天使に見捨てられた夜 新装版 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
桐野夏生さんの本は大好きで全部追いかけて読んでいるが内容を忘れてしまっていた。でもこの話は上位に入るくらい好きな話だったのを思い出した。 細切れに読んでもすぐにちょっと前が思い出せる感じ、食事中も続きが気になって、誰もいないお昼についに読みながらご飯を食べる始末。それくらいやめられなかった。 AVの作品は生まれてこの方見たことがない。でもどんなものかはもちろん知っているけれど笑笑 いろんなジャンルがあるのもなんとなくわかるけれど、本当にレイプがあったのかなかったのか、それは見極め難しいんだろうな、と思う。最初から演技としてと演者に伝えているより、知らない方がリアリティを追求できるのか。 何にせよ、18歳以上で見ることができてしまうものは現実とは別にして考えてほしいと女性の立場からは思う。不思議なことに禁止されたシュチュエーションのものがとても多く、さらにそれが多いと言うことは人気があると言うことか。私としては胸糞。 ミロはこの二作、めんどくさくなりそうな人と関係を持ってしまうが、それも癖なんじゃないかなと思った。学生の時もいた、人の彼氏ばっかりとる人。 そう言う癖なんだと思ってみてた。 ミロのシリーズ全部読んだはずだけど、次も読んでみる。
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駆け出しの探偵ミロに魅力を感じず、そそられない設定に引っ掛かりながらも読む手が止まらない。後半、真相が明らかになる場面は圧巻。何度も頁を戻りながら読み進めていた苦労を完全に振り払ってくれる納得の結末。
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この作品を初めて読んだのは、 もう、二十年以上も前のことだ。 読んだことは覚えていたが、 内容は…、まったく…。 ふと、読んでみようという気になったのは、 ちょっと前に、芦原すなおさんの 「雪のマズルカ」という女探偵の物語を 再読したから。 その主人公、笹野里子は、実にカッ...
この作品を初めて読んだのは、 もう、二十年以上も前のことだ。 読んだことは覚えていたが、 内容は…、まったく…。 ふと、読んでみようという気になったのは、 ちょっと前に、芦原すなおさんの 「雪のマズルカ」という女探偵の物語を 再読したから。 その主人公、笹野里子は、実にカッコよかった。 このミロという女探偵は、どちらかというと、 カッコよくない。 迷うし、悩むし、失敗するし…。 だが、転んで、泥だらけになりながらも、 逃げないし、あきらめない。 そこが、カッコよいといえば、そうだ。 異性愛、同性愛、そして、トモさんとの 隣人愛。 殺人、レイプ、自殺、裏ビデオ…、 ドロドロしたものがてんこ盛りの世界で、 あがく女探偵。 実に、ハードボイルドだ。
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村野ミロシリーズ2作目。 前作もそうだけど、新宿2丁目の雰囲気やミロや周りの人達がすごく魅力的に描かれている。 このシリーズかなり好きかも。
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桐生さん代表作 村野ミロ探偵シリーズ2作目。初々しいという表現は当たらず、骨組み、展開、人物像とキャラの割り当て、全て及第点,どっしりとした だが読み易いミステリー・・と呼ぶのかな。 風俗嬢、AVの関係する調査を依頼されたミロ。文字通り身体を張った全力での調査に駆け回る。後半、...
桐生さん代表作 村野ミロ探偵シリーズ2作目。初々しいという表現は当たらず、骨組み、展開、人物像とキャラの割り当て、全て及第点,どっしりとした だが読み易いミステリー・・と呼ぶのかな。 風俗嬢、AVの関係する調査を依頼されたミロ。文字通り身体を張った全力での調査に駆け回る。後半、は自殺・殺人も。風俗~キャバクラは既に古株、性感マッサージ、ソープ、エステチックサロンすらもその類。一回身を沈めたら 泥沼から這い出る事が難しいのは昔の赤線、遊女のそれを思い出させる。 友・恋人?それ以上・それ未満のトモさんの存在が温かい。 サイドストーリーにホストクラブの三沢などがぞろぞろ出てくるけれど殆ど「小顔、サラサラ長髪、細見、滑らかな皮膚」で逆に笑える。それと小物で登場する自動車、いずれ劣らぬカーマニアチック この頃の桐生さん、女性の描き方はほぼ完成形ながら、男性がややステロタイプ・・進化系を見ているだけに、ダークを再読したくなる。
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1994年刊。『顔に降りかかる雨』(1993)に続く、桐野夏生さん初期の女探偵ミロ・シリーズの2作目に当たる。 やはり、面白かった。やはり現代のエンタメ系文学は非常にスイスイ読めるし、物語の展開にはまって先へ先へと駆り立てられる。 本作でミロは、むしろ敵側と思われるようなダ...
1994年刊。『顔に降りかかる雨』(1993)に続く、桐野夏生さん初期の女探偵ミロ・シリーズの2作目に当たる。 やはり、面白かった。やはり現代のエンタメ系文学は非常にスイスイ読めるし、物語の展開にはまって先へ先へと駆り立てられる。 本作でミロは、むしろ敵側と思われるようなダ男性に性的に惹き付けられて寝てしまい、それが原因となって失敗を招くなど、「アラアラ」と悔しくなるような弱さを露呈しており、それもあって、非常にリアルでなまなましい女性像を確立している。 ミロが探し求める女性リナも、極めて不幸な幼少期を送って情緒面で発達障害的になってしまった人間として、後半リアルに描き出される。 その一方で、矢代のような男性は奇妙にデフォルメされ、リアルさを欠いているように見える。桐野さんはリアルな男性心理を書けないわけではないので、どうやら、女性にとって強い性的対象となった男性は、その欲望のためにファンタジックな、戯画化されたイメージになってしまうようなのだ。この点、我々男性も性的対象として女性を見ると妙に都合良く戯画化して捉えようとしてしまうことと同じなのかもしれない。欲望の地平に開かれる<神話>的シンボル化、ということなのだろうか。 全体に面白く読めて満足感を得られる小説だった。このシリーズはこの後短編集が1冊あって、その後最後の作品である長編『ダーク』が来るようだが、どうもこの最終巻は、読者にとってショッキングなまでにミロが変転してしまうらしく、読むのがちょっと怖いような、楽しみなような気がしている。
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やっぱりだいすき!ミロシリーズ! 物語が進んでいくテンポがとても好み。主人公のミロの目線で、いろんな事象のちょっとした違和感とか着眼できるストーリーの組み立て方もほんとうに素晴らしい。親切なんだけど、絶妙に読者(少なくともわたしには)には謎解きしきれないから、クライマックスには毎...
