーの香りがするミステリー。大きな破綻もなく、比較的綺麗にドンドン読めめす。アニメ化される予感です。
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