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2017/07/27

今回のラカンセミネールⅩは、上巻の前半で何度も「先回のセミネールで・・・」という言及が繰り返される。しかしこちらはそのセミネールⅨを読んでいないので、どうもよくわからないのである。 前に読んだセミネールⅧ『転移』と本書のあいだにあるセミネールⅩが、どうやら重要な講義であるようだ。...

今回のラカンセミネールⅩは、上巻の前半で何度も「先回のセミネールで・・・」という言及が繰り返される。しかしこちらはそのセミネールⅨを読んでいないので、どうもよくわからないのである。 前に読んだセミネールⅧ『転移』と本書のあいだにあるセミネールⅩが、どうやら重要な講義であるようだ。調べてみると、「自己」についてのものらしいセミネールⅩは本国フランスでもまだ刊行されていないらしい。ミレールさん、頑張って出して欲しい。 しかし最初のうち当惑したものの、読み進めるうちに本書もまた、重要なセミネールであることがわかった。 ここではラカンの中心概念の一つ「対象a」がかなり詳細に追究されている。そして、欲望の原因であり欠損でもある対象aのうち、とりわけ「ファルス」についてもかなり詳しく話されているので、ラカン入門の一つとして、本書は日本の読者にも大切なものとなるだろう。 さらに話題はマゾヒズムやら去勢やら同性愛やら、相変わらず膨大な寄り道も含めて広がって行くので、なかなか面白いのである。 本書の最後、「次回のセミネールは父の名について行います」と予告しているが、精神分析協会からラカンが除名されるという事件が起き、別の大学に移って、セミネールⅪ『精神分析の四基本概念』に至るのだ。

Posted byブクログ