一私小説書きの日乗 不屈の章 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
懲りずに五冊目を読み終えた。淡々とした日常の描写は日記の醍醐味であり本著でも変わらず発揮されている。五冊目にもなると彼の生活が自分にとっても日常になるような不思議な感覚さえある。 自炊している割合が前巻よりもさらに上がっており、その様子を読んでいると妥協なき食への探究心にひれ伏すしかない。毎回の食事が最後の晩餐かと思っているかのごとく自分の満足度を100%追求している。なので、読んでいると自分の食事にもフィードバックがあり「本当に俺は今これが食べたいのか?」と自問自答する機会が増えた。また晩酌しながら読むと彼の飲酒量の勢いに飲まれるがごとく、ついたくさん飲んでしまう。まさか自分がお酒を飲みながら読書するなんて昔は思っていなかったけど、今は常態化しておりアフター5の楽しみになっている。本著が角川時代最後の連載で次巻からは本の雑誌社での連載となるが何か変化するのか、それとも変わらない日常が続くのか楽しみ。
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エッセイとかではなくただの日記である。 他人の日記を読むと言うことは人の生活を覗き見しているかのような若干の後ろめたさと、少しの興奮があるとはおもうが、彼に関しては奔放すぎてそんなことはどうでもよい。ただ、喧嘩を売って、文句を垂れ、手製のなにかを作り、宝を呑んで、小説を書く。それ...
エッセイとかではなくただの日記である。 他人の日記を読むと言うことは人の生活を覗き見しているかのような若干の後ろめたさと、少しの興奮があるとはおもうが、彼に関しては奔放すぎてそんなことはどうでもよい。ただ、喧嘩を売って、文句を垂れ、手製のなにかを作り、宝を呑んで、小説を書く。それだけだ。それを淡々と書いているだけだ。なぜだ、なぜこんなものを最初から最後まで楽しんで読んでしまうのだ。不思議だ。
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飲み食いと買淫の日記といいたいところだが、日記レベルにも達しているとは言えない。いわば無意味な記録。これが延々と続く。芸もなければ見せ場もない。無味乾燥な文章なのだが、なぜか食欲が誘われ性欲がそそられる。ここは流石と言うべきところ。加えて読者には、逆に欲の抑止力ともなっているのが...
飲み食いと買淫の日記といいたいところだが、日記レベルにも達しているとは言えない。いわば無意味な記録。これが延々と続く。芸もなければ見せ場もない。無味乾燥な文章なのだが、なぜか食欲が誘われ性欲がそそられる。ここは流石と言うべきところ。加えて読者には、逆に欲の抑止力ともなっているのが凄い。不思議なテイストに誘われどんどんページが進む。不屈の章になってこれまでと大きく違う点に気付く。北町貫太がすっかり鳴りを潜めているのだ。買淫は2か月もなく波乱に一つもない。ハラハラ動悸を打つこともなく安心して読めるようになりはしたが、どこか一抹の寂しさも漂う。
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