夫・車谷長吉 の商品レビュー
妻であり詩人でもある高橋順子が車谷長吉との結婚生活と死別を描いたエッセイ集。「結婚生活は修行のようでした」という一文が表すように、結婚生活の間に売れない私小説作家である車谷長吉は直木賞を受賞することで文士としての生計が立つものの、自身の精神を病み、結果的には生のイカを飲み込んだこ...
妻であり詩人でもある高橋順子が車谷長吉との結婚生活と死別を描いたエッセイ集。「結婚生活は修行のようでした」という一文が表すように、結婚生活の間に売れない私小説作家である車谷長吉は直木賞を受賞することで文士としての生計が立つものの、自身の精神を病み、結果的には生のイカを飲み込んだことが直接の死因としてこの世を去ることになるわけだが、この浮き沈みを常に支えた妻としての心労はいかほどであっただろうか、と思わせる。 もっとも本書は全体的に明るいタッチで描かれており、車谷長吉との結婚生活がそれはそれとして楽しいものであったように見える。さらに車谷長吉の作品の中ではひどい悪妻のように描かれる場面も多いが、それは本書を読めば私小説作家である彼の虚構であるということが良くわかる(もっと作品で酷い描かれ方をする車谷の実母に関しても、妻である著者が紹介する人となりは極めて良識人である)。 車谷長吉のような毒を持った作家というのは恐らく出てこないだろう。稀有な作家が作品からは見せない別の一面を理解でき、かつ夫婦関係というものの複雑さと面白さを伝えてくれる。
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姫路出身の小説家 車谷長吉 数々の文学賞に輝く人だけれど その家庭生活はなかなか厳しいものだったようだ その日々をこれまた数々の賞に輝く詩人の奥様が やさしい冷静な目線で綴っている。 彼の著作をまた読みたいと思わせる それにしてもお疲れさまでした ≪ お互いの 作品見せあう 至...
姫路出身の小説家 車谷長吉 数々の文学賞に輝く人だけれど その家庭生活はなかなか厳しいものだったようだ その日々をこれまた数々の賞に輝く詩人の奥様が やさしい冷静な目線で綴っている。 彼の著作をまた読みたいと思わせる それにしてもお疲れさまでした ≪ お互いの 作品見せあう 至福の日 ≫
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ファンにとっては良書となるのではないでしょうか! 長吉さんの奥さんが書かれたものです。それにしても奥さん、70歳過ぎての独り身…少々、辛いと言うか、寂しい感じがするような気がしますけれども、どうなのでしょう…。 それはともかく…長吉さんの人柄が伺えるような本でしたねぇ…いやはや...
ファンにとっては良書となるのではないでしょうか! 長吉さんの奥さんが書かれたものです。それにしても奥さん、70歳過ぎての独り身…少々、辛いと言うか、寂しい感じがするような気がしますけれども、どうなのでしょう…。 それはともかく…長吉さんの人柄が伺えるような本でしたねぇ…いやはや、本当に変人…いや、自分に正直なだけか?? 強迫神経症になってしまった長吉さん…こういう人との生活は大変だとお見受けしますけれども、奥様、よく耐えましたね…! という感じでまあ、長吉さんの人柄を伺うのには最適な一冊だと思いました…さようなら。 ヽ(・ω・)/ズコー
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- ネタバレ
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波乱万丈の人生だったみたいだけど、最期は奥さんが夕飯に大根と生イカの煮物をしようと思って解凍しておいたイカを食べて窒息死なんて…。 でも安らかに眠ってるような死に顔だったようで救われた。
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長吉さんは良くも悪くも子供のような人だった。 これほど手の掛かる夫を亡くされた奥様の寂寥は如何許りか。
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不謹慎な言い方だけれど、あまりに面白かったので二回読み直し。特に東日本大震災以降の部分は五回くらい読んだ。その部分の中に以下の表現。高橋順子にここまで書いてもらったら長吉さんも本望だろう。 「鈍重な女の恋や黴のごと」(略)。長吉には狂気にまごう冴えがあったが、強情といったらなか...
不謹慎な言い方だけれど、あまりに面白かったので二回読み直し。特に東日本大震災以降の部分は五回くらい読んだ。その部分の中に以下の表現。高橋順子にここまで書いてもらったら長吉さんも本望だろう。 「鈍重な女の恋や黴のごと」(略)。長吉には狂気にまごう冴えがあったが、強情といったらなかった。それは鈍重に通ずるところがあったような気がする。黴はいつまでもそこに、心に居つづける。 271ページ。
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高橋順子 著「夫・車谷長吉」、2017.5発行。高橋順子さんが車谷長吉さんとの出会いから結婚、永遠の別れまでを日記風に記した追悼の書、三回忌に間に合うようにまとめられたそうです。高橋順子さんが1つ上の奥様、48歳と49歳、どちらも初婚、純愛そのもののお二人です。結婚して2年4ヶ月...
高橋順子 著「夫・車谷長吉」、2017.5発行。高橋順子さんが車谷長吉さんとの出会いから結婚、永遠の別れまでを日記風に記した追悼の書、三回忌に間に合うようにまとめられたそうです。高橋順子さんが1つ上の奥様、48歳と49歳、どちらも初婚、純愛そのもののお二人です。結婚して2年4ヶ月、車谷さんが強迫神経症になってからも仲睦まじさはゆるぎなかったものと思います。95日間南半球一周航海、四国お遍路の旅などをはじめ、いろいろな地をお二人で旅されています。
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【この世のみちづれとなって――至純の文学】十一通の絵手紙をもらったのが最初だった。直木賞受賞、強迫神経症、お遍路、不意の死別。異色の私小説作家を支えぬいた詩人の回想。
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