水晶宮の死神 の商品レビュー
3部作完結。ここでの目玉はモリアーティですね。出してきました。やはり舞台は19世紀ロンドンとくれば、彼の存在は無視できなかったのかな。歴史上の人物を交えての冒険劇。そこに同列の存在として扱われても、不思議でない教授(出ていないけど探偵もですが)。コナン・ドイルの偉大さです。 3...
3部作完結。ここでの目玉はモリアーティですね。出してきました。やはり舞台は19世紀ロンドンとくれば、彼の存在は無視できなかったのかな。歴史上の人物を交えての冒険劇。そこに同列の存在として扱われても、不思議でない教授(出ていないけど探偵もですが)。コナン・ドイルの偉大さです。 3部作通じて、エドモンド・ニーダムの回顧録の形で綴られています。1857年に体験した奇怪な出来事について。 それとメープル嬢の煌きの記録。ルイス・キャロルの守備範囲じゃなくてよかったと思います。 そういえば、諸外国について言及されてる文章がチラホラありますが、その中に日本についてはありませんね。当時のイギリスでの日本は、その程度の印象ってことなんでしょうか。日英同盟は結ばれてるはずだけど、執筆当時は。物語本筋に関係ないので、書かなかっただけなんでしょうけどね。 日常会話で節度を持った皮肉を言い合える紳士たち。垣間見えるその雰囲気が、田中芳樹の作風にとてもマッチしていました。精神風土は英国紳士なんじゃなかろうか。どこかでまた会いたいものです。
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『2017年 7月 21日 初版』版、読了。 作者が巻末のあとがきで記しておりますが、いわゆる「ヴィクトリア朝怪奇冒険譚(ヴィクトリアン・ホラー・アドベンチャー)」シリーズ最新作である3作目であり、三部作の最後の作品ということだそうです。 この作者は大体、シリーズものに関しては最初に全部で何作の予定などを明記してからはじめるものもあるので、今巻をもって、おそらくシリーズ終了かと思います……外伝がなければ。 いずれにしてもひさしぶりに作者の作品を読んだものの、ところどころの描写が雑な印象がありまして、全盛期(に感じた)の作品に比べると、どこかしら表現の衰えを感じてしまいます。その点では残念ではありますが、それでもなお、作品を完成させたことには敬意を表します。ありがとうございました! 文体は読みやすく、かつシリーズものとあって、おなじみの主要登場人物や、歴史上の人物が入り乱れてのホラー・アドベンチャーとしては、印象に残りました。 ……が、物語のおもしろさとしては、少しもの足りなく、展開的にも、緊迫感などがあまり感じられませんでした。典型的な怪物が登場して襲撃があるものの、描写があっさりしているせいなのと、ラズボスも一方的に自滅していく流れだったからかもしれません。 他にもシリーズもので未完な作品を抱えている作者ではありますが……気持ち的には、そろそろ描き下ろしの一冊を読んでみたい気分です。 あと個人的には、装画および挿画を担当された後藤さんの画風がとても良くて印象に残りました☆
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