日本のルィセンコ論争 新版 の商品レビュー
ルィセンコ説は1930~50年代のソ連で唱えられた遺伝学の学説。メンデルを源流とする正統派の遺伝学よりも「科学的」な学説として、スターリン独裁と結びつきつつ学界を席巻した。この過程で、正統派の遺伝学者への弾圧も行なわれた。 このルィセンコの議論は日本の遺伝学にも大きな影響を与え...
ルィセンコ説は1930~50年代のソ連で唱えられた遺伝学の学説。メンデルを源流とする正統派の遺伝学よりも「科学的」な学説として、スターリン独裁と結びつきつつ学界を席巻した。この過程で、正統派の遺伝学者への弾圧も行なわれた。 このルィセンコの議論は日本の遺伝学にも大きな影響を与えており、その始まりから影響力を失うまでの過程が本書では論じられる。ソ連やマルクス主義の影響力が大きかった状況下で、それが学問に与えた影響が具体的に描かれている。その中で、実験よりも哲学を重んじる姿勢や、海外の権威に飛びつく姿勢が批判的に論じられている。とくに後者は、マルクス主義がすっかり衰退した今日でも、決して過去の話ではないだろう。
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