1,800円以上の注文で送料無料

戸籍と無戸籍 の商品レビュー

4

7件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/06/27

出版社(人文書院)のページ https://www.jimbunshoin.co.jp/book/b281579.html 内容紹介、目次、書評リンク多数 第39回サントリー学芸賞受賞 【社会・風俗部門】

Posted byブクログ

2023/12/18

サントリー学芸賞受賞ということで手に取ったが期待していたものとは違っていた。戸籍に対しては否定的なスタンスで臨んでいて(その態度自体は分からなくもないが)、冷静な分析を妨げているように思えた。もっと現代における戸籍の位置付けや無戸籍者の抱える具体的な問題点を深掘りして欲しかった。...

サントリー学芸賞受賞ということで手に取ったが期待していたものとは違っていた。戸籍に対しては否定的なスタンスで臨んでいて(その態度自体は分からなくもないが)、冷静な分析を妨げているように思えた。もっと現代における戸籍の位置付けや無戸籍者の抱える具体的な問題点を深掘りして欲しかった。そのスタンスから当然戸籍が不要ではないかと問題意識を最終章で投げかけているが、今あるものを積極的に廃止するだけの問題点を提示できていないようにも思えた。 一方で、本書は戸籍に纏わる数多くの知識が盛り込まれており、初めて知ることも多く勉強になった。南米に移住した日系人が戦災による戸籍の消失で知らずに無戸籍者になり一時帰国中に旅券の発行ができず立ち往生した問題、無戸籍者であっても婚姻は可能でむしろ戦前の方が日本人である証明も不要で容易だったこと(戦後日本人でなくなった朝鮮人等を排除するため幻覚化した)、などは興味深かった。

Posted byブクログ

2022/07/20

戸籍のことなんて、考えたことはなかった。結婚したときと、パスポートとったときくらい。 「戸籍と無戸籍」を読んでみて(ちゃんと読みこなせている気はしないけど)、「イエ」のこととか、日本人ってなんだろう?とか、夫婦別姓についてとか、日本に住む外国籍の人たちのこととか、折に触れ、むむむ...

戸籍のことなんて、考えたことはなかった。結婚したときと、パスポートとったときくらい。 「戸籍と無戸籍」を読んでみて(ちゃんと読みこなせている気はしないけど)、「イエ」のこととか、日本人ってなんだろう?とか、夫婦別姓についてとか、日本に住む外国籍の人たちのこととか、折に触れ、むむむ〜

Posted byブクログ

2020/12/31

今の戸籍制度の成り立ちが詳しい。当初の便宜的な区分が結局は価値に転嫁するのは制度史あるあるだなあと思う。後半部分は新聞相談の解説で、少し冗長に感じました。

Posted byブクログ

2018/06/22

現代においてもさまざまな理由で無戸籍者が発生している。そして、戸籍がないことの不利益は意外に少ない。 そもそもその存在目的が怪しげで、本籍地から転居してからは戸籍謄本の入手が面倒になったことまあって、ねてより廃止すべきと思っていた。居住地と全く関係なく登録可能な戸籍の必要性には疑...

現代においてもさまざまな理由で無戸籍者が発生している。そして、戸籍がないことの不利益は意外に少ない。 そもそもその存在目的が怪しげで、本籍地から転居してからは戸籍謄本の入手が面倒になったことまあって、ねてより廃止すべきと思っていた。居住地と全く関係なく登録可能な戸籍の必要性には疑問だらけである。 この本を読んで、ますますその思いを強くした。

Posted byブクログ

2017/10/17

戸籍制度の成り立ちから現在の戸籍制度の問題点について書かれている。戸籍は、国家が国民を管理する制度であることが良くわかる。戸籍には、日本人しか記載されない理由とその問題点を提起している。戸籍に記載されていようがいまいが、人間として人権が尊重される世の中であることが民主主義国家の基...

戸籍制度の成り立ちから現在の戸籍制度の問題点について書かれている。戸籍は、国家が国民を管理する制度であることが良くわかる。戸籍には、日本人しか記載されない理由とその問題点を提起している。戸籍に記載されていようがいまいが、人間として人権が尊重される世の中であることが民主主義国家の基本であることを主張している。一般の日本人は、普段、戸籍を意識しないが、その意識をしないことで、何気なく差別していることを問題にしている。著者は、戸籍制度の矛盾を提起し、批判的な論調で書いている。専門的な知識がないと少し難しい内容だが、非常に有益な本である。

Posted byブクログ

2017/10/29

「戸籍は何のためにあるのか?」と問われ、即答できる人は恐らく少数派だろう。かつて戸籍制度が担っていた役割は住民基本台帳などの他の制度に取って代わられており、戸籍が単独で我々の日常生活に影響を及ぼす局面は限定的。にも関わらず、我々は漠然と戸籍が日本人としてのアイデンティティに不可欠...

「戸籍は何のためにあるのか?」と問われ、即答できる人は恐らく少数派だろう。かつて戸籍制度が担っていた役割は住民基本台帳などの他の制度に取って代わられており、戸籍が単独で我々の日常生活に影響を及ぼす局面は限定的。にも関わらず、我々は漠然と戸籍が日本人としてのアイデンティティに不可欠なものであると認識している。これはなぜなのだろう?本書はこの戸籍の不思議さについて、その来歴と運用の実態を大量の文献に当たり詳らかにしながら、現代の戸籍制度が内包する共同幻想=「道徳律」をあぶり出した労作。 現行制度に先立つこと千年以上の昔から、戸籍は警察的な要請による身元調査のためのツールとして整備されてきた。これが明治維新を経て、富国強兵のための徴税・徴兵名簿としての機能を強めていく。著者は、明治政府が無籍者の自発的な就籍を促す過程で、家の規格化による国民統合、即ち天皇を頂点とする「家」制度への登録こそ道徳的美徳であるという意識が国民の間に植え付けられたとする。この家族国家思想としての「道徳律」こそ、戸籍制度が実体面での有効性を失いつつも今日まで命脈を保っていることの理由だというのだ。 そして戦後も、登録要件としてほぼ一貫して厳格な「血統主義」を要請することで日本国民の証明としての戸籍の「純度」が高められてきたが、「棄児」や「外国人」を扱うにあたり、その運用は必ずしも一貫性のあるものとは言い難く各種の矛盾を呈している。著者によれば、動態的な「ヒト」の移動を与件とする現代資本主義社会において、静態的な「イエ」をベースにする管理制度に最早実効性はない。今後の日本社会においては、「国民」としてより「住民」としての個人の権利がより重要性を持つのであって、そこでは「規定された家族」を前提とする「戸籍」は柔軟な運用が困難であろうというのが著者の主張。昨今の晩婚化・非婚化やLGBTの権利意識の高まりをみても首肯できるところが多いと感した。 文章が少々硬くて読みづらく、大量の文献に圧倒されたりもしたが、期待通りのスケール感で歯応え十分だった。

Posted byブクログ