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「かわいい」工学 の商品レビュー

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2018/12/09

ポップな表紙なのに中はがっつり感性工学。 第1章の「かわいい工学とは何か」から抜粋。 「「かわいい」は日本発の感性価値であると考えられた」 「それまでも「かわいい」事物に関する研究はあったが、それらの対象は、いずれも子供や動物のしぐさ、あるいは動物を模した人工物のしぐさであり、人...

ポップな表紙なのに中はがっつり感性工学。 第1章の「かわいい工学とは何か」から抜粋。 「「かわいい」は日本発の感性価値であると考えられた」 「それまでも「かわいい」事物に関する研究はあったが、それらの対象は、いずれも子供や動物のしぐさ、あるいは動物を模した人工物のしぐさであり、人工物自体の「かわいさ」に焦点を当てた研究ではなかった。」 「この研究では、人工物自体の「かわいさ」、すなわち人工物の形状や色・テクスチャや材質などの諸属性に起因する「かわいさ」を系統的に解析し、その結果から「かわいい」人工物を構成する手法を明確化することを目的としている」 概念はわかるのに、まだまだよくわからない感性だし、人によるグラデーションもある中で、それでも「かわいい」が存在し、アプローチできるのは興味深い。 本書ではそれを工学的な観点から、複合要素から成り立つことを認めつつ、色や形、触感、音などに分解しながら少しずつアプローチする。ARやVRも駆使して、かわいいを感じているときに、身体はどのような反応をしているかも明らかにしようとする。まだサンプルも少ない気はするが、いつかは解明されそうな気がするワクワク感がある。 間に挟まれるコラムも、「いきもののかわいさを再現するインタラクティブシステム」「なぜカワイイにこだわり抜いた超小型電気自動車を作ったのか」「かわいいと建築」とかわいいを実世界に応用する取り組みも興味深く読める。 通読してみると、ISTのMOMO、自分で帰還するFalcon9は、ひょっとすると「かわいい」ロケットなのかも、という気がした。

Posted byブクログ

2018/04/07

 心理学や社会学とは異なる視点、すなわち工学の視点で「かわいい」を検証し、さらに応用実験を行うという興味深い取り組みをしている。「かわいい」をどのように評価したら良いのかという検証方法そのものの検討を行い、一応の評価基準を得たうえで実験を行っている。  色、形状、大きさ、手触りな...

 心理学や社会学とは異なる視点、すなわち工学の視点で「かわいい」を検証し、さらに応用実験を行うという興味深い取り組みをしている。「かわいい」をどのように評価したら良いのかという検証方法そのものの検討を行い、一応の評価基準を得たうえで実験を行っている。  色、形状、大きさ、手触りなどの官能評価、さらに「かわいい」ものを見たときの心拍数や脳波の変化から、「かわいい」を絞り込んでいる。得られた結果は概ね一般に「かわいい」とされているものの傾向と一致していた。しかしながらあまりにも予想通りの結果であり、ある種の刷り込み、すなわち"小さくて丸いもの"を「かわいい」ものとして教育されてきたことも影響しているように思える。このあたりは「キモかわいい」「ブサかわいい」に対する反応を検証することで見えてくるものがあるのではないかと思う。また、被験者の数も少なく、偏りがありそうなデータも見受けられたので、もう少し大規模な実験を行う必要があるのではないかとも思った。  まだまだ検討の余地があるが、工学的な手法でも「かわいい」を評価できるという事を示したこの研究には大きな意味があると思う。また、「かわいい」を工学的な手法で検証しようという視点もすばらしいことだと思う。

Posted byブクログ