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睡虎地秦簡と墓葬からみた楚・秦・漢 の商品レビュー

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2021/05/09

睡虎地秦簡とは、現在の湖北省雲夢県睡虎地にある秦代の墓のうち、ちょうど始皇帝が天下を統一し、皇帝を名乗ったころに地方役人だった「喜」という人物の墓から見つかった竹簡である。「編年記」と呼ばれる竹簡には六国との戦争に従軍したことなども記されているが、始皇帝が皇帝となった前221年が...

睡虎地秦簡とは、現在の湖北省雲夢県睡虎地にある秦代の墓のうち、ちょうど始皇帝が天下を統一し、皇帝を名乗ったころに地方役人だった「喜」という人物の墓から見つかった竹簡である。「編年記」と呼ばれる竹簡には六国との戦争に従軍したことなども記されているが、始皇帝が皇帝となった前221年が空白になっていることでも知られている。編年記の他に実務で使用した可能性のある秦律の抜粋なども見つかっている。当時楚の域内にあった秦の遷陵県の公文書群として価値が高い。 本書は、元明治大学教授の松崎氏の論考を、闘病中の氏に代わって明治大学教授の高村武幸氏が中心となってまとめたものであるようだ。 冒頭に「解題にかえて」ということで10の論文の概要と現在の研究における重要性についての解説がある。 文字資料群以外にも被葬者の特定に迫るために、副葬品や墓制について検討したもの、馬牛などの家畜の管理についての制度、家族に関する検討などが含まれている。 ちょうどテレビで「キングダム」が始まっているのをちらりと見たような気がするので、読んでみた。難しい論文だったけれど、解題を頼りに何度か読み返しているうちにちょっと面白さが分かってきた。 昔、大学の頃に受講した東洋史で「『商鞅の変法』について、老人が子孫に語る昔話の形で述べなさい(仙人不可)」という試験問題が出た記憶があるが、こうした本や論文を幅広く読んでいれば、もう少しきちんと解答できたかな、と思ったりしてちょっと反省。

Posted byブクログ