知られざる地下微生物の世界 の商品レビュー
過剰なまでに微に入り細を穿って地下微生物を採集する様子を描く原著のスタイルに、よくこれを商業出版で出すなというレベルの下訳のまま放りだしたような訳文の相乗効果で、なんとも読み難い代物に仕上がっている。 テーマそのものは極めて興味深い。地下に細々と生きる微生物を研究することが、火...
過剰なまでに微に入り細を穿って地下微生物を採集する様子を描く原著のスタイルに、よくこれを商業出版で出すなというレベルの下訳のまま放りだしたような訳文の相乗効果で、なんとも読み難い代物に仕上がっている。 テーマそのものは極めて興味深い。地下に細々と生きる微生物を研究することが、火星やエウロパ、はたまた生命の起源につながるというのだから。 しかし、そうしたテーマが一般向けの本らしく要領よくまとめて提示されるのはあわせて20ページくらいしかない序論とエピローグだけで、その間400ページはひたすらいつ誰がどこで何をしたかみたいな微生物採取話が多少の理論的な解説をはさみつつグルグルと続く。そういった細部から研究者ライフの様子が伺い知れるし、へーっとなるエピソードや、鉱山の描写など面白い箇所は多いのだが、読んでいてちと疲れました。とにかく訳がなあ。。。 本書は10章に分かれるが、大まかな構成は以下の通り。 第1章から第4章はSSP(Subsurface Science Program)なるアメリカの研究プログラムが地下微生物の研究に学際的に取り組む様子。時代としては1986年から97年。もとは核施設の廃棄物による環境汚染を調べるプログラムに便乗する形でスタートしているあたりが面白い。フランク・ウォバーというリーダーを得て学際的なプログラムになる。放射線年代測定が専門だった筆者も微生物は素人ながら加わって初歩から学んでいく。ただ概ね全編がいかにコンタミを防いで試料採取するかという話。 第5章から第8章は著者らが南アフリカの鉱山で微生物探しをした記録。時代は1998年から2003年。他国の生物を採集するので生物多様性条約に従う必要があって慌てたり、南アフリカ社会の様子も描かれたり、本人の体験談ならでは。ただ概ね全編がいかにコンタミを(略)。 第9章、第10章はその後の動向という感じで、今度は北極圏の鉱山での活動と、線虫みたいな「複雑」な生物まで地下にいた、生態系だ、すごい!てな話。ただ概ね全編が(ry 地下深くに微生物がたくさん住んでいるのは間違いないのだが、必ずしも地下が微生物の皆さんにとって生きていくのがウハウハのイージーモードという訳ではないようだ。栄養源が乏しいので、放射線崩壊で得られた水素だか酸素だかを使ったり、活動レベルを落として、生殖も最低限に、細々と暮らしているイメージ。このへん生化学に少しでも詳しければもっと楽しく読めただろうな。
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原題はDeepLife、これじゃダメなのか? 地下何千メートルに生物がいる、ってことは別に男のロマンじゃなくて、核地下実験の放射性廃棄物を利用する生物を計算に入れる必要あるやろ、ってことよ。でもって更に、そんな地下深くなら、月とか火星とかもアリじゃね?的な…って何とか理解できたのは序章まで。うっはー、わからん言葉だらけでついて行けない。挫折。
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