RED ヒトラーのデザイン の商品レビュー
アイドル歌手がナチス風コスチュームで物議をかもしてしまう日本。日本人がナチスの負の記憶を肌で感じていない事もあるかもしれないが、そのデザインのインパクトの強さが今だに強く残っているからなのだろう。グラフィックデザイナーの著者が、膨大な資料とともに細かく分析している。今回の東京オリ...
アイドル歌手がナチス風コスチュームで物議をかもしてしまう日本。日本人がナチスの負の記憶を肌で感じていない事もあるかもしれないが、そのデザインのインパクトの強さが今だに強く残っているからなのだろう。グラフィックデザイナーの著者が、膨大な資料とともに細かく分析している。今回の東京オリンピックでも映像が話題になっていたと思ったが? 計算されたデザインである一方で、古典的なデザインや周辺の国、民族からも都合よく借りてきているなど、したたかだ。現代でも、うっかり乗ってしまわないよう気をつけなくては。
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ヒトラーはクリエイティブディレクター。 編集、サンプリング、メディア戦略。 ゴシック建築は、もともと多神教だった人たちを教会に通わせるためのツール。森の中にあるようなデザイン。 グースステップも、フリードリヒ2世のもの。 ヒトラーは銅像を作らない。 ライブに重きを置いていた...
ヒトラーはクリエイティブディレクター。 編集、サンプリング、メディア戦略。 ゴシック建築は、もともと多神教だった人たちを教会に通わせるためのツール。森の中にあるようなデザイン。 グースステップも、フリードリヒ2世のもの。 ヒトラーは銅像を作らない。 ライブに重きを置いていたから。 アイドル性。 ちょび髭は、ガスマスクをかぶりやすくするため。 ハーケンクロイツを十字軍のイメージに重ねた。 45度傾けた鉤十字が酩酊を生む。 ハーケンクロイツは、敵にとっても使いやすい。 皮肉にも、批判デザインが流通の一助となった。 古い建物の中で赤のモダンな旗は映える。 シュペーアによる、光の建築。 ファシズムはファスケス(束ねる)に由来するから。 モダニズムを否定しながらデザインを使うヒトラー。 直線の多用。 ロトチェンコの写真。
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『独裁者のデザイン』が良かったので購入。本書はアドルフ・ヒトラーとナチスのデザインにフォーカスしたもの。 ナチスに関しては数多の書籍が出ているが、切り口が変わると様々なものが見えて来る。『HATE!』も楽しみ。
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ナチスの台頭を、ヒトラーのカリスマでも当時の社会情勢でもなく、優れたデザインセンスによるもの、という観点から分析。ヒトラーは模倣者だったが、その取捨選択や改変によって生まれたハーケンクロイツやベルリンオリンピックなどの祭典は、ナチスの悪行を知っていても惹きつけられる。 豊富な実例...
ナチスの台頭を、ヒトラーのカリスマでも当時の社会情勢でもなく、優れたデザインセンスによるもの、という観点から分析。ヒトラーは模倣者だったが、その取捨選択や改変によって生まれたハーケンクロイツやベルリンオリンピックなどの祭典は、ナチスの悪行を知っていても惹きつけられる。 豊富な実例と傍証、随所に挟まれるナチス映画、第2時大戦映画の知識も面白く、読み応えのある1冊。
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以前からナチスのデザインは不思議に思っていた。あの力強さと官能性、そして禍々しさはどこから来るのか。そして、一国のデザインをなぜあそこまで統一的にできたのか。 本著は、ヒトラーをデザイン・ディレクターとしてとらえ、彼が手がけたナチスのさまざまなデザインを分析する。対象となるジャ...
以前からナチスのデザインは不思議に思っていた。あの力強さと官能性、そして禍々しさはどこから来るのか。そして、一国のデザインをなぜあそこまで統一的にできたのか。 本著は、ヒトラーをデザイン・ディレクターとしてとらえ、彼が手がけたナチスのさまざまなデザインを分析する。対象となるジャンルは、ハーケンクロイツやポスター、フォントなどのグラフィックから、軍服、戦闘機などのプロダクト、敬礼、行進スタイル、イベントの会場レイアウトまで幅広い。 「design」という単語には「企み」という意味もあるそうだ。「アートは問いであり、デザインは答えである」などとも言う。なるほど、たしかに「企み」を効果的に遂行するための「答え」こそがデザインであるとも言える。 本書を読むと、ナチスは「国民の動員」という企みのために、過去のさまざまなモチーフからデザインを引用していることがよくわかる。引用元のデザインがもつ歴史的・文化的な文脈をうまくナチス流にアレンジして、それを繰り返し提示することで、国民意識を高揚させるのだ。図版などを用いながら「元ネタ」を提示して、デザインの裏側にある企みを引きずり出す著者の手つきはお見事。「デザインの歴史探偵」を自任するだけのことはある。個人的には、ナチスの軍服の意匠が、他国の軍服のディテールを組み合わせたものであることに驚いた。 この「種明かし」の手法は、プロパガンダやある種のマーケティングへの解毒剤として有効だろう。広く読まれるべき一冊。
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ともすると、その「魅惑と恐怖」に取り憑かれ、気付いた時には加担してしまうのか。 歴史は繰り返すのか、、、 --- 「ナチスは政治と芸術を合体させて「国家」をアートにしようとした、アートを、意味とは関係なくカッコいいと思ってしまう感性を手玉にとった」
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ここ一年くらいで白水社のナチ関連本何冊か読んでて、それと比べると文章軽いし、話がとっちらかってる印象は否めないかな。とはいえ、それがイヤではなくて、日本人著者が軽めに書いてるからこその喩えのわかりやすさとか映画の話題の「そうそう」って感じは白水社の翻訳物にはないよね。
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