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キオスク の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2023/06/06

田舎から都会へ上京したフランツ。 彼は初めての仕事や烈しい恋を経て、自分の生き方に思い悩む姿はかつての自分を思い出す。都会への戸惑い、恋に翻弄される姿をちょっとほのぼのした感じでみていた。だが、後半になるにつれて当時の社会背景が自由を奪っていく姿はみていて心が辛かった。何よりもそ...

田舎から都会へ上京したフランツ。 彼は初めての仕事や烈しい恋を経て、自分の生き方に思い悩む姿はかつての自分を思い出す。都会への戸惑い、恋に翻弄される姿をちょっとほのぼのした感じでみていた。だが、後半になるにつれて当時の社会背景が自由を奪っていく姿はみていて心が辛かった。何よりもそんななかで、諦めずに抗う生き方が心を鷲掴みされた。人はいつか終わりに向かっていく。生きていくなか人は抗い続け、抗った生きた証が残る。目に見える物として、あるいは目に見えないものとして。フランツの生きた証はしっかり受け継がれたと思う。決して幸せではないけど、終わりは始まりでもある。生き方を教えてくれる一冊なので、生き悩んでいる人にオススメしたい。

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2023/04/24

田舎から母の知り合いのキオスクで働くために都会に出てきたフランツ。仕事を覚え、初恋の相手に翻弄され、あのフロイトの若き友となり…!戦争が深まるにつれ、少年から青年への階段を登っていくフランツ。彼の成長を静かな文体で描く本作品。よく見たら知ってる作家さんでした。「ある一生」も良かっ...

田舎から母の知り合いのキオスクで働くために都会に出てきたフランツ。仕事を覚え、初恋の相手に翻弄され、あのフロイトの若き友となり…!戦争が深まるにつれ、少年から青年への階段を登っていくフランツ。彼の成長を静かな文体で描く本作品。よく見たら知ってる作家さんでした。「ある一生」も良かったし、本作品も良かった。 フロイトの名言「頭から水に飛び込むために、水を理解する必要はない!」スカッとしました!

Posted byブクログ

2023/01/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

引き込まれる小説ではあったけど、「野原」「ある一生」ほどは心の琴線に触れてくる感じはなかったかも。なまっちょろい少年だった主人公と、片足を失っている傷病軍人の店主とのやりとりが良かった。別に優しい言葉なんかお互いかけないけれど、店が壊されれば一緒に片づけをし、ビールをあおる。店主が秘密警察に連れていかれそうになれば、主人公は足を震わせながら身代わりになろうとする。そんな主人公を、店主が乱暴な言葉でかばい、縋りつく主人公を置いて一人連れていかれる場面は胸に迫った。店に一人残された主人公が、そこからはっきりと大人へと脱皮していくのが分かる。その行き着く先があの結末なのは、何とも言えないが…。

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2022/09/05

ゼーターラーの新訳がもうすぐでると思ったら、実は「はじめて出逢う世界のおはなし」シリーズから一冊出ていたのか。 田舎からウィーンへ、初恋とナチスドイツへの併合、助言をくれたフロイト教授との別れ・・少年の成長が早いのは時代のせいだろうか。 ショーウィンドウに貼られる夢を記した付箋...

ゼーターラーの新訳がもうすぐでると思ったら、実は「はじめて出逢う世界のおはなし」シリーズから一冊出ていたのか。 田舎からウィーンへ、初恋とナチスドイツへの併合、助言をくれたフロイト教授との別れ・・少年の成長が早いのは時代のせいだろうか。 ショーウィンドウに貼られる夢を記した付箋のせつなさよ。 いつか“サンファンイマルティネスのよく日の当たる肥沃な川岸で男気ある者たちによって収穫され、美しい女たちによってていねいに手巻きされた”葉巻ホヨードモントレーを吸ってみたいもんだ。

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2021/11/17

文学ラジオ空飛び猫たち第9回紹介「17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン」 ダイチ 青春小説で、田舎から上京してきた人には共感できる部分が多いと思います。主人公フランツは都会が呼吸しているように感じたというが、自分も東京に上京してきたときにはそう感じたのをよく覚えています...

文学ラジオ空飛び猫たち第9回紹介「17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン」 ダイチ 青春小説で、田舎から上京してきた人には共感できる部分が多いと思います。主人公フランツは都会が呼吸しているように感じたというが、自分も東京に上京してきたときにはそう感じたのをよく覚えています。まっすぐ過ぎる主人公がいろんなことを学び、傷つき、諦めたりしながら成長していく過程には引き込まれました。戦争という理不尽な状況もあって、飲み込まれていく姿は悲痛でもありますが、応援したくなります。それとフロイトが登場する設定がいい。すごいフックになっています。 青春小説が好きな人には特におすすめですが、ハッピーエンドとは決して言えないです。前半は万人受けするタイプの小説だけど、途中から戦時中の話ということもあり辛いことが連続していくので、そういうのが苦手な人には合わないかもしれないです。 ミエ 初めて読んだのは2019年で、この一年で3回くらい読んでいます。推し本の読書会ではだいたい『キオスク』を紹介していました。フロイトに導かれて、大人となっていく主人公フランツの成長物語がすごく心に残っています。フロイトや周囲の人のサポートがあって、フランツは少年の殻を破り、信念を持った人間になります。でも、時代は1938年のウィーンで、信念を持った人間が生き延びるには厳しい時代でした。もし時代が違っていれば、フランツはすごく立派な人間になって幸せになっていたと思います。ついそんなことを考えてしまいました。それと小説を読み終えたら駅のキオスクに行って新聞を買いたくなりました。 自分に自信が持てないとか、勇気をもって自分の道を歩みたいとか、そういう人は『キオスク』を読んでほしいと思います。フランツがフロイトの言葉に導かれたように、フランツがあなたに勇気を与えてくれるかもしれません。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/9-17-ehhak8

