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機巧のイヴ の商品レビュー

4.1

40件のお客様レビュー

  1. 5つ

    13

  2. 4つ

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2023/12/29

スピンオフをアンソロジーで読んで、面白かったので本編を購入。奥深い、味わい深い面白さ。 生身の人間と変わらない外見や動きを備えた機械人形が存在するようなSF性と、武士や忍びが活躍する江戸風の舞台。歯車やバネがみっしり詰まっているのに、関取に想いを寄せたり願掛けをする人形。由来も仕...

スピンオフをアンソロジーで読んで、面白かったので本編を購入。奥深い、味わい深い面白さ。 生身の人間と変わらない外見や動きを備えた機械人形が存在するようなSF性と、武士や忍びが活躍する江戸風の舞台。歯車やバネがみっしり詰まっているのに、関取に想いを寄せたり願掛けをする人形。由来も仕組みも説明のつかない、この時代の中で浮いた存在である伊武に、久蔵も甚内も惹かれているが、伊武自身が何か行動して物語が動くわけではない、というところも良かった。信じたり欺いたり、助けたり殺したり・・・動いてかき回すのは人間だ。だから行動に破綻や不可解さはなく、時代小説のように読んでいける。SFに寄りすぎていないバランスが好みだった。 「どうやってその証を見せる」 「あるからこそ、今、それを失うのだ」 機械人形に心は宿るのか、という命題も組み込まれている。 「人の体をどんなに細かく腑分けしても、機巧と同様、その人の心を現すものや感情や記憶を思い起こさせるものなど、一切出てこないのだ。――振る舞いの中に命がある」 それと装画がカッコよくて忘れられないインパクト。くじらの模様の帯を持つ"太夫"。

Posted byブクログ

2023/11/23
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※このレビューにはネタバレを含みます

先の時代を垣間見る様なストーリーで からくり人形を通してそれぞれの心情を垣間みせ 心を宿すのかという問いかけている。 日本はAIロボットに愛着がある民族なのですんなりと読めると思います!

Posted byブクログ

2022/12/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

普段あまり手にすることのないSF、時代物、そんな一見して交わることのなさそうな2つのジャンルが掛け合わさるととんでもない作品が生み出されました。 その名は「機巧のイヴ」。 主人公を変えながら進む5作の連作短編が生み出す衝撃の面白さ。 江戸時代を匂わせる時代設定の中で、現在の科学技術でも創り出すことが出来ない人知を超えた技術の結晶、美しき女の姿をした〈伊武〉が存在! いわゆる人型ロボット(アンドロイド)なのですが、無論、ICチップもコンデンサも、モーターさえも入っていません。 所謂、からくり人形です。 しかし、この伊武がなんともいえないぐらいに魅力的なんですよねー。 続編買わなくちゃ。 説明 内容紹介 SF×伝奇=未体験ハイブリッド小説!! 「歴史的傑作! この女に命が無いのなら、命とは一体なんなのか」(?大森望) 天府城に拠り国を支配する強大な幕府、女人にだけ帝位継承が許された天帝家。二つの巨大な勢力の狭間で揺れる都市・天府の片隅には、人知を超えた技術=オーバーテクノロジーの結晶、美しき女の姿をした〈伊武(イヴ)〉が存在していた! 天帝家を揺るがす秘密と、伊武誕生の謎。二つの歯車が回り始め、物語は未曾有の結末へと走りだす──。驚異的な想像力で築き上げられたSF伝奇小説の新たな歴史的傑作、ここに開幕! 目次 機巧のイヴ 箱の中のへラクレス 神代のテセウス 制外のジェぺット 終天のプシュケー 解説 大森望 出版社からのコメント 大森望、絶賛!! ロボットと時代小説。一見、ほとんど正反対の両者をみごとに溶け合わせて、ほとんど前例が見当たらないほど独創的な物語を組み立てたのが、本書『機巧のイヴ』。古今のSF時代小説の中でも指折りの、まさにインスタント・クラシックーーこの先、SFの歴史に古典として長くその名が刻まれるだろう名作だ。 内容(「BOOK」データベースより) 天府城に拠り国を支配する強大な幕府、女人にだけ帝位継承が許された天帝家。二つの巨大な勢力の狭間で揺れる都市・天府の片隅には、人知を超えた技術の結晶、美しき女の姿をした“伊武”が存在していた!天帝家を揺るがす秘密と、伊武誕生の謎。二つの歯車が回り始め、物語は未曾有の結末へと走りだす―。驚異的な想像力で築き上げられたSF伝奇小説の新たな歴史的傑作、ここに開幕! 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 乾/緑郎 1971(昭和46)年、東京生れ。2010(平成22)年、『完全なる首長竜の日』で『このミステリーがすごい!』大賞を、『忍び外伝』で朝日時代小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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2022/11/14

機巧人形と人… 江戸時代の日本に似た世界が舞台でしたが、将来来るかもしれないアンドロイドと共存する世界…の、先駆けのようなものを感じました。 人の魂は何処に宿るのか? アンドロイドに魂は宿るのか? 人と何が違うのか? 考えさせられました(哲学的な意味で)。 と、さらにですが、...

