1,800円以上の注文で送料無料

「飽食した悪魔」の戦後 の商品レビュー

4

2件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2017/08/24

森村誠一『悪魔の飽食』を読んだ時はかなりの衝撃を受けた。 関東軍防疫給水部本部、通称731部隊は表向きは感染症の 予防や対策などの設立されたのだが、その実態は細菌戦の 為の生物化学兵器の研究や開発に伴い、人体実験を行って いた組織だ。 森村誠一の著作に関しては後に掲載...

森村誠一『悪魔の飽食』を読んだ時はかなりの衝撃を受けた。 関東軍防疫給水部本部、通称731部隊は表向きは感染症の 予防や対策などの設立されたのだが、その実態は細菌戦の 為の生物化学兵器の研究や開発に伴い、人体実験を行って いた組織だ。 森村誠一の著作に関しては後に掲載された写真が問題視され た。このことで731部隊の人体実験自体が捏造だとの説が一部 にはあるようだ。慰安婦問題と同じ構図なのだろうな。 加害の記憶は刻みたくないのは人間の本能なのかもしれない。 しかし、戦後、戦勝国に戦犯として裁かれた人たちがいた一方 で、GHQにより免責された実質戦犯たちがいたことは確実だと 思う。 安倍晋三の祖父である岸信介もその一人だろうし、732部隊の 中心的人物だる石井四郎もそうだろう。そして、本書が取り上げる 二木秀雄もだ。 731部隊については研究が進んでおり、本書以外にも優れた作品 となっているので詳細は省くが、この二木秀雄なる人物については まったく知らなかったので面白かった。 研究データをGHQに提供することで戦犯としての訴追を免れた 二木をはじめとした元731部隊隊員たちが戦後も跋扈している のだよね。 戦後に二木が創刊した雑誌「政界ジープ」が企業の不祥事をネタ にして恐喝事件を起こした政界ジープ恐喝事件、GHQとの深い 関係をうかがわせる「日本ブラッドバンク」の設立は後々売血問題 に発展するきっかけか? この「日本ブラッドバンク」は後年、薬害エイズ問題を引き起こす 「ミドリ十字」の前身である。 余談だが、売血については私が敬愛する故・本田靖春氏が読売 新聞記者時代に「黄色い血追放キャンペーン」を行っている。 苦しい戦後を生き抜いたり、戦中の自身を顧みて医学の世界に 背を向けた元隊員もいた一方で、二木のように戦中の人脈を 引き摺りながらも、時代の波を上手に乗り切った人もいるんだ なと思うと複雑な気分だ。 二木の戦後も興味深く読んだが、ゾルゲが日本の細菌戦準備の 情報を掴んでいたとの話が面白かった。

Posted byブクログ

2017/07/22

まだ読み切っていないけれどこれはすごい本だ。元731部隊員の二木秀雄の戦後の活動を辿ることで冷戦下の日本の反共右翼人脈の行動原理を浮き彫りにする。

Posted byブクログ