マーヤの自分改造計画 の商品レビュー
多分アメリカ人あるいは英語圏の人が原書を読んだらもっと笑えるのだろうと思う。が、笑いのツボが違うので、日本人としてはそんなに面白おかしく読めるということはない。 ただ、読んでいて、この著者の家庭の素晴らしさには感心した。愛情深く、知的で明るく、子どものやる気を尊重してくれる。子ど...
多分アメリカ人あるいは英語圏の人が原書を読んだらもっと笑えるのだろうと思う。が、笑いのツボが違うので、日本人としてはそんなに面白おかしく読めるということはない。 ただ、読んでいて、この著者の家庭の素晴らしさには感心した。愛情深く、知的で明るく、子どものやる気を尊重してくれる。子どもが亡くなったり、妹に障害があったり、大変なこともあるのに、決して世をすねたり憎んだりせず、受け入れて生きている。楽しむときは思いきり楽しむが、きちんとすべきことは譲らない。こんな家庭に育ったら、そりゃ賢くて優しく、面白い人間になるだろうと思わずにはいられない。親である人は子どもが幼いうちに読むといいと思う。 メキシコとの国境に近い荒れた中学で、生徒も妊娠中だったり、ドラッグに手をだしたりするし、授業中にいきなり警察が来て、抜き打ちのドラッグ所持検査がある。ロッカーは危険物を持ち込む可能性があるため使用禁止。近くの中学で銃を持ち込んだ生徒が、銃を離さなかったため、射殺された(それは空気銃だった)という痛ましい出来事も書かれている。こんな学校に通っていても、楽しみを見いだしていける若さ。そしてやはり家庭の安定が子どもにとって最も大切なのかもしれないと改めて思った。 前半は50年代ファッションで出掛けて浮いたりして、どうでもいいことを実践している感じなのだが、後半になるとべティ・コーネルの教えの精神的な部分を実践しようと奮闘する。ここにきて初めて著者を応援したい気持ちになった。 スクールカースト最下位の(と著者は思っている)自分が、あらゆるグループ、カースト最上位にも入っていき、話しかける。 プロムで相手のいない生徒に声を掛け、みんなで行こうと誘う。その間には自宅でパーティーをしようとして、冷たい仕打ちにあったのに、諦めない。 大人としては、この子は、賢くて、家庭もちゃんとしてて、流行を先取りするような派手さはないけれど、カースト最下位とは思えない。眼鏡と歯列矯正で地味に見えるが、顔もかわいいから高校や大学に入ったらすごくモテるだろうが、本人はそれがわからなかったのだろうと思う。 多分、家庭に問題があったり貧困にあえいでいたりしている(当然勉強もできない)同級生から見れば、眩しく輝いて見えただろうということは容易に想像できる。 しかし、それでも彼女のしたことは、若者に勇気を与える。スクールカーストなんてない。お互いを知れば、どこかわかりあえるところがある、と。 また、自分の所属する社会の中だけで仕事も交遊も行いがちな大人こそ、飛び込む勇気を、彼女から見習うべきだろう。 個人的には引っ越して落ち着いた高校に通い、立派な大学に行っても、中学の時の家庭の不和や貧困にあえいでいた友達のことを忘れないでいてほしい。作家として成功するより大事な事だと思う。
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「人気者」に憧れるというのも、今どき珍しいような......でもマーヤの行動力と根気強さには、あらゆる思春期の悩みへのヒントがありそう。 やり残しのない青春時代って、例えばこんな風なんだろうな。
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自分のことを引っ込み思案でさえないヤツだと思っているマーヤ。1950年代(!)のティーンモデルが書いた人気者ガイドブックに出会った彼女は、一年間本の通りにやってみる実験を始めた。メキシコ国境に近いアメリカの13歳の女の子の本当のお話。ダイエットやファッションなど外側だけでなく内面...
自分のことを引っ込み思案でさえないヤツだと思っているマーヤ。1950年代(!)のティーンモデルが書いた人気者ガイドブックに出会った彼女は、一年間本の通りにやってみる実験を始めた。メキシコ国境に近いアメリカの13歳の女の子の本当のお話。ダイエットやファッションなど外側だけでなく内面も改造していった、その結果は?リアルでユーモアあふれる文章がとってもチャーミングな一冊。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・本当にノンフィクションなのかと疑うくらいに、印象的な出来事が多い。 ・主人公の強みは既に親友と恩師が存在しているということ。それがいかに得難いことだったのか、気づいていただろうか?
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