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ベルクソニズム 新訳 の商品レビュー

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2017/08/31

この本の構成はいたってシンプルである。「直感」という方法論にかかわる第一章のあとに、『意識に直接与えられたものについての試論』、『物質と記憶』、『持続と同時性』、『創造的進化』という、いわば編年体に従った書物の記述がなされるからである。いささか目をひくのは、通常ベルクソンの四大主...

この本の構成はいたってシンプルである。「直感」という方法論にかかわる第一章のあとに、『意識に直接与えられたものについての試論』、『物質と記憶』、『持続と同時性』、『創造的進化』という、いわば編年体に従った書物の記述がなされるからである。いささか目をひくのは、通常ベルクソンの四大主著としてカウントされている『道徳と宗教の二源泉』が一つの章をなさず、『創造的進化』の議論の展開系として描かれているだけであること、そして普通は中心的著作とみなされない『持続と同時性』に、一章が割かれていることである。それは、時間の多様性をめぐるアインシュタインとの対決が、ベルクソン的な存在論をすくいとるために決定的なものと、ドゥルーズにおもえたからにほかならないだろう。他方、生命論の倫理学的・社会学的適用にもみえる『二源泉』は、一種の応用編であるがゆえに、中心テーマからはずされたともいえる。この措置が正当かどうかは意見が分かれるところであろうが、しかしながら『二源泉』はきわめて生物主義的に展開された人間社会の議論にみえ、この構成にさほどの違和感があるわけではない。

Posted byブクログ