図説 コミュニティ・スクール入門 の商品レビュー
正直に言えば、コミュニティ・スクールは絵に描いた餅なのではないかと思う。一億総活躍社会と言えば聞こえはいいが、要はみんな経済活動をして、子育ては学校や保育園にやってもらおう、そういう発想である。昔であれば、高齢者に少し時間のゆとりがあったのかも知れないが、今は、我が孫の面倒を見...
正直に言えば、コミュニティ・スクールは絵に描いた餅なのではないかと思う。一億総活躍社会と言えば聞こえはいいが、要はみんな経済活動をして、子育ては学校や保育園にやってもらおう、そういう発想である。昔であれば、高齢者に少し時間のゆとりがあったのかも知れないが、今は、我が孫の面倒を見るのもできれば遠慮したいという高齢者も増えていると聞く。いや、高齢者とて、定年退職と年金支給がどんどん遅くなり、死ぬまで働く時代はもうそこまで来ている。 そういう中で、学校と地域連携の体制整備がどこまで可能なのか、しかも限りなくボラに近い状況でだ。 教員からすれば、保護者や地域が学校を手伝ってくれるのは有り難いと思っているかと言えば必ずしもそうではない。保護者や地域が学校に入ることで、かえって学校の負担が大きくなると言うのはよくある話だ。では、保護者や地域にとってはどうか。PTAだってなんだって、一度その世界に足を踏み入れてしまうと、なかなか抜け出すことができないということで、最近はくじ引きですら決まらず、そもそも任意なのだからPTAに入らないという人も珍しくなくなった。そう言えば、町内会だって、地方は分からないが、東京都では加入率が相当下がっている。 そういう中でコミュニティ・スクールと言われても、どうしても消極的、懐疑的にならざるを得ないが、この本を読むと、ちょっとだけ希望が見えると思うのは、私だけだろうか。 そもそも、著者は三鷹市でコミュニティ・スクールを推進した実績がある。その実績に裏付けられた主張は、やはり説得力がある。この本に書かれていることを、自分の学校、自分の地域にそのままあてはめることはできないにしても、何かのとっかかりとなるヒントを見つけることはできそうだ。 コミュニティ・スクールには、欠かせない3つの機能があるそうだ。それは、p.66「①熟議、②協働、③マネジメント」だ。どれも敷居が高そうだが、核になる人が見つかれば(見つからなければ校長がやるしかないが)、何かができるのかも知れない。 いわゆる知識力や記憶力などの「テクニカルスキル」に対して、p.126「多様性を尊重し、異質な人の意見も聞いて、人と円満にコミュニケーションを取る力も大切です。また、課題を見つけて解決策を考え、責任を持って最後までやり遂げる力や、他人を思いやり、優しい愛情を注げる勇気や感性が育まれなければなりません。」これらを、著者は「ヒューマンスキル」あるいは「未来学力」と言っている。こうした力は、確かに学校だけで身につけさせることは難しいかも知れない。 この本が出て既に3年が経過している。小学校は、4月から新しい学習指導要領が完全実施となった。そして、コロナ対応を3か月の臨時休業。筆者が熱く語る理想の学校像はどこまで進んでいるのだろうか。
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三鷹市教育長の貝ノ瀬氏が三鷹のコミュニティ・スクールの成功例を元に解説されている。図が適度に入りわかりやすい。今後のコミュニティ・スクールの運営に参考となる。
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