月岡芳年 妖怪百物語 の商品レビュー
月岡芳年には興味あるけどグロいのが少々苦手な私に丁度よい一冊でした。残虐な作品が少なめな印象でありがたかったです。どこか最近の漫画に通づる楽しさがあり、芳年のこともっと知りたい!と思うようになった1冊でした。
Posted by
月岡芳年が描いた妖怪の数々を初期から晩年まで約100点紹介。年代順に載せてあるので、芳年の描き方の変化を感じ取れる。ものすごくおおざっぱな印象では後期になるほど背景がすっきりして、日本画の掛け軸のような印象。また色も初期は緑や赤、黒といった強い色あいだが、後期になると薄い黄土色な...
月岡芳年が描いた妖怪の数々を初期から晩年まで約100点紹介。年代順に載せてあるので、芳年の描き方の変化を感じ取れる。ものすごくおおざっぱな印象では後期になるほど背景がすっきりして、日本画の掛け軸のような印象。また色も初期は緑や赤、黒といった強い色あいだが、後期になると薄い黄土色など和らいだ色彩になっている。題材も読み物や武将の言い伝えなど、よく勉強しているんだなあと思った。 〇初期の妖怪画 〇「和漢百物語」 〇円熟期の妖怪画 〇「新形三十六怪撰」 「和漢百物語 華陽夫人」元治2年(1865) 天竺(インド)の斑足王の后の華陽夫人の正体は金毛の九尾の狐。夫をたぶらかし千人もの首をはねさせたという。左手に生首を持ち、右手の指す先には生首2体が浮いている。緑と赤の衣服に赤い血に黒いバック。ビアズリーの「サロメ」(1894)の図、モローの「出現」(1874-79頃)の図を確かに彷彿とさせる。時代的には芳年の方が早い。 「新形三十六怪撰 奈須野原殺生石之図」明治24年(1891) 栃木県那須の殺生石の伝説を描く。鳥羽上皇に愛された玉藻前は実は九尾の狐であり、那須野まで追い詰められ止めをさされると、たちまち殺生石となり毒を発し近づく生き物を殺した。那須火山で硫黄の煙のでる石原がこの伝説となった。玉藻はやわらかな顔をしている。華陽夫人の妖艶さとは対照的。 「和漢百物語 頓欲ノ婆々」慶応元年(1865) 舌切り雀のお婆さんがつづらを開けた図。あかんべえをした妖怪がユーモラス。題名も「頓欲ノ婆」。 「新形三十六怪撰 おもゐづづら」明治25年(1892) これも舌切り雀のつづら開けの図。色は薄い墨色をバックに妖怪もおばあさんも薄井黄土色。 「新形三十六怪撰 四ツ谷怪談」明治25年(1892) きれいなお岩さんが赤子に乳を含ませている。が衝立にかけた緑の帯がUの字に垂れ下がり、蛇が鎌首をもたげているように見える。暗示がかえって不気味。 表紙は「新形三十六怪撰 老婆鬼腕を持去る図」明治22年(1889) 平家物語の剣の巻などに伝わる、渡辺綱と鬼女の話。源頼光の四天王の一人である渡辺綱は、堀川にかかる一条戻橋で道に困った女を馬に乗せたがやがて鬼の姿になった。そこで綱は鬼の腕を切り落とし難を逃れた。あとで鬼が腕をとりもどしに来て消えた。初めて知った逸話。 著者は日野原健司、渡邉晃 ともに太田記念美術館学 芸員。 2017.7.28初版 2017.10.17第2版 図書館
Posted by
年代順に妖怪画を中心に並べているので、とてもわかりやすいです。 薄い色彩なのに迫力があって素晴らしいです。
Posted by
歌川国芳の迫力も好きだし、河鍋暁斎の滑稽さも勿論好きだ。でも、妖怪の浮世絵で一番好みなのは、芳年のそれ。 特に晩年の揃い絵は、せめて一度は現物を全部続けてみてみたい。色彩は淡いのに、動きが強く、強烈に印象に残る。
Posted by
年代順に並べられているので、画風の変化がよくわかって興味深い。 できればもう少し大きいサイズで細かいところまで堪能したいところ。 しかしいつ見ても竪二枚続の揃物の迫力たるや素晴らしい… やっぱり特別展行きたかった!
Posted by
- 1