〈政治〉の危機とアーレント の商品レビュー
現代的な課題を踏まえてアレントの主張をよりアクチュアルに捉え直す。実にためになる本だ。特に、科学技術と「人間の条件」が重要だ。
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やっぱりアーレントって人はすごい。ってちゃんと理解できているかは自信ないけど。2度読んでみた。現代社会からすると空理空論と批判されることもあるみたいだけど、政治が経済に隷従していいはずがないし、人間が人間であるのは、他者または自分とは異なるものと、ともに生きていくことなんだとする...
やっぱりアーレントって人はすごい。ってちゃんと理解できているかは自信ないけど。2度読んでみた。現代社会からすると空理空論と批判されることもあるみたいだけど、政治が経済に隷従していいはずがないし、人間が人間であるのは、他者または自分とは異なるものと、ともに生きていくことなんだとするアーレントの主張に100%同意する。もっとも分かりやすい解説はアーレントの主張というより佐藤教授のものなのでは? と疑っちゃうところもあるけど、人は何かを始めるために存在する、そしてそれこそが全体主義に対抗できるものだ。 「始まりに対しては、いかなる論理、いかに説得力のある演繹も何らの力ももっていない」とするアーレントは、ナチスの迫害にあってなお、きっと人間を信じていたのだと思う。
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アーレント思想の、もっとも心に生きる意欲をかきたててくれるような言葉、「人間はたとえ死ななければならないとしても、人間が生まれてきたのは死ぬためではなく、始めるためである」というのは、ハイデガーの「死に向けた存在」という考え方への根本的な批判だとか、アウグスティヌスの深遠な時間論...
アーレント思想の、もっとも心に生きる意欲をかきたててくれるような言葉、「人間はたとえ死ななければならないとしても、人間が生まれてきたのは死ぬためではなく、始めるためである」というのは、ハイデガーの「死に向けた存在」という考え方への根本的な批判だとか、アウグスティヌスの深遠な時間論についての思索の結果だといった哲学史上の議論を超えて、直接に私たちの心に染み込んでくる。こんな誰でも知っていることが、これほどの深みをもたらすのはなぜであろう。人間はどんなに厳しく絶望的なときも、いつも何かを始められるし、また始めているという思想が、日常の圧倒的な繰り返しや無力感の中で、どれほど大きな励ましに成ることだろう。
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