銀河の通信所 の商品レビュー
宮沢賢治氏の書かれた物をランダムに取り上げて、何かしら関わりのある人物にインタビューするという形態で、作品の内容を解説し賢治氏とはどういう人だったのかを浮かび上がぜている。ある意味変質的な丁寧さで、作品がどんどん解体されていくような面白さがあった。
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時空を超えて存在する「銀河通信社」の日曜版に〈賢治さんの百話〉という記事が連載されており、そこからの抜粋という形をとっている。 銀河通信社では「故人の意識をとらえる通信システム」を擁しており、賢治さんにゆかりのある、あるいは賢治さんの作品世界の中に住む人たちにお話を伺うという形...
時空を超えて存在する「銀河通信社」の日曜版に〈賢治さんの百話〉という記事が連載されており、そこからの抜粋という形をとっている。 銀河通信社では「故人の意識をとらえる通信システム」を擁しており、賢治さんにゆかりのある、あるいは賢治さんの作品世界の中に住む人たちにお話を伺うという形で、取材を行ったのが〈賢治さんの百話〉である。 その中で、作品・心象スケッチが書かれた背景などを探る。 賢治の時代の東北地方の歴史、また、彼が予言した未来…つまり戦後や現代の事情なども合わせて描かれる。 賢治さんというのは、宮沢賢治のこと。 長野まゆみ氏の、賢治に対する愛情と、考察と薀蓄、深い理解と妄想にあふれた本作である。 なんだかよく分らないところも多いのが、賢治作品と似ているような。 とにかく素晴らしい労作だ。 趣味で賢治の研究をしていたという文学者の北原百秋(“白秋”ではない)氏、乗り鉄で有名、小説家の内田白閒(“百閒”ではない)氏には賢治と鉄道の話なども伺う。 なお、多くの記事の聞き手となった、銀河通信社速記取材班の児手川清治氏は、現在の河出書房新社の前身である成美堂にお勤めだったということだ。 故人である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 賢治作品、童話は読んでいるが、詩集は少し敷居が高く、未読だ。 でもこんな風に紹介されると、美しい言葉で編まれているのだな、と思う。 がんばって読んでみたい。
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長野まゆみ最新作。 宮沢賢治とその作品が主軸になっているが、他にも実在の人物や現実に起きたエピソードが絡み合っている、ユニークな構成。随所に挿入される引用文も様々。この辺りは宮沢賢治ファンならより楽しめるのかもしれない。
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