1,800円以上の注文で送料無料

日本園芸界のパイオニアたち の商品レビュー

4

2件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/09/02

本書は近代日本の園芸史がよく理解できる好著。園芸のパイオニアの20人に焦点を当てて書かれている。江戸時代は、日本においての独特な花文化ー園芸文化が花開いていた。ボタン、シャクヤク、キク、アサガオ、ハナショウブ、ユリなどがあった。明治とともに欧米の花が横浜を拠点として広がって行った...

本書は近代日本の園芸史がよく理解できる好著。園芸のパイオニアの20人に焦点を当てて書かれている。江戸時代は、日本においての独特な花文化ー園芸文化が花開いていた。ボタン、シャクヤク、キク、アサガオ、ハナショウブ、ユリなどがあった。明治とともに欧米の花が横浜を拠点として広がって行った。アサガオは、日本人の「もの好き」がこうじて発展した。じょうご型の青い花がアサガオであったが、様々な色や紋を作り出し、花弁が細く切れて獅子のたてがみのように八重に咲くものなど変化アサガオが作られた。尾崎晢之助は明治16(1983)年生まれ、大輪アサガオを育種した。大輪アサガオは径が18cmもあった。『朝顔抄』に詳しい。今井吉孝は、昭和の初めに、コロンビア大学で遺伝学を学び、アサガオ遺伝子研究の第一任者となった。その本を読んで、朝顔にのめり込んだのが中村長次郎(1917-2002)だった。昭和36(1961)年にアサガオ育種の集大成として『アサガオー作り方咲かせ方』を出版した。 確かに、変化アサガオは多様な花の形と色に引き込まれる独特の世界だ。江戸の人たちの風流さと探究心を感じさせる。文化には、根雪のようなものがあり、その根雪を守ることの大切さを著者は語る。アサガオを育種する人は、サクラソウも育種する所に工夫がある。 神奈川県の大船植物園の保存されているハナショウブは、宮澤文吾(1884ー1968)により「江戸系」を中心に作出された。ハナショウブには、そのほか肥後系、伊勢系がある。宮澤文吾は、シャクヤクも育種した。ヨーロッパ産の「洋シャク」と中国・日本産の品種群「和シャク」を交配して作出。ハナショウブは300種、シャクヤクは700種。 伊藤東一(1900-1955)は、東光ナーセリー丸子農場(当時:田園調布玉川温室村)を作った。シャクヤクと黄花ボタンを交配して、黄色シャクヤクを作出。オリエンタルゴールドと呼ばれた。ボタンとシャクヤクの長所を兼ね備えており、花もちがよく、受け咲きで花立ちがよく、整った株姿である。そのほかにも、ハナショウブ、キク、ダリア、グラジオラス、スイセンを育種。 昔の育種家は、幅広く育種をしていたことがうかがえる。 日本は、明治になってから、ユリが輸出された。それまでのユリは、日本では球根を食用にしていた。花で鑑賞することは少なかった。それが、鈴木卯兵衛(1839-1910)の横浜植木の大きな仕事でもあった。明治41(1908)年に日本から輸出されたユリ根(テッポウユリ、タカサゴユリ、ヤマユリ、カノコユリなど)は1200万個近くあった。横浜植木は、ワシントンのポトマック河畔の桜並木の桜の輸出をした。また、洋種の花の輸入元でもあった。ユリの育種は清水基夫(1909-1987)で、集大成が『日本のユリ』 富山でチューリップを作った水野豊造(1898-1968)は、チューリップを輸出産業に仕上げた。「チューリップは魂で作るもの」と言っていた。昭和39年には輸出ピークとなり、1900万球がアメリカに出された。日本は球根輸出国だった。それが、オランダに負けていくのである。チューリップは1996年の時に、5600品種の登録があった。 キクの育種家小玉三代司、椿を広めた桐野秋豊、アジサイの育種家山本武臣、サボテンの龍胆寺雄、観葉ベゴニアの育種家御園勇など、育種の苦労がよく書かれている。 濃厚と園芸の石井勇義が日本の園芸界をリードした、井下清は「都市を緑に」と公園を作った。 園芸のパイオニアがいて、今日の園芸がなり立っていることを理解する好著。ただし、雑誌連載を本にしたので、説明が繰り返されてちょっとくどい。また人中心なので、育種の系統的な歴史が見えない。

Posted byブクログ

2020/03/04

ガーデニングをやっていると、園芸種の多さに驚きます。 次々と交配種が作られているので、植物の名前も調べるのが難しかったりします。 科学の最先端も活用されているのでしょう。 また、植物未開の地に新種を探しに行くなどのTV番組は、面白いですね。 その割には、園芸の歴史については全く...

ガーデニングをやっていると、園芸種の多さに驚きます。 次々と交配種が作られているので、植物の名前も調べるのが難しかったりします。 科学の最先端も活用されているのでしょう。 また、植物未開の地に新種を探しに行くなどのTV番組は、面白いですね。 その割には、園芸の歴史については全く知りませんでした。 この本は、近代の日本で活躍した人たちのことがかかれていて、すごくおもしっろいです。 2017/10/11  予約 10/21 借りる。10/24 読み始める。2018/2/6 途中でいったん中止。

Posted byブクログ