辺境図書館 の商品レビュー
目次のあとの扉にはこう記されている。 「この辺境図書館には、皆川博子館長が蒐集してきた名作・稀覯本が収められている。貸出は不可。読みたければ世界をくまなく歩き、発見されたし。運良く手に入れられたら、未知の歓びを得られるだろう。 辺境図書館 司書」 この言葉通り、その名を聞いた...
目次のあとの扉にはこう記されている。 「この辺境図書館には、皆川博子館長が蒐集してきた名作・稀覯本が収められている。貸出は不可。読みたければ世界をくまなく歩き、発見されたし。運良く手に入れられたら、未知の歓びを得られるだろう。 辺境図書館 司書」 この言葉通り、その名を聞いたことさえない本が次々紹介される。各章のタイトルであげられている本は三十作あまりだが、既読のものは僅かに二作であった(「アサイラム・ピース」と「心は孤独な狩人」)。文中ではさらに多くの本に言及されていて、さすがだなあと感嘆してしまう。こういう芳醇な読書が下地となって、あの唯一無二の作品群が生まれるのだと深く納得した。 やはり自分が読んだことのある本(たった二作だけど)の紹介が強く心に残る。著者が真に心ふるわせ読んだことが、ひしひしと伝わってきた。優れた書き手はよく読む人でもあるのだと再認識。 装丁も素敵だ。小ぶりな本で、表紙にはお月様が箔押しされている。目次やタイトルページのデザインが著者らしく優雅で、巻末につけられている、罫線の入ったメモ用紙風のページも嬉しい。いや何か書いたりはしないんだけど、なんとなく。
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鍵のかかるひきだしに、そっとしまっておきたいような。 中には手に入りにくい本もあるが、探し出す楽しみもある。 どこかで出会えたら、それもまた僥倖と思えるだろう。 後続の作家たちの作品もあれこれ読まれているようで、恐れ入る。しかも決して高いところからではなく、丁寧に敬意を持って...
鍵のかかるひきだしに、そっとしまっておきたいような。 中には手に入りにくい本もあるが、探し出す楽しみもある。 どこかで出会えたら、それもまた僥倖と思えるだろう。 後続の作家たちの作品もあれこれ読まれているようで、恐れ入る。しかも決して高いところからではなく、丁寧に敬意を持って語られるので、更に恐れ入る。 どの章も宝石のようで、ため息と共に読んだ。 極めつけはカースン・マッカラーズ。それからアンナ・カヴァンも再読しなくっちゃ。 最後の一篇がまた素晴らしい。
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講談社文庫のPR誌『IN☆POCKET』に連載されていたブックガイドが単行本化。 紹介されている本のセレクトもさることながら、装丁も美しい。書き下ろしの短編、巻末の充実した索引、更に自分で気に入った本を追加するためのメモページまでついている、という至れり尽くせりの1冊(実際に書き...
講談社文庫のPR誌『IN☆POCKET』に連載されていたブックガイドが単行本化。 紹介されている本のセレクトもさることながら、装丁も美しい。書き下ろしの短編、巻末の充実した索引、更に自分で気に入った本を追加するためのメモページまでついている、という至れり尽くせりの1冊(実際に書き込みはしないがw)。 紹介されているタイトルのうち、未読のものでは『穴掘り公爵』が気になっているが、品切れなのね……。ちょっと探してみよう。
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