病院崩壊 の商品レビュー
医師であり社会医療法人会長である著者が、日本の医療の実態について述べた本。医師の目線で、日本の医療制度や病院経営の問題点を挙げ、改善策を述べている。問題点については、特段新たな意見はなかった。解決策は、医師の視線に立ったものばかりで、抜本的解決策にはならないと思う。結局は、既得権...
医師であり社会医療法人会長である著者が、日本の医療の実態について述べた本。医師の目線で、日本の医療制度や病院経営の問題点を挙げ、改善策を述べている。問題点については、特段新たな意見はなかった。解決策は、医師の視線に立ったものばかりで、抜本的解決策にはならないと思う。結局は、既得権益にしがみついているように思え、国のお金頼みの方向性が示されている。医療費の破綻の状況が見えており、これ以上の税金の投入が不可能であるならば、これ以上の新たな医療、特に高価な医療の導入をあきらめるか、医療費自己負担を増やし、歳入を増やすしかない。誰にでも安価で高度な医療の提供は、無理ではないのか。延命のために多額の公的資金投入は、無駄ではないのか。もっと、ビジネスライクな医療制度を導入すべきではないのか。そのような核心的議論を避けている。米国の医療制度が上手くいっているのであれば、それを参考にすべきだと思う。結局は、自分ら医療関係者の生き残りのため、医療従事者間の競争を避けているとしか思えない。著者が言うような小手先の改善策を示す時期は、すでに過ぎていると思う。 「現行の診療報酬制度では、患者の治療を第一に考える良心的な病院ほど収益が悪化するという側面があります」p4 「2014年度の国民医療費 40兆8071億円、2006年度の33兆1276億円から一貫して増え続けており、この20年間で約6割増。2017年度予算の政府案ベースでは、医療費の国庫負担は11兆4458億円。年金を含めた社会保障費は32兆4735億円で、一般会計97兆4547億円のほぼ3割に当たる。2007年度にはこの割合が25.5%だったので、この比重は確実に高まっていることがわかる」p52 「現状では各学会が独自の基準で専門医を認定するため、質の向上より会員の利益が優先されがちだ」p133
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※このレビューにはネタバレを含みます
・都市部への医師偏在が進んでいる ・高齢者一人当たりの医療費は若年層の4倍 ・国立、自治体病院の繰入金は約8000億、官民格差につながっている ・専門医の評価のために、ドクターフィーの導入を検討してはどうか ・予防医療に力を入れるべき ・病院機能評価の義務付け、取れないところは保険適用しないとするのはどうか ・医師の定年制や免許の更新制 ・在宅医療がどれだけの経済効果があるのか
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