黙約(下) の商品レビュー
登場人物は揃いも揃って未熟で鼻持ちならない俗物で、仲良くしたくない奴らである。共感もあまりできない。しかしこの物語の世界の豊かさはどうだろう。ひとつひとつの場面の細部にわたる描写や、手触りを感じるほどの心情表現。 出来事自体ではなく、人間の心の動きこそがスリリングなのだとはっきり...
登場人物は揃いも揃って未熟で鼻持ちならない俗物で、仲良くしたくない奴らである。共感もあまりできない。しかしこの物語の世界の豊かさはどうだろう。ひとつひとつの場面の細部にわたる描写や、手触りを感じるほどの心情表現。 出来事自体ではなく、人間の心の動きこそがスリリングなのだとはっきりわかる。読み終わる頃には、彼ら俗物どもへの愛着すら感じるようになった。青春を描いた小説としても白眉。とても面白かった。
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ゴールドフィンチが最高だったので読んだ。 こっちの方がミステリー色が強くて、それはそれで楽しかった。哀愁が好き。
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徐々に変化していく精神状態と物語の展開が気になりどんどん読み進められました。 何も知らない主人公が出会った不思議な世界、個性の強い友人たち。 主人公が気が付いたころにはもう彼は事件に巻き込まれていて、友人たちへの想いや、置かれた立場からだんだん深みに陥っていく。 残酷な状況であり...
徐々に変化していく精神状態と物語の展開が気になりどんどん読み進められました。 何も知らない主人公が出会った不思議な世界、個性の強い友人たち。 主人公が気が付いたころにはもう彼は事件に巻き込まれていて、友人たちへの想いや、置かれた立場からだんだん深みに陥っていく。 残酷な状況でありながら、また5人の焦りや恐怖が募るなか、優しさや思いやりといった温かい感情も見られ、最後は切なさを感じました。 物語は主人公の回想録としての構成です。主人公が後悔と切なさと、同時に懐かしい思いや友人たちへの祈りを胸に過去を振り返っているような作品でした。 1つ目の事件が起こった背景、精神世界にのめり込む様子がもっと描かれていれば、もっと良かったかなと思います。
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読みごたえがあった、というか読むのに時間がかかった。ミステリーというよりはアメリカ玄琢北文学が好きな人は面白く読めると思う。そして映画化されないのが不思議なくらい映像が浮かんでいた。
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「ゴールドフィンチ」がおもしろかったので、いさんで、どんな話なのかも知らずに読みはじめたら、けっこう苦しかった。いったい何時代? アメリカ東部の小さな大学の、古代ギリシア文学を学ぶサロンのようなクラスに入った主人公。ほかのメンバーは、家庭や育ちに問題があるっていう感じの金持ちの子...
「ゴールドフィンチ」がおもしろかったので、いさんで、どんな話なのかも知らずに読みはじめたら、けっこう苦しかった。いったい何時代? アメリカ東部の小さな大学の、古代ギリシア文学を学ぶサロンのようなクラスに入った主人公。ほかのメンバーは、家庭や育ちに問題があるっていう感じの金持ちの子息たちで。古代ギリシャや哲学っぽい話も難解だったけど、こういう、昔の、エリート学生たちがクスリやアルコールをやりながら難しいことを考えている、というような話がわたしはけっこう苦手なのかも。サリンジャーっぽい感じ。いったいなにをどうしたいんだ?っていう感じが。。。(それが若さというものだ、ってことなんだろうけど)。 あと、ジュリアン教授がなにか重大な役割なのかと予想していたんだけど、象徴的には重要なのかもしれないけど、実際にはそれほどなににもかかわっていないような(気がするのはわたしの読みが浅いからかも)。 終盤になって、あわや事実が発覚しそうになってきてさらにいろんな事件が起こって、やっと集中できて引きこまれた感じ。(終盤、というのが残念……) ゴシック調で美しく、すごく雰囲気のある小説ではあったけれども。
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※上下巻纏めて。 1994年に扶桑社ミステリーより『シークレット・ヒストリー』として刊行されていたものの復刊。 何よりも『非常に面白い小説』だった。ミステリとして需要するよりも、一般文芸として読んだ方がより面白いのではないか。
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