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春の庭 の商品レビュー

3.4

38件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2024/03/29

主人公が観察した西さんが観察した青い家が主人公。青い家を中心として過去と現在をまたぎつつ、場所が持つ力みたいな、場所も生きてるんだよ、、、みたいなことを描こうとしてたのかなぁ。 なんか主人公が主人公っぽくないな、と思いながら読んでたけど、途中で姉に視点を切り替えたりして、敢えて...

主人公が観察した西さんが観察した青い家が主人公。青い家を中心として過去と現在をまたぎつつ、場所が持つ力みたいな、場所も生きてるんだよ、、、みたいなことを描こうとしてたのかなぁ。 なんか主人公が主人公っぽくないな、と思いながら読んでたけど、途中で姉に視点を切り替えたりして、敢えて主観性をなるべく固定化しないように、舞台を主役にするように描いてたんだな、と納得。

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2024/03/12

ストーリーは好きだけど、がんばらないと読めない感じがずっとあった。がんばって読んで、やっと入ってくる。短編なのに疲れたなー

Posted byブクログ

2023/12/29

「春の庭」は気を衒うことなく淡々と話が進む中に色んな人生の歩み方が語られている。何か特別な技巧は感じないながら、他の小説との類似性を感じない伸びやかさがあった。読解力がないせいか、残り僅かな場面で語り手が太郎から太郎の姉に変わるところの意図が理解出来なかった。

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2023/10/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「春の庭」あんまりよく分からなかった??展開は全く読めなくて面白かった 「糸」父と息子の距離感が面白かった 「見えない」職場の人との会話が面白い 「出かける準備」これが一番好きかも。わかるよ

Posted byブクログ

2023/07/26

第151回芥川賞受賞作。くわえて、単行本未収録短編二点と、書下ろし短編一点を収録。 表題作『春の庭』は、妙な出会いというか縁というかによって話をするようになった、取り壊し間近の同じアパートに住む主人公・太郎と西という女性漫画家。この二人を主要人物として物語は進んでいきます。しか...

第151回芥川賞受賞作。くわえて、単行本未収録短編二点と、書下ろし短編一点を収録。 表題作『春の庭』は、妙な出会いというか縁というかによって話をするようになった、取り壊し間近の同じアパートに住む主人公・太郎と西という女性漫画家。この二人を主要人物として物語は進んでいきます。しかしながら、物語はどうなっていくのか、中盤まで読み進めていってもまったく先が読めません。僕にとっては「物語」というものの引き出しの外にある「物語」で、つまりは自分にとっての新種の「物語」なのかもしれない、なんて思いました。あるいは、「物語」のどのようなコードに対してもそのまま従うということをしない、というカテゴリに分類される「物語」なのかもしれません。とはいっても、僕の中にある「物語」の類型のストックがまだまだ少ないがために断言はできないのですが、それでもおそらく未踏の地を行く冒険家の類いの作風なのではないかと思いました。くわえて言うならば、派手な物語ではないのだけれど、現実というものの質感のある物語であるといったところでしょうか。 それが残り40ページくらいのところから、怪しい感じ、つまりこの先に何かあるなあ、という感覚になりました。それからそれまで三人称で語られていた人称がいきなり変わり、「え」と楽しくあたふたし、その後まもなく「やっちまってるじゃないか!」というふうにそれまで納まってきていた枠外に飛び出し、ねじれていく物語にわくわくしながらめまいを感じました。これは語りの技術だし、独自の表現方法でした。それで仕舞いの一行ですとんとそしてぐにゃりと着地させる技があります。その一行までのあいだの40ページくらいでは、ぎりぎりのところで読者をおきざりにするかしないかみたいな、でも技術的にはテンポやトーンを変えていて「ついてこれますか」と走っていくんです。さらに背後から忍び寄るような緊張感が漂いだします。それをたった最後の一行で見事に回収する、というか、解放する、というか、無に帰す、というか。相撲や柔道で、うまく投げられてしまった、という感じ、それに似ていたかもしれません。 全体をぼんやり見てみると、平常の感覚では、日常はつるんとしたものだ、と、とくに疑いもなくとらえている。それがなにかひとつ、気にかかったことをきっかけとして注意を与えると、そのつるんして見えてきた日常に実は存在している凹凸が見えてくる。たとえばそれは、小説を作るという一連の流れと似ていたりもするかもしれない(作り方にもよるけれど)。つるんとした細部の決まっていないアイデアを、粘土を練り造形するみたいに凹凸をこしらえていく、あるいは探り当てていきますから。そんなふうにもこの作品からは感じられました。 その他の短編も含めて、住んでいるアパートやマンションの重要度が高く扱われていました。本書の特徴の一つだと思います。そして、どこか不穏で、でもなまぬるさのようなものがあって、健全なのか不健全なのかわからないような安穏がある。 その他の短編のなかでは、書下ろしの『出かける準備』がとくに気に入りました。女性二人による、亡くなった知人の男の噂話のところがぐっときたのです。男と昔いっしょだった職場で、主人公ではないほうの女性がとてもしんどくてどこか遠くへ行きたくなっていたとき、男はなにげなく「だいじょうぶ?」と声をかけ、でも、冗談のようにそれはうやむやになるのだけれども、女性はそれで救われた、と今になって涙を流すのです。この男についての噂話はまだあって、それで一人の人間の多面性、立体性が浮かび上がりながら最後にこのエピソードで締められていて、ここらのあたりの没入感は違いました。 というところです。なんとなくですが、著者は実直に原稿に向う方なのかな、という気がしました。でも、他の作品をまた手に取ってみないとわかりませんし、一作だけの印象ってあてにならなかったりします。またそのうち、違う作品に触れてみようと思います。

Posted byブクログ

2022/08/28

L字型のアパートに住んでいる主人公(30代男)とそのアパートの住人2人の女性と3人の話と、そのアパートから見える水色の家。水色の家は昔アーティストが住んでいて、それが"春の庭"という写真集にもなっている。それを高校時代に読んだ1人がその家の人と仲良くなり、家の...

