エネルギー変換型光触媒 の商品レビュー
人工光合成ともいえる光触媒によるエネルギー生成が教科書の形でまとまったことは、この技術が単なる可能性や研究のための研究ではなく、実用の芽が出てきたということだろう。光触媒の原理についてかなり詳しく説明しているが、書かれているのは半導体の動作原理そのもので、半導体物理をそれなりに...
人工光合成ともいえる光触媒によるエネルギー生成が教科書の形でまとまったことは、この技術が単なる可能性や研究のための研究ではなく、実用の芽が出てきたということだろう。光触媒の原理についてかなり詳しく説明しているが、書かれているのは半導体の動作原理そのもので、半導体物理をそれなりに知っているならざっと読み飛ばせてしまえる程度の内容である。また、光電パネルと何が違うのか、どういう利点あるいは欠点があるのかという比較がない。こういう比較は理解を深めるために必要な要素であるし、光触媒ならではの要素を示すのに役に立つ。そして実用面での展望がほとんど書かれていないのが残念な点である。原理に的を絞って解説しているとのことだが、何ができるのか、何ができそうなのかが書かれていると、光触媒について学ぶ大きなモチベーションにつながるのではないだろうか。読みやすく、よくまとまっていると思うが、半導体原理の範疇に収まってしまっており、光触媒ならではの要素が見えてこないのが残念である。
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