現代中国経営者列伝 の商品レビュー
世界経済に興味がある人におすすめ。社会主義国家の中でどのようにBATのような巨大企業が生まれたのか分かる
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購入時に一回ざっと読んだものの、この頃の華為を中心とした米中貿易戦争の補助線を弾きたいと思って再読。驚いたことに、本書が書かれている段階で、現状の華為の状況を予想するようなことが書いてあった。 公開情報だけでも丁寧に追うことで、かなりいいところまで将来が予測できるといういい例。
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その書名通り、現代中国の産業の中核を担う企業の創始者たちの物語。ネット系企業に偏ることもなく、ハードウェア、ソフトウェア、食品、映画と適度に分散している。 終章に書かれているよう次世代の経営者たちは、国内外の名門大学でMBAを取得したという時代になってきている。しかし、この本の中に出てくるような経営者たちは時代に翻弄されつつ、がむしゃらに突き進み、失敗を重ねながら成功してきているというイメージがある。レノボの柳氏が最初にPCのセッティングを商売としていた時、路上で大根を売ることまでやったと書かれているように。またハイアールが製品を開発するのではない、市場を開拓するのだという言葉がスタッフに叩き込まれているという。その好例が、四川省山岳部で洗濯機の排水口が詰まる故障が頻発していた時、調査によって現地の農民たちは洗濯機を使ってイモを洗っていたのだという。ハイアールはここにニーズがあるのではないかと判断し、イモを洗える洗濯機を開発したという。 どの経営者も”第一桶金”と呼ばれる、最初の成功・金銭的なリターンがあり、そこから拡大していっている。また国によってだらだらと運営される事に慣れていた人たちを信賞必罰で組織を改変したり、一から作ったりしたと随分簡単に書いてあるが、そもそも簡単に出来るものとは思えず、かなり”ブラック”な感じでめちゃくちゃに強権を発動したりしたんじゃないかなとおも思った。 P.3 中国経済の高成長については日本のメディアもよく取り上げているが、ある重要な点を取り逃がしているのではないか。それは「成長は楽しい」という事実だ。今日より明日のほうが給料がよくなる、生活がよくなるという希望。新しいジャンルのマーケットが次々と立ち上がり拡大していくという熱気。低成長が続く日本では感じられない「楽しさ」がそこにはある。環境問題や無秩序な開発がもたらす混乱は確かに存在するが、それでも「成長は楽しい」という実感のほうがより強いのだ。 P.40 愛国主義、コストパフォーマンス、強力な販売網。この3点セットはPC市場だけではなく、家電や飲料品、スマホなどのさまざまな分野でも繰り返される、中国市場における勝ちパターンだ。
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中国通の筆者ならではの適材適所(書)な読み物です。 最近の、米国からファーウェイへの露骨な販売規制は、米国の中国企業への対抗心や危機感と無関係ではありません。 もちろん、昔の親方日の丸を背景に貿易摩擦を起こした日本企業同様、出る杭は打つのが米国式やり口。 さらに、中国の場合はIT...
中国通の筆者ならではの適材適所(書)な読み物です。 最近の、米国からファーウェイへの露骨な販売規制は、米国の中国企業への対抗心や危機感と無関係ではありません。 もちろん、昔の親方日の丸を背景に貿易摩擦を起こした日本企業同様、出る杭は打つのが米国式やり口。 さらに、中国の場合はITやAIが国家戦略に組み込まれており、情報収集においてもやりたい放題という危険性は無視できません。 そんな現在の状況以前に書かれた本書ですが、創業の流れが簡潔に書かれていて理解しやすい良書でした。 レノボやハイアール、ワハハは愛国(共産党とのコネ)、コストパフォーマンス、販売網という3点セットで勝ち抜いた企業群ですが、ファーウェイは創業こそモノマネだったがその後は自社開発にこだわったイノベーション企業、ワンダグループは不動産、映画産業、商業施設などのコングロマリット、アリババのジャックマーは「今日は残酷だ。明日はより残酷だ。明後日は美しいが、ほとんどの企業は明日の夜には死んでいる」というような警句を語る、孫正義同様カリスマ性に富む経営者、動画サイト運営のヨーク、ハードウェアの無印良品と呼ばれるシャオミなど個性豊かな起業家たちの成功への階段が描かれています。 これらの成功した企業は、中国一党独裁の庇護を受けて発展したのだろうと勘違いしがちですが、実態は(少なくとも創業期は)真逆です。 共産党員のコネを利用すれば、政局が変われば連座して追放される危険性があり、また大きな政変(1958~1961年の大躍進、1966~1976年の文化大革命、1989年の天安門事件)が10年ごとに起こっており、商売が政治に翻弄されるというのも中国ならではです。 紹介された経営者のほとんどが、実家が貧乏または親が政変の犠牲者となったという経験もアメリカンドリームならぬチャイニーズドリームを象徴しています。
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成功する企業家には才能と運と時代があった。高度成長期の日本で成功した企業家もきっとそうだったのだろう。 一番面白かったのは、終章の最後に出ていたメイカーズと山寨王の話。中国の成長物語はそろそろ終わろうとしているように思える。これからは運と時代ではなく、自分の才能だけで戦っていかな...