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2020/08/25

ライトノベルのようにするすると読める。翻訳者さんが上手なのか、情景描写が細かく丁寧でおもしろい。人生の酸いも甘いも知り尽くした老人フロイトと、初めて恋をする青年の会話劇はなかなかみもの。 最後はドイツに併合されるウィーンの様子が丁寧に描かれて、そういえば戦争の話だったと、グイッと...

ライトノベルのようにするすると読める。翻訳者さんが上手なのか、情景描写が細かく丁寧でおもしろい。人生の酸いも甘いも知り尽くした老人フロイトと、初めて恋をする青年の会話劇はなかなかみもの。 最後はドイツに併合されるウィーンの様子が丁寧に描かれて、そういえば戦争の話だったと、グイッと引き戻されるのが気持ちいい。

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2018/07/05

第二次大戦前夜のウィーンの空気を感じたいと手に取ったが、最初はほぼ主人公フランツの思春期の悩みが続き、その悩みをフロイト先生に聞いてもらえるなんてなんと贅沢な少年よ、でもちょっと期待外れかと思って読んでいた。しかし半ばでその空気が一変する。「最近までぼくは子どもだった。今もまだ大...

第二次大戦前夜のウィーンの空気を感じたいと手に取ったが、最初はほぼ主人公フランツの思春期の悩みが続き、その悩みをフロイト先生に聞いてもらえるなんてなんと贅沢な少年よ、でもちょっと期待外れかと思って読んでいた。しかし半ばでその空気が一変する。「最近までぼくは子どもだった。今もまだ大人になりきれてない」(p.170)というが、ドイツに併合されたウィーンで一人キオスクを守るフランツは大人びており、この辺りの変化は岸恵子が「ベラルーシの林檎」で空襲を受けて「子供であることをやめた」と述べたのを思い出した。戦争は子どもを大人にしてしまうのだろうか。フロイト先生とキオスク店主は、父親を知らないフランツにとっての父親だったのだろう。ウィーンの片隅のキオスクという狭い世界から、いやキオスクからだからこそ見ていて世の中はどんどん「おかしくなって」戦争へと向かう様子が見て取れる。重要なアイテムとなっているのが新聞。このおかしくなっていく世界がティモシー・スナイダーの「ブラックアース」のプロローグに描かれた、通りの名前を塗りつぶすウィーンへとつながる。それにしてもこの書籍、重層的にいろんなことが含まれていてYAには読み解くのが困難ではないだろうか。

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2017/12/26

途中、心配だったけど、読み終えてみるとすごくいい本だったと思う。 「ノスタルジックな雰囲気がたまらない みずみずしい青春小説」みたいな煽りがついているけど、それは少なくとも嘘だろう。。。笑 英訳版がブッカー賞の最終候補に選ばれただけはある、いい小説です。 2018年1月末のGA...

途中、心配だったけど、読み終えてみるとすごくいい本だったと思う。 「ノスタルジックな雰囲気がたまらない みずみずしい青春小説」みたいな煽りがついているけど、それは少なくとも嘘だろう。。。笑 英訳版がブッカー賞の最終候補に選ばれただけはある、いい小説です。 2018年1月末のGACCOH小説読書会の課題本。

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2017/11/01

1937年、オーストリアの山間部・湖の近くに住む17歳のフランツは母親と二人暮らしだった。母親の雇い主がなく案ったのを機に、一人ウィーンのキオスクに住み込みで働くことになる。キオスクの主人は、戦争で片足を失った。フランツは、キオスクにやってくる常連さんたちの好みを覚え、ひとつづつ...

1937年、オーストリアの山間部・湖の近くに住む17歳のフランツは母親と二人暮らしだった。母親の雇い主がなく案ったのを機に、一人ウィーンのキオスクに住み込みで働くことになる。キオスクの主人は、戦争で片足を失った。フランツは、キオスクにやってくる常連さんたちの好みを覚え、ひとつづつ仕事を学んでいく。そんな常連客の中に、精神分析学のフロイトがいた。フロイトは、すでに著名な学者であったがユダヤ人であることから、ヒトラーからにらまれていた。 フランツは、フロイトの荷物を運んだりするうち親しく話すようになり、自分の人生の相談をする。フロイトの助言に従い、休みに町へ遊びに出たフランツはアネシュカという女の子に一目ぼれしてしまう。フランツはアネシュカを探し求めるのだが…。 ヒトラーのユダヤ人や少数民族の迫害、追い込まれていくキオスクの主人やユダヤ人。怪しい世の流れの中、フランツはフロイトの助言に共感し、自分の進む道を行くのだが、最後は想像できてはいたものの、悲しいものであった。 美しい湖のそばに住む母親とフランツの手紙のやり取りなど、悲しさを増す。

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