花のようなひと の商品レビュー
『花のようなひと』は、花に関連した700字ほどのショートストーリーが28編、紡がれている。花のある日常がある。花をきっかけにして、記憶がよみがえったり、ある人を思い出す。また、その花が何か新たなものを呼んでくる期待なようなもの。花の記憶は、生活のなかの晴れやかさを演じる。 ショー...
『花のようなひと』は、花に関連した700字ほどのショートストーリーが28編、紡がれている。花のある日常がある。花をきっかけにして、記憶がよみがえったり、ある人を思い出す。また、その花が何か新たなものを呼んでくる期待なようなもの。花の記憶は、生活のなかの晴れやかさを演じる。 ショートムービーのような物語。 喧嘩ばかりしている姉は、妹が就職して実家を出たときに、スイトピーを飾ってくれた。その意味がわからず、花屋さんにスイトピーの花のことを聞いた。スイトピーの花は蝶が飛んで行くような姿をしている。花言葉が「門出」だった。そのことを聞いて、妹は涙するのだった。そのわずかな花のシーンが印象的だ。 トルコキキョウを見ていると学生の頃の合唱部を思い出す。なぜならトルコ桔梗が歌を歌っているように見えたから。 会社の先輩の袖にトゲみたいなものがついていた。なんですかと聞いたら、バラのトゲだった。今日朝、新入社員を迎えるバラの花が花瓶にいけて合ったことを思い出して、先輩に親しみを感じた。 20年前のこと、この花には秘密がある、イルカが隠れているのよと聞いた。それがいまになって、薄紫の花がデルフィニウムで、ドルフィンの文字が隠されていることを知った。ささやかな花の謎を知ったのだ。 結婚まで約束した彼と別れて半月、花屋に寄って、好きな花スカビオサを買った。一人ぽっちの家のテーブルにスカビオサを飾った。その花を見ながら自分が失恋の痛手から立ち直っていることがわかった。 気まずい喧嘩別れした。私が質問したのに、上の空だったから怒ってしまった。翌日に彼からのEメール。上の空の原因はショーウインドウにかざられていた小さな花のブーケに見とれていた。あなたにあうスズランの花をあげたいと思ったからだと謝りのメールだった。 桜とチューリップの名前しか知らない息子、ブラジルの花?と聞くので、アルストロメリアだと答える。どう言うわけか、昨日質問したのに、また同じ質問をする。夫に似ているとおもう。 花という存在が、心の中にあるものを引き出してくれることが、嬉しい。 『幼ななじみ』は、小学生の同級生が、火事で焼け死んだ。タバコによるものとされているが、タバコを吸う人ではなかった。そして、過去にあった日々を思い出して行く。なぜか、二人の秘密が思い出されるのだった。 牛尾篤の銅板版画が、牧歌的な優しさを感じる。
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今まで手に取らなかった類だなあ。 最近こういう軽いものを、少し本を買う時に入れてしまう。 これは、挿絵がとても素敵。
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佐藤正午の花のようなひとを読みました。 花をテーマにして日常の中で見かけるすてきな女性たちを描写したショートショート集でした。 牛尾篤の挿絵も綺麗でした。 佐藤正午の長編小説というと、物語の初めに描かれた物語をベースに読んでいくと、それとは全く違う様相の結末が描かれたものが多...
佐藤正午の花のようなひとを読みました。 花をテーマにして日常の中で見かけるすてきな女性たちを描写したショートショート集でした。 牛尾篤の挿絵も綺麗でした。 佐藤正午の長編小説というと、物語の初めに描かれた物語をベースに読んでいくと、それとは全く違う様相の結末が描かれたものが多く、物語にひねりが効いているという印象があります。 このショートショート集でも同じで短い物語であってもひねりが効いていて面白く読みました。
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〝花のようなひと〟は、日常の何気ないひとコマを切り取って描いた掌編集です。28の小さなお話に、牛尾篤氏のエッチングが添えられています。 併せて収録されている、想い出の断片を綴った〝幼なじみ〟にも、牛尾氏の水彩による挿絵が挟み込まれています。 すべてを語らない、美しい余白に思いを馳...
〝花のようなひと〟は、日常の何気ないひとコマを切り取って描いた掌編集です。28の小さなお話に、牛尾篤氏のエッチングが添えられています。 併せて収録されている、想い出の断片を綴った〝幼なじみ〟にも、牛尾氏の水彩による挿絵が挟み込まれています。 すべてを語らない、美しい余白に思いを馳せることのできる、とてもイイ感じの本です。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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+++ 日々の暮らしの中で揺れ動く一瞬。その心象風景を花々に託して、あざやかに描き出す。花のような女性たちに贈る優しさの花束。『PHPカラット』連載に未発表の作品を加えて単行本化。 +++ 詩画集のような趣である。花言葉や花の名前など、ときどきの花に、一瞬の心の動きをゆだねてい...
+++ 日々の暮らしの中で揺れ動く一瞬。その心象風景を花々に託して、あざやかに描き出す。花のような女性たちに贈る優しさの花束。『PHPカラット』連載に未発表の作品を加えて単行本化。 +++ 詩画集のような趣である。花言葉や花の名前など、ときどきの花に、一瞬の心の動きをゆだねているのが、とても効果的で、短い物語が、添えられる絵によってさらに鮮やかに情景を思い浮かべさせる。やさしくてあたたかい一冊である。
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とにかく1作が3ページ程度の短編だけど、短い文章から様々なことが感じられるのは佐藤正午さんのスゴさだ! 牛尾篤さんの挿絵と相まって絵本なのかと錯覚しそうに。装丁の素晴らしい1冊!
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