アガサ・クリスティーの大英帝国 の商品レビュー
第65回アワヒニビブリオバトル「ミステリー」で紹介された本です。チャンプ本。オンライン開催。 2020.06.07
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ミステリ小説になぜ「観光」が出てくるのか。 著者の考えは、実際の(もしくは仮の)場所を設定することで、読者に内容の広がりを与え、興味を持たせるため。そしてもう一つは、これは結果論ではあるが、観光地が「聖地」になるため。 ミステリ作品の中で、こうした場所は多く取り上げられるが...
ミステリ小説になぜ「観光」が出てくるのか。 著者の考えは、実際の(もしくは仮の)場所を設定することで、読者に内容の広がりを与え、興味を持たせるため。そしてもう一つは、これは結果論ではあるが、観光地が「聖地」になるため。 ミステリ作品の中で、こうした場所は多く取り上げられるが、例えばシャーロックホームズシリーズでは、観光地、特に田舎は、都会と比べて劣っていて、犯罪の温床となっていると捉えている、と著者は述べている。 しかしその一方で、アガサ・クリスティーの描く、観光地はそれとは全く異なる描かれ方がされている。 ミステリと観光にはどのような関係性があるのか。 アガサ・クリスティーの作品を、年代別に分類して考察していく様子はなかなか面白く、(あくまで著者の推測ではあるものの)歴史的背景と、それに影響される作品という捉え方は、今までになかった。 読書の新しい視座を得た気がした。
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クリスティの長編ミステリーの舞台を、観光ミステリ、田園ミステリ、都市ミステリに分ける。 ○観光ミステリ(26) ・交通機関(9):茶色の服の男、青列車の秘密、オリエント急行の殺人、ナイルに死す、死への旅、パディントン発4時50分、フランクフルトへの乗客、復讐の女神 ・中東(...
クリスティの長編ミステリーの舞台を、観光ミステリ、田園ミステリ、都市ミステリに分ける。 ○観光ミステリ(26) ・交通機関(9):茶色の服の男、青列車の秘密、オリエント急行の殺人、ナイルに死す、死への旅、パディントン発4時50分、フランクフルトへの乗客、復讐の女神 ・中東(5):オリエント急行の殺人、メソポタミヤの殺人、ナイルに死す、死との約束、死が最後にやってくる、バグダッドの秘密 ・観光リゾート、ホテル、別荘(12):ゴルフ場サツジンジケン、シタフォードの秘密、邪悪の家、三幕の殺人、ABC殺人事件、そして誰もいなくなった、白昼の悪魔、NかMか、書斎の死体、五匹の子豚、ゼロ時間へ、予告殺人、蒼ざめた馬、複数の時計、カリブ海の秘密、バートラム・ホテルにて、スリーピング・マーダー ○田園ミステリー ・ロンドン近郊:スタイルズ荘の怪事件、チムニーズ館の秘密、七つの時計、牧師館の殺人、ものいえぬ証人、書斎の死体、動く指、ホロー荘の殺人、満潮に乗って、ねじれた家、予告殺人、ポケットにライ麦を、死者のあやまち、パディントン発4時50分、無実はさいなむ、鳩の中の猫、鏡は横にひび割れて、親指のうずき、ハローウィン・パーティ、カーテン ・田舎(12):アクロイド殺し、三幕の殺人、なぜエヴェンスに頼まなかったのか?、ポワロのクリスマス、殺人は容易だ、杉の柩、魔術の殺人、マギンティ婦人は死んだ、葬儀を終えて、終わりなき夜に生まれつく、復讐の女神、像は忘れない、運命の裏木戸 ○都市ミステリ(9) ・都心(9):秘密機関、ビッグ4、エッジウェア卿の死、ひらいたトランプ、愛国殺人、忘れられぬ死、ポケットにライ麦を、ヒッコリー・ロードの殺人、バートラム・ホテルにて、第三の女 区分けは確かにそうだと面白い。表をメモした。 2017.5.11発行 図書館
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アガサ・クリスティーの作品を3つの大きなグループに分類しつつ、時系列に作品を解説する書。3つのグループとは「観光ミステリ」「田園ミステリ」そして「都市ミステリ」。 僕自身は小学校の頃親から勧められた「そして誰もいなくなった」を読んだ・・・のかどうか記憶があいまいという程度、ほぼ...
アガサ・クリスティーの作品を3つの大きなグループに分類しつつ、時系列に作品を解説する書。3つのグループとは「観光ミステリ」「田園ミステリ」そして「都市ミステリ」。 僕自身は小学校の頃親から勧められた「そして誰もいなくなった」を読んだ・・・のかどうか記憶があいまいという程度、ほぼ読んだことがないと言っていい。クリスティーが亡くなったという報道はなんとなく覚えていて、その時は「生きてる人だったのか」と思った。 その程度なので、いわば入門書的に良かった。映画リメイクで新訳が出るようなので「オリエント急行」も読んでみようかと思っている(さすがにトリックは知っています)。 ふたつの大戦を挟んだクリスティーの作品の変遷、またヨーロッパにおける「旅」の主体や内容の変化(一言で言うと大衆化)の対応がおもしろかった。 「観光地が発展するには4つのs=sea, sand, san, sex が必要」とのこと。 なるほど。
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建築計画がご専門の著者だが、田園に関して踏み込んだ考察はなく、あとがきで自ら記しているように、観光的考察はさらに薄い。タイトル倒れの感は否めない。
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