カラスヤサトシの日本文学紀行 の商品レビュー
図書館から借りる ちょっと文字数多いマンガ本なんだけど なかなか面白いと思った。 物語の中にある、 いったことない場所、行けるわけもない時代をとりあげてて、それを解説してくれている。 そして、行った気になれる。 不思議な本でした。
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近代文学のこういう読み方もあるんだなあと、ちょっとした目ウロコ。「生きる苦悩とかの部分はやや飛ばし気味」に「失われた世界を文学を介して見る」という視点が新鮮だ。確かに、明治から大正、昭和の戦前にかけての日本や日本人の姿を知るのに、文学作品は格好の素材だろう。作者は「明治期の風景や...
近代文学のこういう読み方もあるんだなあと、ちょっとした目ウロコ。「生きる苦悩とかの部分はやや飛ばし気味」に「失われた世界を文学を介して見る」という視点が新鮮だ。確かに、明治から大正、昭和の戦前にかけての日本や日本人の姿を知るのに、文学作品は格好の素材だろう。作者は「明治期の風景や文化、大正期の空気感などに惹かれるが、現代にはついていけてない」そうだが、本当に、今の世の中に違和感を抱く若い人に近代文学を読むようすすめるというのはいいかもしれない。 夏目漱石や川端康成といったビッグネームに、芥川龍之介、太宰治、横光利一など、まあ当然だわねという作家も登場するのだが、特徴的なのは、きちんと読んでる人がどれくらいいるのか?という顔ぶれがたくさん出てくることだ。国木田独歩・徳田秋声・長塚節・田山花袋など、そりゃ文学史的知識として名前は知ってるけど…。葛西善蔵・近松秋江・嘉村礒多あたりは、コアな私小説ファン以外あまり読まないのでは。小沼丹・小杉天外なんかもかなりマニアック。岩阪恵子・小島政二郎・奥野信太郎・上司小剣…、それ誰? いいなあと思ったのが、自分が気になったことはきちんと調べるという作者の姿勢。ある一つの事実を確かめるために、何冊も決して安くはない古書を買ったりしている。いろんなことがあまりにお手軽になった今、こういうスタンスって貴重じゃないかな。
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