L字型のアパートに住んでいる主人公(30代男)とそのアパートの住人2人の女性と3人の話と、そのアパートから見える水色の家。水色の家は昔アーティストが住んでいて、それが"春の庭"という写真集にもなっている。それを高校時代に読んだ1人がその家の人と仲良くなり、家の中を見せてもらい、どうしても風呂場を見たいがために…ある事件になってしまう。 主人公はベランダから見えるその家のステンドグラスが気になり、そして庭を掘り返している写真が気になる。 自分の家に父親の骨を砕いて埋めたことがあるから。 最後に主人公の姉が出てくるんだけれど、ここで姉=私 になる なぜ⁇

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2022/08/27

女性が手を血だらけにしてもなお喋り、自分の望みのために動く……というイメージが最近ふっと頭に浮かんでいました。その関係でぼんやりとそのような話を読みたいと思っていたので、多少違うものの、似た描写があり驚きました。イメージが頭に浮かぶ前に借りた本だったのです。ご縁、でしょうか。 最...

女性が手を血だらけにしてもなお喋り、自分の望みのために動く……というイメージが最近ふっと頭に浮かんでいました。その関係でぼんやりとそのような話を読みたいと思っていたので、多少違うものの、似た描写があり驚きました。イメージが頭に浮かぶ前に借りた本だったのです。ご縁、でしょうか。 最後がよく分からなかったです。 ソファだらけという部屋。今まで考えたこともなかったですけれど、成る程、ちょっと憧れます。だらしなくごろごろとしている自分が目に浮かびます。

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2022/04/20

「東京って大自然ですよね」という主人公の言葉はとても魅力的。その一言を意識するだけで、世界に対する接し方がころっと変わってしまう、魔術的な言葉。写真集の中の人物たちの生活と、それを眺める太郎や西、その太郎や西の生活も最後は「わたし」によって見られる対象となっている。そんな入れ子構...

「東京って大自然ですよね」という主人公の言葉はとても魅力的。その一言を意識するだけで、世界に対する接し方がころっと変わってしまう、魔術的な言葉。写真集の中の人物たちの生活と、それを眺める太郎や西、その太郎や西の生活も最後は「わたし」によって見られる対象となっている。そんな入れ子構造によって重層化して見える生活の活写が見事。

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2022/03/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 日本の小説家の本を最近読んでいなかったところに今村夏子の衝撃があり、自分が知らない世界がまだまだあることを痛感して以前から気になっていた著者の作品を読もうということで読んだ。こんなに何でもない話なのに小さな機微の1つ1つにグイグイ惹かれる感覚でオモシロかった。  街・家と人の記憶の関係性というのが大きなテーマとしてあり、縦軸の時間、横軸の場所を変数として登場人物たちの思考が展開していくところがオモシロい。同じアパートの住人同士で交流があるのは非現実的に感じつつも、程よくドライな上で1つの目的に向かって最後収束していく点が好きなポイントだった。  本著を読むと自分が過去に住んでいた街・家を思い出し、その頃をレミニスする時間が必ず生まれる。しかも自分がすっかり忘れていたような些細なことを。これは小説にしかできないマジックだなと感じた。  また東京の街の記憶としての話でもある。世田谷区を舞台として貧富の差がある中で共生しているのが徐々に瓦解して再開発で均一化していく、その前段の空気みたいなものがパックされている。表題作が発表された2014年はここまで世界が様々なレイヤーで「分断」するだなんて想像もつかなかった。  文庫版は堀江敏幸氏による解説がついている。久しぶりに「小説を読む」という行為の奥深さを突きつけられて、ここまで散々書いてきたものの結局何も分かっていないのかもしれないと気持ちを引き締めることになる最強すぎる解説だった。それはともかく他の作品も読んでいきたい。

Posted byブクログ

2022/03/13

特に大きな秘密が明かされるわけではなく、淡々と時間が過ぎていく。 このアプリで芥川賞受賞作と知って、驚いた。 自分の好みとは合わなかった。 取り壊し予定のアパートに住んでいる太郎と、その隣人たち、近所の青い家の人達はそれぞれ個性があって、のんびり暮らしているイメージ。 晴れ...

特に大きな秘密が明かされるわけではなく、淡々と時間が過ぎていく。 このアプリで芥川賞受賞作と知って、驚いた。 自分の好みとは合わなかった。 取り壊し予定のアパートに住んでいる太郎と、その隣人たち、近所の青い家の人達はそれぞれ個性があって、のんびり暮らしているイメージ。 晴れた暖かい日を想像する1冊だった。

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