技術者のためのマーケティング の商品レビュー
学者の論文、という感じで難しい内容ですが、技術者にマーケティングを教えてきた立場から、参考になる考え方が詳しく書かれています。 読んでから時間が経ってこの感想を書いているので、内容はうろ覚えです。 まず前書きに「技術者はマーケティングの理論を学びたいわけではなく、仕事に使えるな...
学者の論文、という感じで難しい内容ですが、技術者にマーケティングを教えてきた立場から、参考になる考え方が詳しく書かれています。 読んでから時間が経ってこの感想を書いているので、内容はうろ覚えです。 まず前書きに「技術者はマーケティングの理論を学びたいわけではなく、仕事に使えるなら使いたい、くらいのスタンス」という部分に深く共感しました。 その意味で、この本のキーポイントである「コト発想」は使いやすい考え方だと思います。顧客のニーズを「顧客が〜〜するコト」という動詞の形で表現することで、本当にしたいことを捉えやすくなるとのこと。顧客がそれをするうえで感じている不便を先取りして解決してあげることが大事という考え方はスッと頭に入ります。 また、2番手以下が1番手を超えるには「1番手が真似したくない」ことに手を出す必要があると著者は述べます。業界の2番手が新しい製品を出しても、1番手が真似することで規模を活かして食ってしまうという力学が働いているそうです(ブレンド茶という新しい分野を生み出した十六茶に対して、業界No.1のコカ・コーラが爽健美茶でシェアを奪った)。2番手以下が1番手の真似をすると思っていたので、これは新鮮な考え方でした。 そして、「1番手が真似したくない」事例として、文房具業界におけるネット通販を上げていました。どこかの業界2番手以下(忘れました)がインターネット通販で売上を伸ばしたが、業界1番手(忘れました)はこれまでの商流や代理店との関係を壊したくなくて手を出せず、乗り遅れたそうです。 製造業で言えば、原料のみを供給するビジネス形態に限界を感じても、川下の製品まで取り扱おうとすると顧客のフィールドに乗り込むことになるので手を出せない、といったジレンマでしょうか。 「新しいこと」に社内の誰が反対するのかを具体的に(担当者の名前レベルで)考えて、その反対を乗り越えるためにどうすればよいのかを考える必要性を提示してくれています。
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