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清楚妻 ほんとは好き の商品レビュー

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郷里の人妻と東京の彼女

タイトル及びサブタイトルのように清楚な佇まいながらも実は積極的な淫らさを見せる妙齢の人妻が描かれている。地方の名家に嫁ぎ、高嶺の花と見られるものの実際は居心地の悪さというか窮屈さを感じている元音楽教師であり、都会からやって来た若者たる主人公ならば後腐れもないという打算を滲ませなが...

タイトル及びサブタイトルのように清楚な佇まいながらも実は積極的な淫らさを見せる妙齢の人妻が描かれている。地方の名家に嫁ぎ、高嶺の花と見られるものの実際は居心地の悪さというか窮屈さを感じている元音楽教師であり、都会からやって来た若者たる主人公ならば後腐れもないという打算を滲ませながらも淡泊な夫では味わえない愉悦と人知れずの背徳を快感に変えて次第にのめり込んでいく人妻である。時には大胆に振る舞い、面食らう主人公の反応を楽しみつつ自らもスリルを興奮の材料としている不敵な一面に普段とのギャップを感じさせる麗しくも艶めかしいヒロインとなっている。 しかし、主人公には東京に彼女がいる。訳あって一時的に帰郷している主人公だが、彼女との仲は良好であり、将来にも思いを馳せるくらいに想っている。故に郷里での人妻とのアバンチュールには後ろめたさがつき纏う。1人にさせている間に合コンなどにも参加している彼女の様子も気になる。人妻と彼女との間で揺れ動く主人公の心情がメインの作品とも言えるくらいに描かれている。 おそらくダブルヒロインなのであろう。先に登場するのは彼女であり、第一章から第二章にかけては彼女がメインである。実は仲睦まじくも夜の営みに若干の不安がある。互いの遠慮もあって本来の自分が出せていないのでは?と思っている主人公であり、もしかしたら彼女もそうでは?と考えている。そして、そんなことを人妻に相談しており、女性らしい感覚の回答をもらって後に役立ったりしている。本当に清楚なのは彼女の方だという裏メッセージでもあるのかと思えてくる。恥じらいの彼女と濃厚な人妻といった官能面の対比から心情面が妙に現実的だったりするのは作者の得意とするところであろう。 そんな現実的な心情に紡がれた物語は一波乱あるものの現実的な結末を迎える。人妻とのめくるめく快楽を味わった主人公は彼女の元へ戻り、奔放な一時を堪能した人妻は名家の嫁に戻る。そこにあるのは巡り巡って元の鞘に収まる現実にあっても、その前後では確かに違う何かがあるということであろう。それは過去を、そして今を、さらには未来をも、改めて見つめ直すという行為である。不倫や浮気を肯定するでもなく、ただ何も得ることのない遠回りでもないと示す本作は受け取り方によって何とも言えない深みを感じさせてくれる。

DSK