塔と重力 の商品レビュー
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主人公、やたらと女性に対して「妙に興奮」している。 塔と重力の要素を抽出して読みやすくまとめたのがニムロッドかなと思った。ニムロッドを読んで人類補完計画を思い出したんだけど、本作ではエヴァについてはっきり話題に上がっていた。 同時収録の重力のない世界は、興味がないジャンルぽか...
主人公、やたらと女性に対して「妙に興奮」している。 塔と重力の要素を抽出して読みやすくまとめたのがニムロッドかなと思った。ニムロッドを読んで人類補完計画を思い出したんだけど、本作ではエヴァについてはっきり話題に上がっていた。 同時収録の重力のない世界は、興味がないジャンルぽかったので未読。
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読書開始日:2022年1月6日 読書終了日:2022年1月13日 所感 ニムロッドでも思ったが、著者のシステマチック、ロボットのような精密かつ無機質な文章は、スルスルと脳に入ってくる。 【塔と重力】 人間削いでいくと座標になる。 神も座標か。 水上の小説には頷けるところがある。 ...
読書開始日:2022年1月6日 読書終了日:2022年1月13日 所感 ニムロッドでも思ったが、著者のシステマチック、ロボットのような精密かつ無機質な文章は、スルスルと脳に入ってくる。 【塔と重力】 人間削いでいくと座標になる。 神も座標か。 水上の小説には頷けるところがある。 生まれ落ちた瞬間の核は同じで、その後から誰かの影響という肉がつく。 だからこそ途中で美希子が世界に散らばっていると考え出した。 文章中にもあったが、おそらく美希子は精神病で、主人公もまた精神病。 美希子と重ねることができた葵、その葵とのこどもへの祈りがいい。瓦礫に埋もれた経験から実生活を実感出来ない主人公が新たな思考に辿り着く。 「初期値としてまずはすべてを受け入れるしかない。それでも最後は本人が、一生のうちに起こることの幾らかに愛着を感じ、またこの世に生まれ直してもいいかなと思えるような一生を過ごせればいい。」 とても好きな作品だけど難解。また読んで深く理解したい。 【重力の無い世界】 このまま効率化を求めていったら世界はこうなるだろうなと読んで思ったし、心のどこかで感じてた気がする。 肉の海。演算された人生。実生活の。 来ると思う。いつか。 演算された世界でも実相の醜さはある。これが負荷なんだと思う。なんでもプレイリスト化できる演算世界でも、醜さを取り入れる。それが原動力になってた部分があった。 性別、個性等がなくなり、次のステップは重力を消すこと。この重力は実は負荷で、負荷がなくなることを実生活と演算世界どちらも経験している者は、とても怖がっていた。 多少の負荷は必要悪だ。 【双塔】 内容が非常に難しいがなんとなくわかる。空気感だろうか。 意味が重要視される社会。 新規性がないとリジェクトされる。 新規性があれば肉の海のアップデートとなる。 だが、進みすぎた世界はリジェクトしかならない。 ありふれた人間はリジェクトピープル。 人々はリジェクトされないように高みを目指すが、高みを目指したところで視点を変えればそこは高みでは無い。 祭祀王はもとより、めでたいこと=リジェクテッドとしていた。 個性、重力、性別がなくなっていく現在、そして未来においても、めでたいことはめでたい 読解に自信がない。
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ニムロッドと同じモチーフが複数登場するので作者のやりたいことの方向性はわかるのだが、どうにも実験作という印象。文章はすっきりなのに要素が細々しており、中途半端というか……。後半の2篇はSF的なんですが、どうにも文系のSFという感じがする。ただし全体の雰囲気は嫌いではないので作品を...
ニムロッドと同じモチーフが複数登場するので作者のやりたいことの方向性はわかるのだが、どうにも実験作という印象。文章はすっきりなのに要素が細々しており、中途半端というか……。後半の2篇はSF的なんですが、どうにも文系のSFという感じがする。ただし全体の雰囲気は嫌いではないので作品を追い続けたい。
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導入は分かりやすかったんですが、中盤以降は難解でした。概念的、抽象的なト書きや台詞が多くなって物語の筋がよくわからなくなりました。
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卑近なイメージから、この世の果てみたいなすごいところまで運んでくれる、想像力の跳躍。 テクノロジーを書かなさ過ぎる純文学界において、作者はさんは稀有な存在じゃないでしょうか。 「上田岳弘さんは芥川賞を取る」という予言は当たったので、次は「ノーベル文学賞を取る」と予言します。
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併録の3編が互いに関連している、というだけでなく、 三島賞以降の過去作を彷彿させる箇所もいくつかあった。 その意味するところは、「私とは何者なのか」「私は何処にいるのか」という命題に対する、新しいアプローチなのではないか、と思う。 「私とは何者なのか」という問いは純文学の往年の...
併録の3編が互いに関連している、というだけでなく、 三島賞以降の過去作を彷彿させる箇所もいくつかあった。 その意味するところは、「私とは何者なのか」「私は何処にいるのか」という命題に対する、新しいアプローチなのではないか、と思う。 「私とは何者なのか」という問いは純文学の往年のテーマであり、寧ろ存在意義であり、強弁すれば全ての小説のテーマはそこに行きついてしまうのかもしれない。 私は私以外に存在せず、私が認識するから世界が存在するのであり、私自身が私の存在を否定することはできない、私を存在せしむるのは他ならぬ私自身である、つまり「我思う、故に我在り」こそが、永らくその命題への唯一の回答だった。 しかし、『私の恋人』以降の小説で、著者はその回答に異議を申し立て続けている。その仮説の一つが「小窓」という概念だろう。 人工知能、クローン、インターネット、それらによって他人の自意識を覗くことが可能になり、また自分の自意識をフェイク的に作り出すことも可能になった。 言うなれば自意識をアウトソーシングすることが可能になった状況で、もはや「私以外、私じゃないの」は過去のこと、私が私以外に存在しないという事実は、すでに崩れつつあるようだ。
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この三編を表すのはなかなか難しい。 極めて観念的な作品。 想像がどこまでも突き抜けていく。 なんとなく、その世界に慣れて来た頃に終わる。
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初読み作家さん。震災で生き埋めになった過去がある主人公の話。淡々としている。『重力のない世界』はわりと好みだったが『双塔』はまるで頭に入らなかった。『塔と重力』と他2作は関連があるのかタイトルが被ってるだけなのか?
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