やっぱりだいすき!ミロシリーズ! 物語が進んでいくテンポがとても好み。主人公のミロの目線で、いろんな事象のちょっとした違和感とか着眼できるストーリーの組み立て方もほんとうに素晴らしい。親切なんだけど、絶妙に読者(少なくともわたしには)には謎解きしきれないから、クライマックスには毎度驚かされる。 1stシリーズの「顔に降りかかる雨」の時からだけど、登場人物の服装や身だしなみに言及することが多くて、その人となりを想像するのに有効だと思うし、時間の経過とかも感じられるからすごく効果的だと思う。そして個人的にファッションに興味あるから嬉しい。笑 著者もそうなのかな? 欲を言えば最後、トモさんにもう一度出てきてミロに寄り添う描写があって欲しかったけど、そうしなかったのも著者の意図があるんだろうな。 次のシリーズも積読になっているので、早く読みたてうずうずしてます。 個人的に、新装版の解説をされているのが柚木麻子さんなのもうれしかった。
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読んだのは2度目です。 主人公のミロ、好きです。女探偵とか女刑事とかっていうと、“カッコイイ”人物像に描かれがちですが、ミロは庶民的というか、にんげん臭いというか… 男に惚れっぽくて失敗もするけど、そこからの巻き返しが読んでいて痛快です。 失踪したAV嬢を探すという内容ですが、単...
読んだのは2度目です。 主人公のミロ、好きです。女探偵とか女刑事とかっていうと、“カッコイイ”人物像に描かれがちですが、ミロは庶民的というか、にんげん臭いというか… 男に惚れっぽくて失敗もするけど、そこからの巻き返しが読んでいて痛快です。 失踪したAV嬢を探すという内容ですが、単純ではなく、次から次へと壁にぶち当たり、そして乗り越えていくので、楽しく読めました。 また、ミロや登場人物のセリフから、男とは、女とは、人間とはの新たな解釈が読み取れました。
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タイトルに惹かれて借りたもの。読んでいる途中で、「これもしかしてシリーズものかな」と思ったけど、読み始めてしまったら途中でやめるのも嫌だから読了。後書きでシリーズの2作目だと知って、やっぱり、って気持ちと、前が1作だけならそっちを先に読めばよかったな〜先に調べればよかったな〜、と...
タイトルに惹かれて借りたもの。読んでいる途中で、「これもしかしてシリーズものかな」と思ったけど、読み始めてしまったら途中でやめるのも嫌だから読了。後書きでシリーズの2作目だと知って、やっぱり、って気持ちと、前が1作だけならそっちを先に読めばよかったな〜先に調べればよかったな〜、という後悔。すごく好き、という訳でもないんだけど、一作目も読んでみたいとは思った。
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私のミステリーの系譜で社会派推理小説というと松本清張氏の作品を思い浮かべる。 私は氏の作品を殆ど読んでいる。 特に短編は涙ぐむ、いい作品がある。社会の隅々で忘れられたような人々のことどもを網羅した独特の雰囲気がぐっとくる。 しかし、長編(もうミステリと呼べないようなのもあ...
私のミステリーの系譜で社会派推理小説というと松本清張氏の作品を思い浮かべる。 私は氏の作品を殆ど読んでいる。 特に短編は涙ぐむ、いい作品がある。社会の隅々で忘れられたような人々のことどもを網羅した独特の雰囲気がぐっとくる。 しかし、長編(もうミステリと呼べないようなのもあるけど)ではえっ、というような違和感があるのだ。 よく言われているように女性象が今一つピンとこないのだ。昔そう思ったのだから、今ならなおさら。 そこで、桐野夏生さんのこの作品。女性にとって等身大のミステリ物語。 私たちが気が付かないわけにはいかない、社会の影の部分をあばいて。 レンタルビデオ店、アダルトビデオ、AV女優、ホストクラブ、新宿の街、等々と言葉だけあげても感じる。うごめいている都会ひそむ悪。 複雑であっと驚くストーリー展開もいいけれど。私にとっては「ローズ・ガーデン」の不思議なミロの世界の伏せんが浮かんでくるのが魅力的だ。 あこがれのスーパーヒロインとのみ描かれていない、失敗もあえてし、弱さも見せる「村野ミロ」のキャラクターが好もしい。 仕事、恋愛、生き方を男と同じように模索している、こんな当たり前のこと、いまさら、っていってもやっとここ10年と思う。 桐野夏生さんのさまざまな女性象のあぶりだしに満足している。 また、さりげない表現の部分が気にいっている。例えば 『絶え間ない変化が、心の芯を痺れさせ、肝心のことを忘れさてくれる。』 『彼は異端を生きるために、すべて冗談で武装する癖がついているのだ。』 「OUT」とこれおすすめ。でも全部かな。次が楽しみだ。
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