職業としての地下アイドル の商品レビュー
自身が地下アイドルである、姫乃たまさんによる地下アイドルに対する解説本。 筆者の文章力や分析力の高さが、所謂アイドルというイメージを遥かに超えていて、まさに本物のライターレベルだと思う。地下アイドルの裾野の豊かさを感じる。 プロローグに、筆者が地下アイドルになった経緯の記載が...
自身が地下アイドルである、姫乃たまさんによる地下アイドルに対する解説本。 筆者の文章力や分析力の高さが、所謂アイドルというイメージを遥かに超えていて、まさに本物のライターレベルだと思う。地下アイドルの裾野の豊かさを感じる。 プロローグに、筆者が地下アイドルになった経緯の記載があり、この記載が一番臨場感にあふれていて生々しく面白い。 この本に書かれているように、地下アイドルは、普通の女の子が、「なんとなくなる」ことが多い。なんとなく誘われてライブハウスのステージに何の気なしに立ってみたら、ファンが付き、声援が送られる。十代のアイデンティティが確立できていない不安な時期の、承認要求から、どんどんアイドル活動にのめり込む。筆者の場合は、最終的に過重労働状況になり、うつ病になり体が動かなくなるまで地下アイドル活動をしてしまう。 SNSと同じように誰かと繋がっていたい、誰かに承認されたいという関係性のネットではないリアルな形でのかかわりなのかなと思った。 地下アイドルは、地上アイドルと異なり、ファンとの距離の近さがある意味、共同体的なチーム活動になる部分があるのが面白いなと思う。昔のいわゆるスター誕生時代の選ばれし時代はネットも発達していないし、メディアもTVからの一方的な発信によって成り立っていた。 最近はyoutubeからの発信など、TVからではなく、表現する側に色々な選択肢や可能性があり、またその発信側に、アイドルのファンも濃くかかわれる、ファン側の価値観を地下アイドルを通して表現できる。 ここにある意味クリエイティブな面白さをファンは感じるのではないか、と思った。 昔のアイドルファンとまた違った進化系の活動があるだろうな。と。 しかし、平日に地下アイドルのライブに行けてしまうとか、土日に地下アイドルのライブに行くとか、仕事や家庭との両立という意味では、相当難しいのではないかと思うが、どうやって両立しているのかな?そちら側のルポも見てみたいと感じた。
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ライブアイドルの現状を、アイドル側、お客側の両方から取材やさらには社会調査で明らかにしている。体験者のエッセーのようでいながら、実は多くの問題意識をベースにした客観的な社会学文化論研究であるといえるほど充実した分析をしている。とかくあるステレオタイプでみられがちなアイドルとその現...
ライブアイドルの現状を、アイドル側、お客側の両方から取材やさらには社会調査で明らかにしている。体験者のエッセーのようでいながら、実は多くの問題意識をベースにした客観的な社会学文化論研究であるといえるほど充実した分析をしている。とかくあるステレオタイプでみられがちなアイドルとその現場を現実に即して捉えなおせる良書。愛され方をよく知っている女子と、自己肯定感の高いファンたちという構図は納得できる。
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地下アイドルが書いた本ということで、少し偏見もありながら読み始めてみたのだが、文章力の巧みさと語彙の豊富さに驚き、はじめはゴーストライターが書いているのかと思ったほど。 それもなるほど、多い時で20本もの連載を持っているということに納得。
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地下アイドルである著者が、自身の経験とアイドルとオタクにとった大量のアンケートから論じる地下アイドルについての考察。 基本的に宣伝文にあるような煽情的な内容はほとんどなく、 アンケート結果の読み取りを中心にした極めて地道で誠実な内容。 「アンケート結果が一般の人は~%で、アイド...
地下アイドルである著者が、自身の経験とアイドルとオタクにとった大量のアンケートから論じる地下アイドルについての考察。 基本的に宣伝文にあるような煽情的な内容はほとんどなく、 アンケート結果の読み取りを中心にした極めて地道で誠実な内容。 「アンケート結果が一般の人は~%で、アイドルは~%だから、アイドルは~です。」みたいな論じ方が多くて、 そんなに単純に結論付けられるものなのかなって思う点も多々あったけど、 著者の実体験をもとにした部分等は流石の説得力だったし、 論じ方の端々から著者自身のアイドル・オタク像や それらに対する愛情が見え隠れするのはなんか良いなと思いました。
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地下アイドルはどんなことを考えているのかを知りたければ、著者の文章を読むのが近道でしょう。ところで、アイドルさんからすると特典会に来ない人は、見えない透明人間なのですね。まったく言及がない。興味深いです。
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ここまでアイドルが自分の正直な気持ちを吐露してよいものかと逆に心配してしまうが、切実な思いがビシビシと伝わってきて、胸を打たれる。 ただのアイドル本ではない。 アイドルとアイドルを取り巻く環境、ファンをできる限り数字を示すことによって、客観的に見つめるところが、この作品の特筆す...
ここまでアイドルが自分の正直な気持ちを吐露してよいものかと逆に心配してしまうが、切実な思いがビシビシと伝わってきて、胸を打たれる。 ただのアイドル本ではない。 アイドルとアイドルを取り巻く環境、ファンをできる限り数字を示すことによって、客観的に見つめるところが、この作品の特筆すべき点だ。 地下アイドルという言葉にアンダーグラウンドな空気を感じて、実はそこに惹かれて本書を手に取ったのだが、結局、地下アイドルでさえ幻想なのかと今では思う。 地上・地下といった概念はAKB以降のものなのだ。 いや、AKB以降にさらに混沌としている。 地上波テレビがかつての勢いを失った現在では、もう地上すら怪しいのでは?とすら感じてしまう。 アイドルがこんなに頑張っていて、読者たる自分が頑張らない理由はない。この本は力強い。
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