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古代日本人の生き方を探る の商品レビュー

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2019/02/18

『古代探求―「記・紀」の世界と日本人の心』(1993年、NHKブックス)と『古代日本海文明交流圏』(2006年、ミネルヴァ書房)を加筆訂正したもののほか、それぞれの付論として2編の論考が収められています。 『古代探求』は、『古事記』『日本書紀』の神話に基づいて、古代の日本人の生...

『古代探求―「記・紀」の世界と日本人の心』(1993年、NHKブックス)と『古代日本海文明交流圏』(2006年、ミネルヴァ書房)を加筆訂正したもののほか、それぞれの付論として2編の論考が収められています。 『古代探求』は、『古事記』『日本書紀』の神話に基づいて、古代の日本人の生命観を解き明かそうとした本です。著者は、津田左右吉に始まる実証的研究や、松村武雄に代表される比較神話論的な研究の意義を認めながらも、よりストレートに、記紀神話が今日に伝える日本人の生命観・世界観に迫る道を求めています。ただ、本書のようなアプローチだと、あらかじめ日本的な生命観なるものが前提されてしまうのではないかという危惧を抱いてしまいます。そのような本質主義の問題に、著者が十分意識的であるとはいえないような気がします。 『古代日本海文明交流圏』は、「文明の交流史観」を提唱する著者が、古代の日本について論じた本です。大和政権という一極に収斂するかたちで古代日本史をえがくのではなく、出雲王国や越王国との相互関係、さらに中国大陸や朝鮮半島、渤海国などとの密接な交流を重視することで、「環日本海文明圏」という観点から日本古代史を見なおす試みをおこなっています。

Posted byブクログ