人体5億年の記憶 の商品レビュー
生命は5億年前に誕生し、無脊椎動物から魚類、両生類、爬虫類、哺乳類と進化してきた。人体を解剖学的に見る際に、そういった進化の視点を持ち込み、分析、考察した解剖学者、三木成夫(シゲオ)の言葉を分かりやすくまとめた本書。 人間が受精卵から成人に成長する際に、魚類っぽくなったり両生類...
生命は5億年前に誕生し、無脊椎動物から魚類、両生類、爬虫類、哺乳類と進化してきた。人体を解剖学的に見る際に、そういった進化の視点を持ち込み、分析、考察した解剖学者、三木成夫(シゲオ)の言葉を分かりやすくまとめた本書。 人間が受精卵から成人に成長する際に、魚類っぽくなったり両生類っぽくなったりと、5億年の生命の進化の記憶を短期間に振り返っているらしく、地球上の他の生物に多少親近感が湧いた。 面白かったのが、三木成夫は、「こころ」は内臓の働きから生まれるとして、その基本構造が便意に見られるという事。例えば、膀胱に小便が溜まり尿意を感じ、小便を放出する。その尿意と放出が、成長過程で「不快」や「快楽」として感じられ始め、徐々に「こころ」が生まれるらしい。では膀胱がない魚類には尿意が無いから「こころ」が無いのかな、などと想像し出し、三木成夫の世界の深みにハマりかける自分がいた。
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精密な静止画に広大な時間のスケールをクロスさせ人体をとらえること、人体の細部にわたってこの方法論を徹底して適用することで見えてきた世界を知ることができる。 ひとつひとつの体のパーツという話題にそって展開するが、どのパーツにも生き物としての折り重なった歴史が溢れている。 インフルエ...
精密な静止画に広大な時間のスケールをクロスさせ人体をとらえること、人体の細部にわたってこの方法論を徹底して適用することで見えてきた世界を知ることができる。 ひとつひとつの体のパーツという話題にそって展開するが、どのパーツにも生き物としての折り重なった歴史が溢れている。 インフルエンザの怠い身体で、いつも一緒にある身体について知りたいという気持ちで読み出したらとまらなくなる。身体はすごい。
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心は、内臓にある。 意識は脳 心は、意識できない内臓の動き、 制御もできない。 交感神経 脊髄 副交感神経 延髄 意識できないものがある、 動かせないものがある、 知らないことばかりだった。 心は、管 5億年も前から、管はある。 それが、進化の歴史を記憶している。
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著者の布施英利氏による三木成夫先生の解説が秀逸で医学の知識が乏しい自分でも良く分かりました。『内臓感覚』等、三木先生の独特の表現が面白く最後まで楽しく読めました。個人的には論文が仕上がる事なく鬼籍に入ったのが残念です。
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三木成夫の言葉がきちんと再構成されていて、とても勉強になりました。 それにしても…三木成夫の圧倒的な言葉の力を感じました。 装丁も素敵です(本を読んでから改めてみると、ほぉぉ~となります)。
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三木氏自体は、とても面白くこの考え方の違いが頭に焼き付いて離れなくなった。しかしそれを解説文章にした内容が回りくどく意味を感じず退屈。ストレートに書いていたら五星だった。
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人体5億年の記憶 布施英利 海鳴社 解剖学者 三木成夫の世界 人間には感覚と運動の営みがあって 栄養と生殖という植物的な部分と 餌を取るとか異性に近づくと言う 知覚や運動の動物的な従属する部分があり 基本は植物的身体なのだという 動物的な器官は脳 感覚系と伝達系と運動系の3つ...
人体5億年の記憶 布施英利 海鳴社 解剖学者 三木成夫の世界 人間には感覚と運動の営みがあって 栄養と生殖という植物的な部分と 餌を取るとか異性に近づくと言う 知覚や運動の動物的な従属する部分があり 基本は植物的身体なのだという 動物的な器官は脳 感覚系と伝達系と運動系の3つから成る 五感で外部とつながる感覚系を受けて 神経から脳を経る伝達系を通して 骨と筋肉で体を動かす運動系によって働く 植物的な器官は内蔵 エネルギーや栄養物の吸収と循環と排出をつかさどる部分 胃や腸に心臓や血管に大腸や黄門と腎臓に泌尿器 頭蓋骨と言われるドクロは目から耳の線から上を 脳頭蓋と呼ぶボール状の部分と 顔面頭蓋と呼ばれる複雑な下の部分の分けられる 脳の入っていっている頭蓋骨は動物性で 顔面骨は口にまつわる植物性だという 人生の手段でありながら動物性器官の 優位な立場によって忘れられがちな 本来ならば目的である筈の植物性器官を 《こころ》の世界と呼んだ 立つという姿勢は人間特有の 遠くを知りたいという好奇心の現れで 手と脳の発達はその広がった視界のよって もたらされたもので 以後人間は 所有欲による依存と執着を追い求める競争原理と 切磋琢磨による補い合う共生の原理と言う 両刃の剣に悩まされることになる 動物器官である手足が植物器官の心情に奉仕する姿なのか 逆に心を支配する手足が世界を搾取するのか 神経の中にも無意識のレベルで内蔵をコントロールする 二つの植物神経として交感神経と副交感神経がある 交感神経はノルアドレナリンを分泌して活動を促し 副交感神経はセチルコリンを出して 行き過ぎた活動を緩める働きをしてバランスをとる 同時に心の役割を生み出した 意識は脳にあり 無意識の範疇にある心はお内蔵にある 心臓の鼓動が変化したり息が止まったり 胃が痛くなったて下痢したりすることに関わるのは心である 心は生命の本質であり深い所にある=抽象性の高い生命の目的 意識は活動的で付帯的な浅いところにある=具象性の高い生命の手段・道具 循環系の中心である心臓と 伝達系の中心である脳と見る これを 脳の血管分布と心臓の神経分布と見なす見方もある 血管系の動揺が感情を表現する 脈動は植物器官系の《遠観得性》を象徴するとしながら 上古代人は大宇宙のリズムの中の小宇宙と捉え 個々の生物における肉体的な表現とし 現代人にな失われたものだと考えた 優れた言葉は豊かな内臓の感受性から生まれる
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