阪堺電車177号の追憶 の商品レビュー
大阪から堺へかけて走っていた路面電車、阪堺電車の周辺で起きた市井の人々の心温まる物語による短編集。戦前から現代へ、物語と電車が世代を繋いでいく構成は、現代史・地域史として、とても面白く、小学校の教材によいのでは、と思う。こういうストーリーテリングによる教材の方が、興味深く知ってく...
大阪から堺へかけて走っていた路面電車、阪堺電車の周辺で起きた市井の人々の心温まる物語による短編集。戦前から現代へ、物語と電車が世代を繋いでいく構成は、現代史・地域史として、とても面白く、小学校の教材によいのでは、と思う。こういうストーリーテリングによる教材の方が、興味深く知ってくれるだろう。
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阪堺電車の沿線に住んでいるので手に取りました。日本で最も古い現役路面電車の語る大阪下町プチミステリー。なじみのある土地が舞台なのて楽しめました。 連作形式だけど、伏線が張ってあるわけでもなかったのが惜しい気がしました。最後に膝を打つ感じが欲しかった、というのは贅沢?
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85年の歴史の中の連作。 それぞれの人生がつながるので、とても面白い。 電車のことも詳しく書いてあるので、そちらも興味深く読めました。
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第一章二階の手ぬぐい。中々一筋縄でいかない構成にしている。質屋の二階につるされたタオルをめぐる推理。どんでん返しではなくいわゆるオチの妙。最後の落とし方が必要だったかな、あるいは弱すぎる。 第二章防空壕に入らない女。文字通り防空壕に入らない女の話。最後の落ちが今一不自然というか、...
第一章二階の手ぬぐい。中々一筋縄でいかない構成にしている。質屋の二階につるされたタオルをめぐる推理。どんでん返しではなくいわゆるオチの妙。最後の落とし方が必要だったかな、あるいは弱すぎる。 第二章防空壕に入らない女。文字通り防空壕に入らない女の話。最後の落ちが今一不自然というか、思わせぶり。未完成を感じる。第三章財布とコロッケ。ほのぼのとした話。しかし少し無理があるかな。第四章二十五年目の再開、第二章の続きになる、なるほど面白い構成だ。第五章宴の終わりは幽霊電車、詐欺師をとっちめる話第六章鉄っちゃんとパパラッチのポルカ、マンションに張り込んでいた記者にまつわる騒動。エピローグ。この小説書きおろし小説だ。各章を読んでも一応のオチがあるが、全体の章が阪堺電車177号を中心としてつながりがあり、最後のエピローグでその種明かしめいたものを再度書いてある。構成としては面白いが回りくどく今一わかりにくい。わざわざ阪堺電車を持ってきた意味が、しかも阪堺電車を擬人化までして作り上げる必要があったのだろうか?構成オチがいまいち成功していないのかなあ?各章の落ちも少し強引すぎたので、もう少し書き方があったのではと、批評家気分で思ったのだが、軽く読み切るには面白い小説ではある。
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