人狼への転生、魔王の副官(07) の商品レビュー
ロルムンド帝国編の完結となる7巻である。ここではドニエスクの乱以後、ボリシェヴィキ公を中心に巻き起こる陰謀劇が繰り広げられている。 実はこの辺の展開にはネット版では賛否があった印象があったが、こうして一冊の本として読み返してみると、きちんと整理された展開には感心させられる。ミ...
ロルムンド帝国編の完結となる7巻である。ここではドニエスクの乱以後、ボリシェヴィキ公を中心に巻き起こる陰謀劇が繰り広げられている。 実はこの辺の展開にはネット版では賛否があった印象があったが、こうして一冊の本として読み返してみると、きちんと整理された展開には感心させられる。ミーチャの物語に仮託されたロルムンド帝国の持つ自己犠牲の連環は、ここでは明らかに見える形で断ち切られているのだ。 その意味で、賛否のあったボリシェヴィキ公の末路についても、物語上の意味が付与されていると解釈すべきだろう。加筆された「シャリエとディリエの路」などを見ても、やはり彼らもまた連環を断ち切らんと立ち上がった者たちであり、手法の違い・手際の差はあれど、時代の変革の一翼を担ったと見るべきに思える。 と、本筋から離れてロルムンド編を俯瞰してしまったが、麗しき姫君の策謀は成り、その見送りを受けて去るヴァイトと、そのヴァイトの帰りを待つ魔人公の一幕が対比的に描かれてこのシリーズ最長となった物語は閉じられている。 書き下ろされた「剣奴の勇者」は、謎に包まれたドラウライトの大脱走が共和制崩壊を導いた歴史的な経緯をチラ見せするような内容で、シリーズに深みを持たせている。さらに同レーベルの漫画「魔王の秘書」とのコラボ企画なども挿入されている。 それらの点も加味して、ここでは星五つで評価したい。
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