AX アックス の商品レビュー
殺し屋シリーズ最新作。恐妻家の設定が面白過ぎる。毎度毎度殺し屋の話なのに、なぜにこんなにも楽しい気持ちで読めるのか。キャラクターは魅力的だし、スリリングな展開もあって、伏線回収の妙も楽しめる。最上級のエンターテイメントを今回も堪能しました。
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「AX」 兜登場。 グラスホッパー、マリアビートルに連なる連作集。蜜柑、檸檬、蝉、槿など、お馴染みの殺し屋の中でも一流の殺し屋兜は、家では妻に頭が上がらない男。一人息子の克巳もあきれるほどで、息子が生まれた頃から、殺し屋の世界から足を洗いたがっている。しかし、引退に必要な金を...
「AX」 兜登場。 グラスホッパー、マリアビートルに連なる連作集。蜜柑、檸檬、蝉、槿など、お馴染みの殺し屋の中でも一流の殺し屋兜は、家では妻に頭が上がらない男。一人息子の克巳もあきれるほどで、息子が生まれた頃から、殺し屋の世界から足を洗いたがっている。しかし、引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けている、それが、兜なのだ。 兜は、悪性手術をメインに扱うため、報酬は高いはずであり、更に平時は文具の営業マンだからどう考えって収入は半端ない筈なのにまだ金がいるなんてどんな生活水準なのか!というツッコミは置いとこう。たぶん、武器が馬鹿高いのだ。 兜は、家庭ではあくまで恐妻家を持つ男であり、こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。 家族にバレずに足を洗うために危ない仕事に励むそれが兜である。 兜が、ばったばったやっつける。いや、殺し屋だから悪いやつなんですけど、いい奴でもあったりして、そんな悪党90%が殺し屋をやっつけ、ちょっと良いこともしちゃう。そこにユーモラスがあったりウィットがあったりして。と、前2作に近い形になると思いきやそうでもないのです。 妻に頭はあがらないけど、決して卑屈にならず世の旦那を体現する兜の振る舞いや言動はウィットに飛んでいるし、魚肉ソーセージのくだりは、伊坂幸太郎らしい。知らない者同士をぐっと近づけるネタとして、しかも、互いは肩身の狭いところをユーモラスにするところなんかは良いのだが、Crayon、EXIT、FINEに行くにつれてテイストががらっと変わって行くのです。 こんな感じになるとは意外でした。展開含めて、ちょっと予想外。前2作とは少し角度を変えてきた感じです。兜の頼りないけど頼もしい、悪いやつなんだけど悪くない、といった裏表ないこのキャラクターは、とても良い。 良いのだけど、これは、ちょっと寂しいです。
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待望の殺し屋シリーズ! 前作の終わり方からしてこのシリーズは終わったんだなあと思っていただけにうきうきして購入した。 兜のコードネームで知られる殺し屋は、表向きは文具メーカーに務める普通の家庭を持ったサラリーマン。 日々妻の顔色を窺いながら、息子を彼なりに慈しみ、なるべくなら罪...
待望の殺し屋シリーズ! 前作の終わり方からしてこのシリーズは終わったんだなあと思っていただけにうきうきして購入した。 兜のコードネームで知られる殺し屋は、表向きは文具メーカーに務める普通の家庭を持ったサラリーマン。 日々妻の顔色を窺いながら、息子を彼なりに慈しみ、なるべくなら罪悪感の少ない仕事を選んで生活をしていたが、そろそろ足を洗おうとしながらもなかなか抜け出せないでいた。 しかしある同業者との関わりの中で、ついに完全に殺し屋の仕事から手を引く決心をする。 だがそれは簡単なことではなかった。 殺し屋の仕事をしながら普通に暮らすなんてどんな状況だよ!と思って読んでいたけど、本当に兜はどこにでもいる普通のいいお父さんで、ひとつひとつの家族とのエピソードがとにかくいじらしい。 このシリーズって出てくる殺し屋が、やってることは悪いことではあるんだろうけど人間くさくて、悩んで迷って、とにかく好きになっちゃうんだよなー。 後半の、息子と主人公が入れ替わりで進むパートまでくるとページを捲る手が止まらなかった。 兜に、兜の人生に拍手を贈りたい。
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良かった。 連作短編のせいか長さも感じない。 テンポの良さはこれまでの作品通り。 殺し屋シリーズの3作目と謳われているものの、マリアビートルに顕著だった「システム」への興味は影を潜め、代わりに「個人の死」について力を入れていたように思えた。 いや、「死」の過程をを克明に描写すると...
良かった。 連作短編のせいか長さも感じない。 テンポの良さはこれまでの作品通り。 殺し屋シリーズの3作目と謳われているものの、マリアビートルに顕著だった「システム」への興味は影を潜め、代わりに「個人の死」について力を入れていたように思えた。 いや、「死」の過程をを克明に描写するとかそういう話ではなく。
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最後のくだりは涙で目が霞んでしょうがなかった。伊坂作品はDon't believe the hypeというか情報を疑えがテーマか、この作品のように家族愛そして善悪を越えた正義の話で、悲しいけど胸がすく。最初の2話は既読だったけど、残りの3話が良すぎ。今のところ今年のベス...
最後のくだりは涙で目が霞んでしょうがなかった。伊坂作品はDon't believe the hypeというか情報を疑えがテーマか、この作品のように家族愛そして善悪を越えた正義の話で、悲しいけど胸がすく。最初の2話は既読だったけど、残りの3話が良すぎ。今のところ今年のベストブックです。
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久しぶりの伊坂さん。 伊坂さんの本はほとんど読んでるけど、殺し屋シリーズ、って言われてるの知らなかった。 「BEE」がかわいい話だなと思ったら、「ほっこりミステリー」なるものに掲載されていたとか。 相変わらず最後で今までのことがシューっと集まってくる感じがして、気持ちがよかっ...
久しぶりの伊坂さん。 伊坂さんの本はほとんど読んでるけど、殺し屋シリーズ、って言われてるの知らなかった。 「BEE」がかわいい話だなと思ったら、「ほっこりミステリー」なるものに掲載されていたとか。 相変わらず最後で今までのことがシューっと集まってくる感じがして、気持ちがよかったです。
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殺し屋シリーズ?の第3作。 殺し屋が家では恐妻家という設定だけでツボなのですが、物語としても父親の家族愛というものを語っています。素敵です。 ちなみに、シリーズといっても、職業の設定だけで、方向性は全2作とは相当違います。
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いやぁ、伊坂節健在! 楽しかったぁ。わらわらと人が死ぬのにこんなに楽しくていいんすかね。 しかも、しみじみ成分もたっぷりで。 兜がいきなりアレした時には唖然としちゃいましたが。え!?ええっ!?みたいな笑 でも、そこからの回収が鮮やかで。 懐かしいヤツらや懐かしいエピソードにニヤニ...
いやぁ、伊坂節健在! 楽しかったぁ。わらわらと人が死ぬのにこんなに楽しくていいんすかね。 しかも、しみじみ成分もたっぷりで。 兜がいきなりアレした時には唖然としちゃいましたが。え!?ええっ!?みたいな笑 でも、そこからの回収が鮮やかで。 懐かしいヤツらや懐かしいエピソードにニヤニヤしながら、また読み直したくなりつつ。 父親と、息子の関係、この兜と克己は理想じゃないか? 母親を挟んだ共犯的な笑 いやぁ、楽しかった。楽しい読書タイムだった。人がたくさん死ぬけど、救われる人もたくさんいて兜グッジョブ!って言いたい!
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