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人間はなぜ歌うのか? の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2024/04/01

「嘘と正典」で音楽が貨幣として使われていた物語があり、音楽ってなんで存在するのだろう?と思って、出会ったのがこの本。地上に住む動物で歌うのは人間だけというのは驚き。進化の過程で音楽が必要になった理由や、その発展を知ることができ、とても面白かった。

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2021/02/23

人間は音楽を楽しむことができる。音楽は日常のいろんなところにあるだけでなく,人々の歴史を動かしてきた。その音楽について,起源は何にあるのだろうか。 本書は音楽の起源についての著者の仮説をまとめた一般書である。 ・歌唱は,人間の進化に重要な役割を持っている ・ポリフォニーは最...

人間は音楽を楽しむことができる。音楽は日常のいろんなところにあるだけでなく,人々の歴史を動かしてきた。その音楽について,起源は何にあるのだろうか。 本書は音楽の起源についての著者の仮説をまとめた一般書である。 ・歌唱は,人間の進化に重要な役割を持っている ・ポリフォニーは最近の発明ではなく原初からあった形態であり,さまざまな地方で見られる(日本ではアイヌが顕著な例) ・危険時において,リズムに乗って大声で合唱する(戦闘トランス)ことで,集団を守ってきた ・集団発声の発達は,捕食者に対する威嚇によるものである(性選択と比較)。 などなど。まだまだ知らない音楽がたくさんあることを実感できる。

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2019/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 確か書評かなにかがきっかけで読んだ。 音楽学者の著書、人類のポリフォニーの機嫌を探る著作となっている。う〜ん。。。  ポリフォニー等の起源の世界分布は一見の価値があるが、著者が語る仮説については学術的な裏打ちが今ひとつなのが難点だと感じた。この分野に科学的な根拠に基づく内容を求めること自体が無理があるかもしれないが。  小生にはビビッとこなかった。ポリフォニー等の世界分布は一見の価値があります。

Posted byブクログ

2017/11/10

人類の歌唱の起源はモノフォニーではなくポリフォニーであるという主張を起点に、歌唱と人類の進化や繁栄とのつながりを喝破する。 中盤からは歌唱のみならず人類はなぜそうなったのかについて広く説明され、意外だが腑に落ちる内容であった。

Posted byブクログ

2017/10/29

集団の歌と踊り、リズム、それによる戦闘的トランス状態、と言われると真っ先に思い出すのがラグビーのハカ。なるほど確かに、と感覚的に思える部分と、学術的な根拠と、非常に面白かった。

Posted byブクログ

2017/09/02

世界で最も孤立したポリフォニーの伝統は、東アジア、つまり日本列島の先住民族であるアイヌのあいだに存在する。 と言うパワーワードを見た

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2017/05/28

どなたかがSNSで本書をシェアされていたのに興味を惹かれて早速購入した。 かなり斬新な説を提唱している部分もあるが、良い本だ。 私はポリフォニーというとついつい、バッハ的な「対位法」とごっちゃにしてしまう傾向があった。本書はまずポリフォニーの再定義をうながす。 ひとつの(一人の歌...

どなたかがSNSで本書をシェアされていたのに興味を惹かれて早速購入した。 かなり斬新な説を提唱している部分もあるが、良い本だ。 私はポリフォニーというとついつい、バッハ的な「対位法」とごっちゃにしてしまう傾向があった。本書はまずポリフォニーの再定義をうながす。 ひとつの(一人の歌唱による)旋律に、打楽器の伴奏がついているような場合も厳密にはポリフォニー(多声音楽)と呼べるのではないかという気がするが、本書では打楽器などはさておいて、あくまで人間の歌による、「声楽」ポリフォニーを基本的に論じている。その上で、グレゴリオ聖歌のようなユニゾンでの歌唱もポリフォニーと分類する。これは音楽的にはポリフォニーだが、社会的にはポリフォニーであると。なるほど。更に、ドローンやオスティナートの利用も当然ポリフォニーに属する。 一般常識として、人間世界にはまずモノフォニーがあった。そこから、より高度になって、ポリフォニーへと発展した。とするのが、普通である。しかし本書では逆である。まず最初に人類にはポリフォニーがあって、モノフォニーは後から出てきた、とするのである。 たしかにピグミーの対位法的な歌唱を聴くとそれはなかなかに複雑なポリフォニーであるし、ほかにも世界各地には、ポリフォニックに高度な集団歌唱の例がたくさん存在するらしい。 びっくりするのは、本書中頃で人類の進化論のど真ん中に声楽ポリフォニーをもってくる奇説を著者が堂々と提唱してくるところだ。 樹上の比較的安全な場所から地上に降り立った人類は、地上に棲む種としてはあまりにもひ弱であるが、そこで息をひそめるのではなく、むしろ大勢で歌を歌うことにより、猛獣のような敵を威嚇し、かつ、戦闘の際には合唱による集団的トランス状態で能力を高めたというのだ。 この仮説には、よく読むと証拠がまるで無いので、まあ「話半分に」受け止めるしかないのだが、なんとなく信憑性がるように思えてくるのは、本書の不思議な力である。 話半分と受け止めるにしても、唱和する=音楽することによる集団的自己の高揚した結合、トランス状態が見られることは確かなので、その点は音楽の社会的効用の重要な点として再認識させてくれる。 また、興味深いのは、言語と音楽との関係である。著者は歌唱が先にあって、言語による発話が後から来た、と推定している。 アフリカや南米などでは口笛、トーキングドラムのようなものを用い、「主に音高によって」離れた場所で会話が行われるという。これは楽音的なものが、完全にシニフィエを有する言語記号として機能している例であろう。 たとえば単一音符で長2度をメインにこまかく上がったり下がったりする日本語のあり方が、そのまま日本的な「歌」の傾向に直結していることを、私は以前から気にしていた。これに対し、4度くらいでおおきく上がったり下がったりする中国語パロールに対応した中国の旋律も、そのように上下がはげしい。 したがって、音楽と言語のあいだに極めて密接な関係があることは確かなのである。 本書は、やや突飛な進化論の部分はそのまますぐに信じることは出来なくても、音楽そのもののもつ集団性=社会性への結びつき、そして音楽と言語との密接な結びつきについて改めて呈示してくれることによって、「音楽」についての私の考え方を転換してくれた。とても有意味な読書体験だった。

Posted byブクログ