社外秘人妻査定 の商品レビュー
夫婦の思いがけない営みを描き出す設定の良さ
男女の区別がつけにくい筆名だが、何となく女流作家のようにも感じられる作者のデビュー作。作中に度々登場する「男の能力アップは妻の内助の功にあり」は古式ゆかしい気もするが、家庭に入った女性にとっては不変かつ最大の栄誉と言えなくもない。そんなテーマに沿ってリストラ目前の崖っぷち社員が潜...
男女の区別がつけにくい筆名だが、何となく女流作家のようにも感じられる作者のデビュー作。作中に度々登場する「男の能力アップは妻の内助の功にあり」は古式ゆかしい気もするが、家庭に入った女性にとっては不変かつ最大の栄誉と言えなくもない。そんなテーマに沿ってリストラ目前の崖っぷち社員が潜入調査するストーリーには妙味があり、それぞれの夫婦に思いもよらぬ「営み」があると浮き彫りにすることで官能面の意外性も描けていたと思う。寝取らせにドMにマザコンといった、表向きとは異なる夫の性癖と、それを受け止める、あるいは喜々として受け入れる妻の、これまた普段の装いとは異なる淫らさという双方の意外性である。時には男の心理として少々首を傾げるような場面も見られたが、全体として面白い物語になっていた。 査定対象が人妻であることから主人公が夫に変わって、つまりは人妻を「味見」することが命題となるのだが、そのために主人公へオンナを指南する役目を女社長が受け持っている。事前準備の段階から報告書提出の都度、そして結末においても登場しては主人公から搾り取っており、その頻度からしても女社長がまるでメインヒロインかのように写る。最終局面では半ば身内と言える査定対象により、その経緯から女社長のもう1つの思惑が判明しているのは物語としても上々。男勝りの強気な普段から昂るとオンナの色欲を前面に出して満たそうとしながらも主人公に責め込まれては可愛らしく悶絶するギャップがあり、独身生活を主人公で終わらせるかのような素振りをも見せる女社長の魅力は本作の屋台骨を支えていた。 官能的な脚色があるとはいえ、様々な夫婦が、その2人だけの理解によって、様々な夜の営みを繰り広げている。それを覗き見る。そんな設定の面白さが本作を印象深いものにしている。
DSK
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