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『焼き場に立つ少年』は何処へ の商品レビュー

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2022/12/04

眠っているかのような幼児を背中に背負い、直立不動で立っている少年の写真。 これは米軍の従軍カメラマンであったジョー・オダネル氏が、終戦直後に長崎に上陸して、原爆による惨状を記録する作業の一方で、個人用の私物のカメラで撮影した写真だ。 長崎という以外に詳細な場所は不明なのだが、川べ...

眠っているかのような幼児を背中に背負い、直立不動で立っている少年の写真。 これは米軍の従軍カメラマンであったジョー・オダネル氏が、終戦直後に長崎に上陸して、原爆による惨状を記録する作業の一方で、個人用の私物のカメラで撮影した写真だ。 長崎という以外に詳細な場所は不明なのだが、川べりの仮説の焼き場で撮られたものだという。少年に背負われた幼児はすでに亡くなっており、この後幼子は遺体を焼いている大人たちに引き取られ、荼毘に付されたが、この少年はその様子をやはり直立不動で、血が滲むほど唇を噛んで見つめ、やがて何と言わずに回れ右をして去っていったという。 長崎のあまりに酷い惨状にオダネル氏はこれらの写真を現像もしないままトランクに仕舞い込んでしまった。そのまま何十年も放置されていたが、老齢になってからオダネル氏の心情の変化があり、トランクを開き、これらの写真を現像して米国内で写真展を開き、話題となった。 一方で、この写真の背景の様子(原爆で吹き飛ばされた街の瓦礫などが見当たらない)から、果たして長崎で撮られたもなのか?という疑念を持つ人たちもいるという。 またスイス国連本部の原爆常設展示企画において、この写真は直立不動の姿勢が子どもらしくない、泣いていないなどの理由で展示対象から外されたという。 そういう酷い誤解に対して、この写真の撮影時期、場所、そしてこの少年自身を特定することができないかと、記録からオダネル氏の行動を辿り、解明しようと試みた記録。

Posted byブクログ

2019/01/26

「焼き場に立つ少年」の消息を追う長崎新聞社によるルポ。 焼き場に立つ少年は、ジョー・オダネル氏が原爆投下後の長崎で撮影した写真で、少年の背には亡くなった妹がおぶられており、火葬場を前にした少年は、悲しみに堪えるあまりに唇を噛み締め、口元には血が滲んでいるとされる。 企画として...

「焼き場に立つ少年」の消息を追う長崎新聞社によるルポ。 焼き場に立つ少年は、ジョー・オダネル氏が原爆投下後の長崎で撮影した写真で、少年の背には亡くなった妹がおぶられており、火葬場を前にした少年は、悲しみに堪えるあまりに唇を噛み締め、口元には血が滲んでいるとされる。 企画としては抜群だが、長崎の地名に詳しくない人には読み進めるのが難しいかもしれない。 執筆者の取材量は凄まじいが、撮影場所の特定さえもされてない写真ゆえに、馴染みのない地名が文面に並ぶとなかなか読み進めにくかった。

Posted byブクログ