機巧人形と人… 江戸時代の日本に似た世界が舞台でしたが、将来来るかもしれないアンドロイドと共存する世界…の、先駆けのようなものを感じました。 人の魂は何処に宿るのか? アンドロイドに魂は宿るのか? 人と何が違うのか? 考えさせられました(哲学的な意味で)。 と、さらにですが、物語としても凄く面白いです。続編にも期待できます。

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2022/09/23

友人に薦められて読みました。最初は世界観についていけず、正直いまいちかなと思いながら読んでいました。しかし、エピソードを追うごとに世界観への理解が深まり、読めば読むほど面白く感じる。そんな不思議な小説でした。決して読みやすくはないですが、非常に味わい深い物語です。途中でやめなくて...

友人に薦められて読みました。最初は世界観についていけず、正直いまいちかなと思いながら読んでいました。しかし、エピソードを追うごとに世界観への理解が深まり、読めば読むほど面白く感じる。そんな不思議な小説でした。決して読みやすくはないですが、非常に味わい深い物語です。途中でやめなくて良かったです。

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2021/11/25

江戸時代を思わせる時代風俗を背景に、最上位の花魁の姿をうつした機巧人形〈伊武〉と、その美しさ、その不思議に魅入られた人々、機巧の秘密を守る天帝家などをめぐる連作短編集。 乾緑郎さん、初読。 名前は知っていたけれど、ご縁がなかった。 人の手によって作られた人形に心はやどるのか...

江戸時代を思わせる時代風俗を背景に、最上位の花魁の姿をうつした機巧人形〈伊武〉と、その美しさ、その不思議に魅入られた人々、機巧の秘密を守る天帝家などをめぐる連作短編集。 乾緑郎さん、初読。 名前は知っていたけれど、ご縁がなかった。 人の手によって作られた人形に心はやどるのか。 完璧な複製が存在するとしたら、オリジナルとの違いは何か。 生身の身体を少しずつ機巧人形のパーツに置き換えていったら、人間と人形の境界はどこにあるのか。 「ブレードランナー」「からくりサーカス」「バイセンテニアル・マン」「ファンタジスタドール イヴ」などなど、よく似たテーマを扱った作品は数あれど、本作もまた面白かった。 表紙のイラストがまた妖しい美しさで、作品の雰囲気によく合っている。続編も読もう。

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2021/08/27

江戸時代を舞台にしたSF。機械仕掛けで、全く人間と区別がつかないイヴをめぐっての4つの連作短編集。思いが寄せられる程度によって、機械仕掛け(機巧)の人形の心の具合が決まって来るのだ。機械仕掛けの蟋蟀、相撲取り、幕府隠密、天帝、天帝を守る隠密、絡繰り師などが入り乱れて、話は次々と展...

江戸時代を舞台にしたSF。機械仕掛けで、全く人間と区別がつかないイヴをめぐっての4つの連作短編集。思いが寄せられる程度によって、機械仕掛け(機巧)の人形の心の具合が決まって来るのだ。機械仕掛けの蟋蟀、相撲取り、幕府隠密、天帝、天帝を守る隠密、絡繰り師などが入り乱れて、話は次々と展開する。思いを寄せるから魂が生まれる!?では、その思いを寄せる人間の魂はどこから来たのだろうか。攻殻機動隊のゴーストというのを思い出してしまった。機械のタチコマたちには、ゴーストはあったように思うのだが。イヴはお千度参りなどをして、人間になる事を願っているが、既に人間の魂を持っているのだ。

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2021/06/02

オーバーテクノロジーが存在する架空江戸(天府)を舞台にしたSF時代劇。スチームパンクに例えることできるが、赤影の世界だよなあ。読み切り短編の色が濃い、初期の作ほど時代劇寄りの感じ。木枯し紋次郎あたりを思わせるが、後半になると連作の感じがはっきりしてきて、SF色がぐっと強まる。読み...

オーバーテクノロジーが存在する架空江戸(天府)を舞台にしたSF時代劇。スチームパンクに例えることできるが、赤影の世界だよなあ。読み切り短編の色が濃い、初期の作ほど時代劇寄りの感じ。木枯し紋次郎あたりを思わせるが、後半になると連作の感じがはっきりしてきて、SF色がぐっと強まる。読み切りの形でもう少し勝負しても良かったような気もする。

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2021/05/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

オートマタといえば、からくりサーカス。そんなイメージで読み進めました。 誰が機械で誰が人形か。そこの線引きは果たして。 伊武に似た人が何人も出てくるからややこしい。役職も立場も様々でこれまたややこしい。面白いけどイマイチ入り込めず。

Posted byブクログ

2021/05/06

歴史×伝奇×SF。天帝と幕府が二大勢力として君臨する、江戸によく似た世界が舞台。伊武(イヴ)という精巧なガイノイドを巡り、命とは何なのかを問いかける。押井守の『イノセンス』のような世界観を彷彿とさせる。一本筋の通った連作短編集で、どれも読み応えがあり面白かった。

Posted byブクログ