ヒトラーの原爆開発を阻止せよ! の商品レビュー
第二次大戦中、イギリスからアメリカへと受け継がれた原爆開発。両国が原爆開発を急いだ理由は当時の技術大国であるドイツのナチス・ドイツもまた原爆開発を進めているに違いないと考えたからだ。 当時、核分裂の連鎖反応を制御するための減速材として黒鉛と重水が有望視されていた。重水とは水素や酸...
第二次大戦中、イギリスからアメリカへと受け継がれた原爆開発。両国が原爆開発を急いだ理由は当時の技術大国であるドイツのナチス・ドイツもまた原爆開発を進めているに違いないと考えたからだ。 当時、核分裂の連鎖反応を制御するための減速材として黒鉛と重水が有望視されていた。重水とは水素や酸素の同位体を含む水であり、ナチス・ドイツは重水を使用して原爆開発に必要となるプルトニウム239を生産しようと計画したが、その肝心の重水はノルウェーの企業ノルスク・ハイドロ社がテレマルク県のリューカンのヴェモルクに建てた工場で肥料生産の副産物として生み出されるのみだった。 ナチス・ドイツはノルウェーに侵攻し、ノルスク・ハイドロ社の重水生産を増産させ、原爆開発に使用しようとしていた。 アメリカとイギリスはこのナチス・ドイツの原爆開発を阻止するため、ノルウェーからの亡命者で構成された工作部隊をイギリスから密かにヴェモルクに潜入させ、重水工場の破壊工作を実施しようとしていた・・・。 第二次大戦中のアメリカの原爆開発(マンハッタン計画)の経緯についてはリチャード・ローズ著「原子爆弾の誕生」が決定版だが、その中においても、ナチス・ドイツの原爆開発を阻止するためにノルウェーの重水工場を破壊する計画が実行されたことはほんの少し触れられる。 しかし、そのほんの少しの話について本書はその詳細を克明に描いている。 原爆開発の裏面、ナチス・ドイツの原爆開発阻止の物語。
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