成功する企業家には才能と運と時代があった。高度成長期の日本で成功した企業家もきっとそうだったのだろう。 一番面白かったのは、終章の最後に出ていたメイカーズと山寨王の話。中国の成長物語はそろそろ終わろうとしているように思える。これからは運と時代ではなく、自分の才能だけで戦っていかなければならない。そういう人たちの今後は、とてもおもしろそうだ。
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「売り場は戦場である。売り場で命令違反があれば殺すしかない」一番インパクトがあったのはこれですかね。 話題のファーウェイですが、社長は文革時には出身成分で不遇の扱い。過去の軍との繋がりも、実はリストラされていたなど、苦労人的エピソードが。 中国の大企業のCEOも、昔は土方的お...
「売り場は戦場である。売り場で命令違反があれば殺すしかない」一番インパクトがあったのはこれですかね。 話題のファーウェイですが、社長は文革時には出身成分で不遇の扱い。過去の軍との繋がりも、実はリストラされていたなど、苦労人的エピソードが。 中国の大企業のCEOも、昔は土方的お仕事からスタートして外国企業のマネをしつつ破天荒に活躍したと思ったら大挫折し…というパターンが多かったようです。が、最近は大学で学んだエリートが起業し…というパターンになりつつある、と。
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中国の経営者と言えど、多種多様だと当然ですが感じました。 やはりスタートアップを起こし、国に大きなインパクトを与えた人物というだけあってどの人物も性格に激しさのようなものを持っていると感じました。ちょっと失敗でめげることなく、絶えず上を目指し続けるところはどの国においても大切ですよね。 同時に政府も産業を上手に育てたと感じます。特にインターネットやコンテンツなどの産業の舵を上手にとったこと、そして多くの世界的インターネットスタートアップが(幸運にも?)生まれてきたことは中国にとって大きな強みとなったのではないかと。
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現代中国を代表する伝説的な経営者8人の人生を活写している。中国国内では、松下幸之助本のような、こうした経営者たちのことを記した励志書籍というものが流行っているらしい。寡聞にして知らなかったのだが、彼ら、経営者たちのサクセスストーリーは大変面白い。大躍進や文革、改革開放という時代の流れが、日本で言う戦後からの復興に似て、非常に起伏に富んだ物語だからだ。 私は1992年に中国改革開放の行方という卒論を書いたが、その後の中国の発展ぶりについてはあまり把握していなかった。しかしこの本でかいつまんで把握することが出来た。
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面白い。 中国人を考える時に、日本国内の反中感情に流されてしまい忘れがちだが、彼らにも愛国心はある。むしろ日本よりかは強烈だ。 ハイアール創業者は「中国人は永遠に祖先の四大発明に頼って生きていくのか」、その悔しさはバネにオンボロ工場を立て直したのだそうだ。 複数の創業者の伝説の中...
面白い。 中国人を考える時に、日本国内の反中感情に流されてしまい忘れがちだが、彼らにも愛国心はある。むしろ日本よりかは強烈だ。 ハイアール創業者は「中国人は永遠に祖先の四大発明に頼って生きていくのか」、その悔しさはバネにオンボロ工場を立て直したのだそうだ。 複数の創業者の伝説の中でも「共産党からのバックアップを受け」た話が多く、日本の大企業の伝説とは異なった面白さがある。しかし日本から見るとなんとも歪んでいる。その歪みを巧みに使い勝ち上がって来た中国人経営者は優秀だ、恐らく今後世界的に展開した際にも勝ち続けるのではないだろうか。 本書は簡潔で分かりやすく、新書向きである。筆者の著作をより追っていきたいと思った。
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これは面白い。「チャイニーズドリーム」の世界だ。 「明治維新と高度成長が一緒にやってきた」ような激動の時代を一代でのし上がった8人の英雄たち。日本にもかつてそんな時代があったなぁとため息をついた。 「ホンダ神話」や「あんぽん」も興味深かったが本書も負けず劣らずおもしろい。8人もの...
これは面白い。「チャイニーズドリーム」の世界だ。 「明治維新と高度成長が一緒にやってきた」ような激動の時代を一代でのし上がった8人の英雄たち。日本にもかつてそんな時代があったなぁとため息をついた。 「ホンダ神話」や「あんぽん」も興味深かったが本書も負けず劣らずおもしろい。8人もの紹介のためやや駆け足となっている点は否めないが、中国経済界の紹介と考えれば充分だろう。 さてしかし、今後彼らはどこまで行くのだろうか。日本のように成熟化老成化するのか、それとも世界企業として飛翔するのだろうか? 興味津々である。 2017年7月読了。
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