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「あて字」の日本語史 の商品レビュー

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2022/12/29

「導入編」はざっくりと読みやすいが、核部分は読みにくい「歴史編」のほう。もっと軽い読み物のつもりでいたら漢字かなまじり文やらで目が滑りまくった。それはそれとして内容的には面白い話だったが、特別な新発見という感じはせず。個々の語史をもう少し読みたかった。

Posted byブクログ

2022/06/01

愛羅武勇、夜露死苦! …いや俺の知りたいのはそういうんじゃないし。 -------- あて字の日本語史、と聞いて想像するのは日本の複雑な歴史である。 アイヌ語由来の地名に無理やりあてた北海道の地名などその典型だ。 と思ったら。 「夜露死苦」「愛羅武勇」がいきなり例に登場する。...

愛羅武勇、夜露死苦! …いや俺の知りたいのはそういうんじゃないし。 -------- あて字の日本語史、と聞いて想像するのは日本の複雑な歴史である。 アイヌ語由来の地名に無理やりあてた北海道の地名などその典型だ。 と思ったら。 「夜露死苦」「愛羅武勇」がいきなり例に登場する。アレ? (どっちも一発で変換したんだけど…それはまあいいや) 新聞の見出しのあて字、として「政高党低」だって。これ、あて字じゃなくてダジャレっていうんじゃないのかな…? 黒子のバスケ。六人目(シックスマン)、一対一(ワンオンワン)…ってこれもあて字じゃないのでは? どうにも、あて字の概念が揺らいできた。 僕が想像しているあて字とは、「借字」のことのようだ。漢字を使用する民族が外国語や外来語を耳で聞いた印象で写すときに用いる方法、だそうだ。 「熟字」には、今日(きょう)、女郎花(おみなえし)、など。これ、僕はあて字じゃないと思っていたら、やはり新明解国語辞典などは、熟字はあて字ではない、としているようだ。 ところが著者はこの辺もあて字として解釈する、と宣言している。 ちょっと、嫌な予感…。 ところがすぐに安心する。仏教経典におけるあて字が登場する。そうだよねえ、サンスクリット語とかをむりやり漢字にあてこんでるもんねえ。 キリスト教の用語のあて字で、デウスを大日と訳していたという危ない例がある。最高神(って考えもアレだが)ということで一致するものを選んだ意訳ではあるが、これはさすがに撤回したらしい。切支丹などは、愛羅武勇に近いものがあるが…。しかし切支丹も一様ではなく、鬼利至端、貴利死貪、ほか多数。大日あらためデウスも、伝宇須、泥干首など、もう男塾のような世界である。 ポルトガル語はあて字になったものが多い。 合羽、更紗、襦袢、金平糖、煙草、などなど。 まあ、日米同盟の米、なんて典型的なあて字だよな。United States of Americaがどうして米になるのか。いやまあわかるけど。デウスやコンペイトウは、主体がないからいいとして、現代に至っても自国が「米国」と呼ばれているということを、アメリカ人はどう思うのだろうなあ。 と思ったが、本書はそういうことには思いを馳せない。著者の思考を追う、という読書の楽しみは、もうひとつ得られなかった。あれはこういうあて字だぜ〜というウンチクが増えて、それはそれでよし。

Posted byブクログ